データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新次元における日印戦略的グローバル・パートナーシップのロードマップに関する共同声明

[場所] ニューデリー
[年月日] 2007年8月22日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.安倍晋三日本国内閣総理大臣は、マンモハン・シン・インド首相の招待により、2007年8月21日から23日まで公賓としてインドを訪問している。安倍総理には、昭恵夫人、ハイレベルの公式訪問団、ビジネス・リーダーズ・フォーラムのメンバー及び約200人の日本の経済ミッションが随行している。

2.安倍総理は、8月22日に歓迎行事を受けた。また、インド大統領を表敬訪問し、インドの国会で演説した。安倍総理はシン首相との間で幅広い意見交換を行い、シン首相は、安倍総理夫妻のために晩餐会を催す。安倍総理は、日印両国の錚々たる大学の学長の参加を得て開催された日印学長懇談会に出席した。印日友好団体が安倍総理のためにレセプションを催し、また、インドの経済団体が、歓迎昼食会を催した。プラナーブ・ムカジー外務大臣及びL.K.アドバニ下院野党リーダーが安倍総理を表敬した。安倍総理はコルカタを訪問し、印日文化センターの開所式に出席する。

新次元における戦略的グローバル・パートナーシップ

3.両首脳は、昨年12月のシン首相の訪日及び戦略的グローバル・パートナーシップの構築という首脳間の決意により、両国のパートナーシップが新たな次元に高められたとの認識を共有した。日印両国は、民主主義、開かれた社会、人権、法の支配、及び市場経済といった普遍的価値を共有するとともに、アジア及び世界の平和と安定、繁栄の促進に共通の利益を有する。このような認識に基づき、両首脳は、日印間のパートナーシップは世界で最も可能性を秘めた二国間関係であることをあらためて確認した。両首脳は、強く、繁栄し、活力あふれるインドは日本の利益であり、同様に、強く、繁栄し、活力あふれる日本はインドの利益であることを再度表明し、両国の利益は一致していることを認識した。

4.アジアでは、インド及びその他の諸国の経済発展によって、また、地域統合に向けて強められている取組によって、成長に向けた新たなダイナミズムが生まれている。アジアは、その多様性と高まる開放性を尊重しながら、異なる経済、社会、文明、文化の間の相互作用を急速に高めつつある。両首脳は、このような現在のアジアのダイナミズムを認識しつつ、21世紀は平和と進歩、そして民主主義の世紀にならなければならないとの確固たる信念、そして、アジアの二大民主主義国である日印両国のパートナーシップは、地域全体の未来のアーキテクチャに欠くことのできない柱であるとの確固たる信念を表明した。両首脳は、アジアの新たなダイナミズムを積極的な方向へと進めるために協働することを決意した。このような認識の下、両首脳は、二国間関係の将来の方向性について議論を行い、新次元の戦略的グローバル・パートナーシップのロードマップを発表した。両首脳は、このロードマップを通じて、強固で永続的なパートナーシップを構築する意志を再確認した。

新次元における戦略的グローバル・パートナーシップのロードマップ

政治、安全保障、防衛分野における協力

5.ハイレベルの交流:

シン首相は、天皇皇后両陛下のインド御訪問をあらためて招請した。安倍総理は、シン首相に対し、2008年中の訪日を招請した。シン首相はこの招請をありがたく受け入れ、2008年中の双方にとって都合の良い時期に訪日するとの意向を示した。両首脳は、両国間におけるハイレベルの一層の活発な交流を歓迎した。両国は、関係閣僚間の定期的な交流を促進していく。

6.安全保障分野における更なる協力:

両首脳は、日印両国は、アジア太平洋とインド洋地域におけるシーレーンの保安と安全、国境を越える犯罪、テロ、海賊及び大量破壊兵器の拡散との闘いにおいて利益を共有することを認識し、それぞれの関係当局に対し、安全保障分野における将来の二国間協力の方向性を検討し、インド首相の訪日までに報告するよう指示した。

7.様々なレベルにおける戦略対話の深化と拡大:

