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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 麻生外務大臣のインド訪問(共同プレスリリース)

[場所] ニューデリー
[年月日] 2006年1月4日
[出典] 外務省
[備考] http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/in_paki_05/pr_india.html(2010年6月1日アクセス)
[全文]

 麻生外務大臣は、随員とともに、1月3日~4日の日程でインドを公式訪問している。インドは、麻生大臣が二国間協議のために訪問したアジアで最初の国である。麻生大臣は、本日(4日)午後、ハイデラバード・ハウスにおいて、E. アハメド外務担当国務大臣と会談を行った。また、カマル・ナート商工大臣、M. K. ナラヤナン国家安全保障顧問と意見交換を行ったほか、アブドゥル・カラーム大統領を表敬する。

 麻生大臣とアハメド外務担当国務大臣の会談の中で、両大臣は、現在の二国間関係を肯定的に評価し、特に2005年4月の小泉総理訪印以降、日印グローバル・パートナーシップが新たなダイナミズムとモメンタムを得たことを歓迎した。両大臣は、2005年4月29日ニューデリーにおいて両首脳間で署名された共同声明の内容に言及するとともに、日印グローバル・パートナーシップを戦略的観点から更に促進するため、次の諸点につき意見の一致を見た。

1.要人往来:

 小泉総理からの訪日招請を受け、マンモハン・シン首相は、日印双方に都合のよい早い時期に来日する予定である。外務、防衛、財務、通商、情報通信の各担当大臣を含む閣僚の往来も継続される。

2.戦略的対話:

 小泉総理訪印時、両首脳が日印グローバル・パートナーシップに戦略的方向性を付与することに合意したことを踏まえ、両大臣は、今後、外相間での戦略的観点からの対話を実施することに合意した。麻生大臣は、外相間戦略的対話実施のため、インドの外務大臣の訪日を招請した。現在行われている日印次官級政務協議は、外相間戦略的対話の準備のための枠組みとして活用される。小泉総理訪印時に合意された「ハイレベルの戦略的対話」についても、可能な限り早期に実施される。

3.経済連携協定:

 両大臣は、2006年6月までに報告書を提出することとなっている日印共同研究会(JSG)の作業を踏まえつつ、経済連携協定の可能性を真剣に検討していくことに合意した。

4.情報通信(ICT)協力:

 2005年8月にニューデリーにて開催された第1回ICTフォーラムの成果にかんがみ、両大臣は、近日中に開催されるICTフォーラム・ワーキンググループ等を通じ、情報通信分野での協力の極めて大きな潜在性を開拓していくことに合意した。

5.エネルギー分野における協力:

 インド側は、インドのITER参加に対する日本の支持を歓迎した。両大臣は、2005年9月29日に東京において、日本の経済産業大臣とインドの石油天然ガス大臣の間で策定されたアクションプランの履行等を通じ、エネルギー分野での協力を促進していくことに合意した。

6.科学技術イニシアティブ:

 両大臣は、2005年4月の両首脳による共同声明で発表された「科学技術イニシアティブ」の一環として実施される共同プロジェクトを明確化するために、ワークショップを開催することに合意した。ワークショップの具体的形態については、2005年11月にニューデリーにて開催された第7回日印科学技術合同委員会に続く今後の協議を通じて決定される。

7.ODA:

 麻生大臣は、インドが3年連続で日本の円借款の最大の受取国になる見込みであることを伝えた。これに対し、インド側は、日本の支援に感謝した。

8.貨物鉄道案件:

 両大臣は、デリー・ムンバイ間、デリー・コルカタ間の貨物鉄道輸送力強化計画に関する小泉総理訪印時の了解に基づき、JICAによる開発調査実施のための口上書が交換されたことを確認した。

9.人の交流:

 麻生大臣は、日本政府による取組として、日本語、技術、若者等の分野で、今後3年間に4000人の交流を目指す「麻生プログラム」の実施を表明した。インド側は、人と人の交流を促進するものとして、この取組を歓迎した。両大臣は、地方レベルでの更なる交流を奨励していく旨合意した。

10.査証:

 日本政府によるインド人ビジネスマンに対する3年有効数次査証の発給等、近年査証発給手続きの緩和が進んでいることを踏まえ、両大臣は、更なる査証発給緩和を検討するための協議を指示した。

11.安保対話・協力:

 両大臣は、安全保障・防衛分野における二国間の対話と交流を更に強化していくことに合意した。インドの国防大臣の本年中の来日が見込まれている。同国防大臣来日までに、次回の安保対話が開催される。

12.軍縮・不拡散:

 両大臣は、軍縮・不拡散分野において、建設的な形で共通認識を促進し、合意できる相互協力分野を拡大し、以て二国間関係全体の発展に貢献するため、軍縮・不拡散に関する局長級年次協議の開始に合意した。同協議では、ハイテク貿易に関連する事項についても扱われる。

13.東アジア首脳会議(EAS):

 第1回EASの肯定的成果をふまえ、両大臣は、EASが東アジア共同体のビジョンの具現化において重要な役割を果たすべきであることに合意した。このため、日印両国は、緊密な協議と連携を継続する。

14.国連改革:

 両大臣は、国連改革の中核である安保理の改革及び常任・非常任理事国双方の拡大を含む、早急かつ包括的な国連改革を今次総会会期中に実現することの必要性を再確認した。両大臣は、G4の連携は意義のある進展であったこと、また、G4は協議を通じて安保理改革実現のためにより多くのメンバー国の支持の獲得を追求していくことを改めて確認した。