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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] イラン情勢に関する国連安全保障理事会決議457

[場所] ニューヨーク
[年月日] 1979年12月4日
[出典] 外交青書24号,451‐452頁.
[備考] 仮訳
[全文]

 安全保障理事会は,

 国連事務総長の1979年11月25日付書簡(S/13646)を検討し,

 国際の平和及び安全にとつて重大な結果をもたらす恐れのあるイラン・米国間の危険な程の度合に達している緊張を深く憂慮し,

 安全保障理事会議長によつて1979年11月9日に行われ,1979年11月27日に繰返し行われた呼びかけ(それぞれS/13616,S/13652)を想起し,

 イランの苦情に関するイラン外相からの1979年11月13日付書簡(S/13626)に留意し,

 国際の平和・安全及び正義が危くされないように国際粉争を平和的手段によつて解決すべき国家の義務を念頭におき,

 国際関係において,いかなる国家であろうとその領土保全又は政治的独立に対して,武力による威嚇又は武力の行使を,又は国連の目的と両立しない他のいかなる方法によるものを,慎しむべき諸国家の責任を意識し,

 1961年の外交関係に関するウィーン条約及び1963年の領事関係に関するウィーン条約双方の全当事国が負つている外交官の不可侵性と各国代表団の建物を尊重すべき厳粛な義務を再確認し,

1 イラン政府に対し,テヘランで人質となつている米国大使館員を即時解放し,保護を与え出国を認めるよう緊急に要請する。

2 イラン政府及び米国政府に対し,国連の目的と原則に従い,双方の満足するよう残余の問題を平和裡に解決するための措置をとるよう求める。

3 イラン政府及び米国政府に対し,現下の情勢において最大限の自制を勧奨する。

4 事務総長に対し,本決議の即時実施のための斡旋及びあらゆる適切な措置をとることを要請する。

5 安保理が本問題を引き続き把握することを決定し,事務総長に対し事務総長の努力に関し進展があればこれを直ちに安保理に報告することを要請する。