双方は、様々なチャネルを通じて戦略対話を深化、拡大させていくことの重要性を認識した。両首脳は、外相間戦略対話が2007年3月に開始されたことを歓迎した。日本の外務大臣は、第2回外相間戦略対話のために、2008年中に、インド首相の訪日前にインドを訪問する。双方は、インド国家安全保障顧問と日本のカウンターパートの間における定期的な対話を継続する。双方は、外務次官同士の年2回の対話を開始する。また、外交当局間の相互理解を促進すべく、若手外交官の交流プログラムを開始する。

8.防衛交流の強化:

両首脳は、防衛・安全保障分野における両国の共通の利益は、防衛と安全保障に関する協力と交流の年間計画の拡充、定期的な次官級防衛政策対話、国連の下における国際平和協力活動やテロ対策に関する経験の共有という協力、相互に関心を有する重要な分野における情報共有、技術交流、共同訓練、軍種間の対話といった協力についての着実かつ質的な向上を必要としていることを認識した。両首脳は、2007年9月にベンガル湾で実施される多国間海上共同訓練「マラバール」への海上自衛隊の参加を歓迎した。双方は、防衛大臣間の相互訪問を促進し、また、第2回防衛政策対話を都合のよい早期に開催する。

9.海上保安当局間の協力の促進:

両首脳は、連携訓練、海上保安長官間の定期的な会合を通じて、また、両国の海上保安当局間で署名された協力に関する覚書に基づいて、海上の安全、海上治安、海洋環境の保護に関する協力を高めるとの意図を再確認した。

包括的な経済パートナーシップ

10.二国間貿易の拡大:

両首脳は、日印間の貿易の最近の拡大傾向に満足の意を表明した。両国の貿易総額は着実に増加しており、2007年は、約100億ドルに達するであろう。両国間の包括的経済パートナーシップを更に高めるため、両首脳は、2010年までに200億ドルという年間貿易総額に向けて、取り組んでいくことで一致した。

11.経済連携協定交渉:

両首脳は、日印関係の戦略的重要性を反映し、両国の経済関係の潜在力を充分に活用する、質が高く相互に利益をもたらす経済連携協定を実現することの重要性を再確認した。こうした観点から、両首脳は、それぞれの交渉官に対し、積極的に交渉を行い、可能な限り早期に交渉を終えるよう指示した。

12.経済協力:

両首脳は、拡大しつつある日印経済関係に満足の意をもって留意した。インド側は、インドが4年連続で最大の受取国となっている日本のODAを評価した。日本による質の高い経済協力の象徴となったデリーメトロ計画への継続的な支援をはじめとする日本の協力は、インド全土において、日本に対する親しみの気持ちを生み出している。両首脳は、日本のODAは、引き続き、インフラ開発、環境及びエネルギー協力、貧困削減、社会セクター開発などの分野において、より大きな役割を果たすべきとの認識を共有した。

13.日印特別経済パートナーシップ(SEPI)の促進:

両首脳は、日本からインドへの投資促進及びインドのインフラ整備と製造能力強化への支援を目的とするSEPIの実施が進捗していることについて、満足の意をもって留意した。この包括的な経済パートナーシップは、インドの経済に勢いを与えるとともに、日本経済と日本の継続的な繁栄のための機会と新たなフロンティアを創り出す。両首脳は、インドにおける日本企業数の着実な増加及び日本の対インド投資の増加見通しを評価し、SEPIにおける以下の進展を評価した。

○幹線貨物鉄道輸送力強化計画(DFC):

両首脳は、本計画に関する進展を振り返り、JICAの開発調査の最終報告が2007年10月までに完成することを歓迎した。両首脳は、本計画の実現に向けて協力を継続することを期待する。

○デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC):

双方は、この構想の重要性及び相互利益を認識し、また、日本の経済産業省経済産業審議官とインドの商業・工業省工業政策・促進局次官が共同議長を務めた作業部会によるコンセプト・ペーパーの準備を含め、昨年12月の首脳会談以来の進展を歓迎した。双方は、DMICのためのプロジェクト開発基金の設立に向けて緊密に協力することを確認した。

