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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] バングラデシュ承認にあたつての福田外務大臣談話

[場所] 
[年月日] 1972年2月10日
[出典] 外交青書16号,506頁.
[備考] 
[全文]

 1.政府は本日の閣議でバングラデシュ人民共和国を承認することを決定し,本大臣よりこの旨を直ちに先方のモハマッド・アブダス・サマド・アザド外務大臣に通報するとともに,同国との間にすみやかに外交関係の樹立を希望する旨を伝えた。

 同時に佐藤総理よりバングラデシュの生誕を祝福し,バングラデシュが発展と繁栄の基礎作りに成功することを祈念する旨の親電をムジブル・ラーマン首相宛発出した。

 2.バングラデシュについては,ムジブル・ラーマン首相に率いられる新政府が同国の民衆から圧倒的支持を受け,かつ有効な統治を確立するに至つたと認められ,諸外国も2月8日現在,英,ソ連,豪等を含む29カ国がこれを承認したことが確認されている。

 7,500万の人口を有する同国の平和と安定はアジアの一国として我国も強く希望するところであり,この実現のためには現実を直視し同国を国際社会の名誉ある一員として迎え入れることが必要と考える。

 3.現在のところパキスタンはバングラデシュの独立を承認していないが,我国としては今回バングラデシュを承認しても,パキスタンとは従来からの友好親善関係を引続き維持し発展せしめる方針に変更はない。佐藤総理もブット大統領に対しバングラデシュ承認につき親電をもつて通報するとともにこの方針を伝えた。また我国としてはパキスタンとバングラデシュとの間にすみやかに友好親善関係が樹立されることを希望している。