データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 武器輸出に関する政府統一見解に関する田中六助通算大臣の国会答弁

[場所] 東京
[年月日] 1981年2月14日
[出典] 国会会議録,第094回国会 予算委員会 第8号
[備考] 
[全文]

(前略)

○大内委員 (中略)もう一つだけ聞いておきましょう。昭和五十一年の二月二十七日の例の政府方一針でございますが、ここでは、三地域以外「「武器」の輸出を慎む」。「慎む」という、これは非常にむずかしい表現ですね。慎まないときもあるのですか。つまり、「慎む」ということは、例外もあるということですか。これはちょっと聞いておく必要があるのですね。

○田中(六)国務大臣 武器輸出三原則には、はっきり三項目きちんとして書いておるわけでございますけれども、御指摘の点につきましては確かに「慎む」ということを書いておりまして、私どもも与野党挙げて三原則以上に発展させた、拡大させた解釈だというふうにやっておりますが、微妙な日本語で、「慎む」ということは、やはり慎まない場合はどうなるかという疑問でございますが、これを大内議員も疑問に思いますように、私も実は、この「慎む」ということはどういうことだろうかということで、事務当局ともいろいろ懇談いたしましたけれども、まあ多少輸出を逃れていく場合もその場所にはあるのじゃないかということで、結局「慎む」という言葉は疑問点のままいまおるわけでございまして、これは与野党の今回の話し合い、私どもの閣僚懇談会で決めてもらいたい。(発言する者あり)

 それから、いま、野次に答えるのはどうかと思いますけれども、「慎む」ということは、やはり原則としてはだめだということ、それから発展させていく過程で問題を処理するというようなことではないかというふうに思います。

○大内委員 これは政府の方針でございますの、で、本当は政府としてははっきりした考え方が、この「慎む」ということについて解釈が必要だと思いましたが、通産大臣はこの「慎む」ということについて必ずしもはっきりした認識を持っておられないということがよくわかりました。

 そこで、この政府方針の中の(三)に、「武器製造関建設備」としまして、これは「輸出貿易管理令別表第一の第百九の項など」と書いてあるのですね。一〇九項以外の「など」というのはどこを指しているのでしょうか、ちょっと念のために聞いておきます。

○田中(六)国務大臣 一〇九ということ、具体的には私、正直に申しまして知っておりませんので、事務当局に答えさせます。

○角田(禮)政府委員 たまたま資料を持っておりますのでお答えしますが、輸出貿易管理令別表第一の七十九の項及び百九の項に含まれるものが武器製造関連設備に当たると、当時説明されております。

○大内委員 そうすると、この「など」というのは七十九の項ということですか、間違いありませんね。

○角田(禮)政府委員 はい。

○大内委員 武器問題は、これから与野党の間で十分煮詰めなければならぬ問題ですから、その辺を政府も十分勉強していただかないと、この程度でつっかかっておりますと先が思いやられるわけでございます。ひとつ十分御検討いただきたいと思います。

(後略)