○JETROに関連する活動:

両首脳は、特にDMICに関係する地域との貿易と投資の拡大に向けたジェトロとインド側カウンターパートによる取組を評価した。この取組には、(i)インドで2番目となるムンバイにおけるジェトロのビジネス・サポート・センターの設置、(ii)DMICに関係する6つの州における投資促進活動、(iii)インド工業連盟とのMOUに基づくウェブサイトの立ち上げを含むビジネス交流の促進が含まれる。

○製造業経営幹部育成(VLFM)計画:

両首脳は、日本の技術協力の下で、インドにおける先進的かつ革新的な経営教育システムの確立を促進する初めての製造業経営幹部育成(VLFM)計画が開始されたことを満足の意をもって留意した。

○インド情報技術大学(設計・製造)ジャバルプール校(IIITDM・J):

両首脳は、政府機関、大学及び産業界によって構成される日本のコンソーシアムの立ち上げを含むIIITDM・Jの発展に向けた日本の協力の最近の進展を歓迎し、それぞれの関係当局に対し、協力を高めるための議論を継続するよう指示した。

14.ビジネス・リーダーズ・フォーラム:

両首脳は、ビジネス・リーダーズ・フォーラムから提出された報告書を歓迎した。両首脳は関係当局に対し、この報告書を精査し、適切な勧告を実施するよう指示した。

15.ハイテク貿易:

両首脳は、この重要な分野における対話の開始に留意し、ハイテク貿易協議メカニズムを通じて、双方向のハイテク貿易の円滑化と両国の輸出管理制度に関する事項への対応を更に促進するため、両国間の対話を継続する用意があることを表明した。

16.日本型預託証券(JDR):

双方は、DMICを含め、インドにおける民間セクターの発展のための潜在的な資金調達手段として、JDRについて検討することを決定した。

17.通貨スワップ取極:

両首脳は、短期流動性の問題への対応及び既存の国際的枠組みの補完を目的とした日印二国間通貨スワップ取極が基本合意にいたったことを歓迎した。両首脳は、これにより、二国間の金融協力が更に促進されることを期待する。

18.都市開発分野における協力:

両首脳は、日本で開催された都市開発に関する日印交流会議において、水環境、都市開発、都市交通に関する有意義な意見交換が行われたことを歓迎する。両首脳は、協力可能な分野を特定するため、ワーキンググループを定期的に開催することを再確認した。

19.ICT(情報通信技術):

両首脳は、広帯域無線通信技術の実証実験の成功裡の終了を含む、日印ICTフォーラムにおける進捗を歓迎する。両首脳は、ICTフォーラムにおいて、次世代ネットワーク、移動通信システム等の新規分野における協力が扱われることを期待する。日本側は、情報伝達及びデータ、音声、ビデオ会議施設等を通じた電子政府支援を促進するためのインド側によるナショナル・ギガビット・バックボーン・ネットワークの構築に関する支援に関する提案について、検討を継続する。

科学技術

20.両首脳は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)とインド科学技術省(DST)との間で締結された覚書に基づき、情報通信技術(ICT)分野において共同プロジェクトが開始されたことを歓迎した。両首脳は、ナノテクノロジー及び生命科学の分野において、文部科学省が助成する新規研究課題が採択されたことにつき満足の意を表明した。両首脳は、2007年11月に、文部科学省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)及びインド宇宙研究機関(ISRO)の共催の下に、アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)第14回会合が開催される予定であることを確認した。両首脳は、JAXAとISROとの間で最近、宇宙X線観測における協力に関する協定が署名されたことを評価した。

21.両首脳は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)とインド政府科学技術省(DST)の共催によって開催された日印科学評議会における議論もあり、DSTと日本の高エネルギー加速器研究機構(KEK)との間で科学技術協力に関する確認書が2007年7月24日に署名されたことを歓迎した。

