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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「人道的な対人地雷除去活動に係る支援と武器輸出三原則等に関する基本的考え方」について(村岡兼造官房長官談話)

[場所] 
[年月日] 1997年12月2日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 政府は、かねてから、対人地雷の規制の強化、埋設された対人地雷の除去及び犠牲者に対する支援に関し、国際的な努力を支持し、積極的な取組を行っており、本日の閣議で対人地雷全面禁止条約への署名を決定したところである。このような取組を更に強化するための措置の一環として、このたび対人地雷問題の解決に向けた国際的機運の一層の高まりを受け、埋設された対人地雷の除去に係る支援に関連して次の結論に達し、本日の閣議において了承を得た。

1. 現在、世界各地において、紛争時に埋設されそのまま放置されている対人地雷など、武力攻撃の一環としての性格を持たない対人地雷により一般市民が無差別に殺傷され、多大な被害が生じるという事態が発生している。このような事態の発生を防止するために、前述のような対人地雷を人道的精神に基づいて除去する活動が行われているが、かかる人道的な対人地雷除去活動に対する支援は、国際社会全体として取り組むべき課題であり、我が国としても可能な限り協力を行うことが必要である。また、人道的な対人地雷除去活動は、被埋設国に寄与し、これに対する我が国の支援の強化は、国際社会の平和と安定に貢献するという我が国の基本的政策に合致するものである。このため、我が国としては、被埋設国の政府等が行う人道的な対人地雷除去活動に対し、積極的に支援を行うこととしたところである。

2. 政府は、これまで、武器等の輸出については、武器輸出三原則等*注*によって慎重に対処してきたところであるが、1.に述べた諸点に鑑み、前述のような人道的な対人地雷除去活動に必要な貨物等に武器輸出三原則等における武器等に当たるものが含まれる場合であっても、当該貨物等の輸出については、今後、被埋設国の政府等と我が国政府との間の国際約束で、当該武器等は人道的な対人地雷除去活動のみに使用されること及び当該武器等を我が国政府の事前同意なく第三者に移転しないことが定められることにより担保されることを条件として、武器輸出三原則等によらないこととする。これによって国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念は確保されることとなる。。

3. なお、政府としては今後とも、武器輸出三原則等に関しては、国際紛争等を助長することを回避するというその基本理念を維持していく考えである。

{*注*(※詳細はこちらをご覧下さい。)とリンクあり}