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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] メグナ橋完工式における海部内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 1990年5月1日
[出典] 海部演説集,290頁.
[備考] 
[全文]

 エルシャド大統領閣下

 並びにご列席の皆さま

 本日、この風光明媚なメグナ河において、バングラデシュ・日本両国友好の象徴としてふさわしく、我が国の無償資金協力により建設されたメグナ橋の開通式が挙行され、これに出席する機会を得ましたことは、私自身にとり大きな喜びであります。ただ今エルシャド大統領閣下とともに渡ってまいりましたメグナ橋の雄姿は、私共一行に対する貴国国民の暖かい歓迎とともに、終生私の忘れ難い思い出となるものと信じております。国土が多くの河川により分断されている貴国の場合、交通網の整備は、とりわけ重要な課題であります。

 貴国の首都で経済の中心であるダッカと国際港を擁し多くの基幹産業が集中しているチッタゴンを結ぶ幹線道路の重要性は、メグナ橋建設によって一層高まるものと推察いたします。バングラデシュ・日本友好橋と命名されましたメグナ橋は、まさに貴国と我が国の地理的隔たりを克服し、アジアの同胞として両国国民がこれまで培ってきた強い友情の絆を象徴するかのようであります。本日この偉容をほこる橋を前にして覚えました感動を胸に、私は新たな決意の下に貴国と我が国との協力関係の強化、拡大に努める所存であります。

 最後に長期にわたる困難を克服され、本プロジェクトを立派に成し遂げられたバングラデシュ政府運輸省関係者の方々、更に建設工事を請負った我が国の日本工営、パシフィック・コンサルタント、大林組関係者の方々に対し、この場を借りまして厚くお礼申し上げ、メグナ橋開通式における私の祝辞とさせていただきます。