経済戦略会議

22.両首脳は、第1回日印経済戦略会議における進展を評価し、この会議に対し、次回会合において本共同声明で言及された経済関連事項をフォローアップし、次回首脳会議までに報告するよう指示した。

国民交流、学術交流、文化交流

23.大学間交流/インド工科大学:

両首脳は、両国の錚々たる高等教育機関による「日印学長懇談会」の初開催を歓迎した。同懇談会は、一層の学術交流に向けた意見や関連情報を包括的に交換する会合として、安倍総理のニューデリー訪問中に開催された。両首脳は、両国の高等教育機関間でのより活発で強化された学術交流は、日本とインドの間の永続的な友好関係の基礎を固める鍵であるべきであるとの信念を共有した。この信念の下、双方は、新規のインド工科大学の設立における可能な協力を検討し、探求するための作業部会を設置する。この作業部会は両首脳に対し、次回の首脳会議までに検討の進捗を報告する。

24.青少年交流:

両首脳は、両国間における人的交流を実質的に拡大することが重要であるとの認識を共有した。両首脳は「麻生プログラム」の進展を歓迎するとともに、第2回東アジア首脳会議(EAS)において表明された「21世紀東アジア青少年大交流計画」の下で、今後5年間でインドから、年間500人程度の青少年を招聘するという安倍総理による決定を歓迎した。この500人には、100人程度の優秀な日本語学習者及び若手日本語教師が含まれる。双方は、日本に留学するインド人学生数を増加させるため、日本の円借款を活用する可能性について協議を継続する。

25.インドにおける日本語教育:

両首脳は、インドにおける日本語学習者が過去3年間で約2倍になったという事実に留意し、2010年までにインドにおける日本語学習者を3万人にするという目標の実現に向けて協力する意志を確認した。インド側は、インド国内に日本語教師養成センターを設立することを提案した。日本側は、この計画を歓迎し、「21世紀東アジア青少年大交流計画」の下で若手日本語教師を派遣し、インドの取組を支援することを検討する旨表明した。

26.日印交流年:

両首脳は日本とインドの双方で行われている日印交流年事業の成功に対し、満足の意をもって留意した。双方は、青少年、スポーツ、映画、ポップ・カルチャー及びファションといった分野における交流の一層の強化を優先して、相互の交流を促進する。双方はそれぞれ、2008年に、相手国で映画祭を開催する。また、両首脳は、両国の自治体間の交流の最近の進展を強化することも決定した。

27.観光促進:

両首脳は、日印双方における日印観光交流年の成功について満足の意を表明し、両国間の訪問者数を2010年までに30万人、2015年までに50万人に増加させるという目標を含め、双方向の観光客誘致の取組を促進する意志を再確認した。

共通に関心を有する課題

28.東アジア首脳会議(EAS):

両首脳は、東アジア共同体の高まりと漸進的な実現におけるEASの重要性を確認し、この目標に向けてこの地域の他の諸国と協働していくことで一致した。両首脳は、普遍的価値に基づく共同体形成のプロセス及び地球規模でのこの地域の役割を高めることに、EASが実質的貢献を果たし得ることを改めて強調した。両首脳は、エネルギー安全保障、青少年交流、「東アジア包括的経済連携」(CEPEA)の研究、「東アジア・ASEAN経済研究センター」(ERIA)の設立等の分野における協力を促進し、EASの枠組みの下での他の協力分野を特定するために協働する意志を表明した。

29.東アジアにおける文明、社会、宗教間対話:

両首脳は、将来における東アジア共同体の形成に向けて、東アジアにおいて、異なる文化、社会、宗教の間の対話を促進することが重要であることを認識した。安倍総理は、アジアにおける学問の中心として、かつてアジアの学術研究の中心であったナーランダ大学を復興するというインド側のイニシアティブを歓迎した。日本側は、賢人会における議論を踏まえつつ、このイニシアティブの実現に向けた多国間の議論に参加する。

30.南アジアの安定的発展に向けた協力:

