データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフガニスタン問題に関する西堀正弘国連大使の安保理発言

[場所] 
[年月日] 1980年1月5日
[出典] 日本外交主要文書・年表(3),1122頁.外務省情報文化局「外務省公表集」,昭和55年,3頁.
[備考] 
[全文]

1 日本は本問題が、国際の平和及び安全に対する脅威と見做されることに鑑み、安保理が早急に開催されることを希望し、開催要求の書簡にも同様の関心を有する他の諸国と共に署名した。

2 本問題に関する日本政府の考え方は、十二月二十九日出された大来外相のステートメントにおいて概要次のとおり明らかにされている。

  「今回、ソ連が自国の軍隊をアフガニスタンに進駐せしめたことは、日本国政府の立場とは相容れないものであり、かつ国際正義に悖るものとして、これを遺憾とせざるを得ない。更に、今般のソ連の軍事的行動は、国際の平和及び安全を損うものであり、日本国政府として深い憂慮を表明せざるを得ない。

  日本国政府は、ソ連邦政府がアフガニスタンへの軍事的介入を直ちに停止し、同国の独立と主権の尊重の立場に立って行動することを切望するものである。

  アフガニスタンの国内問題は、同国国民自身の手により解決されるべきものと考える。」

3 本問題の発生と展開に関し、国連憲章第五十一条等を引用しつつソ連が行っている説明は、国際社会を到底納得させるものではなく、その行動を正当化するものでもない。

  わが国としては、ソ連が直ちにその軍隊を撤退せしめることを強く求める。

4 アフガニスタンの国内問題は同国民自身の手により解決すべきであるとの内政不干渉、自決権行使の尊重は、現代国際社会の規範であり、国連憲章が依って立つ支柱の一つであることを再確認したい。

5 日本は、開催要請国の一つとして、この会合が早期に持たれたことを心より歓迎すると共に、安保理が本問題に対し有効かつ適切な対処を行うことは、国連の権威を高めることとなるものと信ずる。