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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定

[場所] モスクワ
[年月日] 1978年4月21日
[出典] 外交青書23号,361−363頁.
[備考] 
[全文]

 日本国政府及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府は,

 北西太平洋の漁業資源の保存,増大及び最適利用に関する共通の関心を考慮し,

 両締約国間の漁業の分野における科学技術協力の促進に関し相互に関心を有し,

 国際海洋法の新たな発展及び第3次国際連合海洋法会議における作業を考慮し,

 1977年5月2日付けの日本国の漁業水域に関する暫定措置法に基づく漁業に関する日本国の管轄権並びに1976年12月10日付けのソヴィエト社会主義共和国連邦沿岸に接続する海域における生物資源の保存及び漁業の規制に関する暫定措置に関するソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会令に規定されている探査,開発及び保存のための生物資源に対するソヴィエト社会主義共和国連邦の主権的権利を認め,

 両締約国間の漁業の分野における互恵的協力を発展させることを希望して,

 次のとおり協定した。

    第1条

 この協定は,両締約国間の漁業の分野における互恵的協力を発展させることを目的とする。

    第2条

 両締約国は,次に掲げる事項に関する協力を含む漁業の分野における協力の発展を促進する。

 (a) 海水及び淡水における生物の漁獲の技術及び方法の改善

 (b) 海水及び淡水における生物の増殖及び養殖の技術及び方法の改善

 (c) 海水及び淡水の生物並びにこれらの製品の利用,加工,保蔵及び輸送の方法の改善

 (d) 科学的調査の実施(科学的情報及び資料の収集及び交換を含む。)

    第3条

 両締約国は,北西太平洋の距岸200海里水域の外側の水域における漁業資源(溯河性魚類{溯にさくとルビ}を含む。)の保存及び合理的利用について協力を行う。

 協力の具体的な措置は,この協定に基づいて毎年作成されかつ署名される議定書により,両締約国の間で決定される。

    第4条

1 両締約国は,この協定の目的を達成するため,日ソ漁業委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は,二の国別委員部で構成し,各国別委員部は,それぞれの締約国の政府が任命する3人以内の委員で構成する。

3 委員会の決定及び勧告は,国別委員部の間の合意によつて行う。

4 委員会は,その会議の運営に関する規則を決定し,及び,必要があるときは,これを修正することができる。

5 委員会は,少なくとも毎年1回交互に東京及びモスクワにおいて会合するものとし,また,そのほかに,いずれか一方の国別委員部の提案により会合することができる。委員会の第1回会議の期日及び場所は,両締約国間の合意で決定する。

6 委員会は,議長を委員会の会議が行われる締約国の国別委員部から選定する。議長は,1年の任期をもつて選定される。

7 委員会の公用語は,日本語及びロシア語とする。

8 委員会の委員が会議に出席するために生ずる経費は,その任命する政府が支払う。委員会の共同の経費は,委員会が勧告しかつ両締約国が承認する形式及び割合において両締約国が負担する分担金により,委員会が支払う。

    第5条

 委員会は,次に規定する任務を遂行する。

 (a) 各締約国から提出される科学的情報及び資料に基づき,両締約国が共通の関心を有する北西太平洋の漁業資源の状態について検討し,並びに当該漁業資源の保存及び合理的利用について協議する。

 (b) 第2条に規定する協力に関する計画を作成し,及びこれを両締約国に勧告し,並びにその実施状況につき意見の交換を行う。

 (c) この条の規定の実施のために各締約国が委員会に提出する統計その他の資料の種類及び範囲を決定する。

 (d) 漁業の分野における共同事業の実施の妥当性を検討する。

 (e) この協定の実施に関連するその他の問題を検討する。

    第6条

 この協定のいかなる規定も,第3次国際連合海洋法会議において検討されている海洋法の諸問題についていずれの政府の立場又は見解をも害するものとみなしてはならない。

    第7条

1 この協定は,それぞれの国の国内法上の手続に従つて承認されなければならない。この協定は,その承認を通知する外交上の公文が交換された日に効力を生じ,1982年12月31日まで効力を有する。この協定は,いずれか一方の締約国がこの協定の有効期間の満了の日の6箇月前までにこの協定を終了させる意思を他方の締約国に書面によつて通告しない限り,自動的に順次1年間効力を存続する。

2 この協定は,第3次国際連合海洋法会議において多数国間条約が採択された時に,両締約国が再検討することができる。

 以上の証拠として,下名は,各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。

 1978年4月21日にモスクワで,ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書2通を作成した。

日本国政府のために

中川一郎

重光晶

ソヴィエト社会主義共和国連邦政府のために

A・イシコフ