両首脳は、南アジアにおける地域協力を促進することの重要性を認識した。安倍総理は、インド政府の議長の下で第14回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が成功裡に開催されたことを賞賛した。インド側は、日本SAARC特別基金の下での日本のSAARC諸国との継続的な協力と連結性向上といった分野における更なる協力の意図を歓迎した。

31.地域協力のための重層的な枠組みの促進:

両首脳は、EAS、SAARC、アセアン地域フォーラム(ARF)をはじめとするアジアにおける地域協力のための枠組みと対話を重層的に促進するために、日印両国が積極的に協力すべきということを再確認した。両首脳は、日本、インド及びアジア太平洋地域の他の同様な考えを持つ諸国との間で、共通の関心事項について対話を行うことが有益であるとの認識を共有した。

32.国連改革:

両首脳は、国連改革プロセスの中心である、常任・非常任双方の議席拡大を通じた国連安全保障理事会の拡大を含む、包括的な国連改革に対するコミットメントを再確認した。両国は、安保理が今日における国際社会の実態を反映し、新たな脅威及び課題に効果的に対処できるように、安保理改革の早期実現に向け、緊密な協力を継続する。この関連で、両首脳は、ブラジル、ドイツ、インド、日本から成るG4による主導的役割を評価した。

33.WTO:

両首脳は、本年にWTOドーハラウンド交渉の妥結を成功裡に達成することの重要性を再確認した。両首脳は、バランスのとれた包括的な合意を達成するために緊密に協力していく決意を表明した。

34.エネルギー、環境及び気候変動:

両首脳は、エネルギー安全保障と環境保護の強化に関する個別の共同声明に署名することを決定した。

35.民生用原子力協力

両首脳は、原子力エネルギーが地球規模で増大するエネルギー需要に対応するための安全かつ持続可能な汚染のないエネルギー源として重要な役割を果たしうるという認識を共有した。両首脳は、適切な国際原子力機関(IAEA)保障措置の下における、インドに関する国際的な民生用原子力協力の枠組みに関する、関連する国際的な場における建設的な議論への期待を表明した。

36.軍縮・不拡散

両首脳は、軍縮へのコミットメントを改めて表明し、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散を強く懸念しつつ、軍縮における協力を継続し、拡散に立ち向かうパートナーとして取り組んでいく意志を確認した。

37.北朝鮮

両首脳は、寧辺の核施設の活動の停止及び北朝鮮におけるIAEAの活動開始を含む六者会合における最近の進展を歓迎した。両首脳は、北朝鮮が、朝鮮半島の非核化を実現するため、六者会合での決定を履行するための措置を継続すべきであるという点で一致した。また、両首脳は、北朝鮮以外の関係国がこの進展を促進するためにとった措置を歓迎した。両首脳は、国連安保理決議第1718号の履行の重要性を強調した。インド側は、人道上の問題である拉致問題の早期解決に向けて、国際社会と協力する意志を表明した。

38.人間の安全保障

両首脳は、ミレニアム開発目標の達成を含むグローバルな課題に取り組むことを念頭に、人間の安全保障という概念の、進化しつつある、多面的かつ包括的な性質に妥当な考慮を払いつつ、この概念の共通理解を進展させるために協力する必要性を強調した。

39.テロ対策

両首脳は、テロが国際平和と安全に最も深刻な脅威の一つとなることを再確認し、両政府によってとられたテロとの闘いのための取組を賞賛した。両首脳は、あらゆる形態、目的のテロを強く非難し、いかなるテロ行為も正当化しえないことを強調する。両首脳は、テロとの闘いのために、日印テロ協議を含む二国間協力を強化することを決定した。両首脳は、国連グローバル・テロ対策戦略の完全な履行へのコミットメントを強調し、現在行われている包括的テロ防止条約交渉の迅速な妥結を呼びかける。両首脳は、可能な限り早期に、日印テロ協議を開催するよう両政府の関係機関に指示した。

2007年8月22日 ニューデリー

日本国内閣総理大臣

安倍 晋三

インド共和国首相

マンモハン・シン