データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本とオーストラリアのパートナーシップ・アジェンダ

[場所] 東京
[年月日] 1997年8月1日
[出典] 外交青書41号,308−316頁.
[備考] 
[全文]

 日豪両国政府は、日豪間のあらゆる分野における関係と交流の幅広さを認識し、二国間、地域的及び多国間の様々な共通の関心事項について更なる相互理解と協力を推進することを希望し、「1995年の日豪パートナーシップに関する共同宣言」に従って、以下の行動をとることを決意する。

1.政治対話

 日豪両国政府は、年1回の日豪首脳会談及び日豪閣僚委員会を含む高いレベルにおける緊密な対話を通じ、協力的なパートナーシップを継続する。

2.安全保障及び防衛

 日豪両国政府は、両国間の安全保障及び防衛に関する対話並びに防衛活動の範囲が拡大していることを認識し、域内安全保障の促進に貢献することを希望し、以下の行動をとる。

(1)毎年開催されるポリティコ・ミリタリー協議、防衛当局間協議及び高いレベルの相互訪問を通じ、両国の安全保障対話を更に発展させる。

(2)防衛教育交流を含む共通の専門的関心分野において豪国防軍と自衛隊の交流を拡大する方法を検討する。

3.二国間経済・貿易関係

 日豪両国政府は、日豪二国間の強固な経済的結びつきを認識し、両国間の貿易の相互補完性炭び多様化の進展を基礎として、以下の分野において両国間の経済関係を更に発展させる。

(1)貿易・投資の促進・円滑化

 (イ)1997年に技術専門家会合を開催すること等により、適合性基準評価・認証に関する相互承認体制を発展させる可能性につき積極的に検討する。

 (ロ)税関手続の効率を高めるために、税関分野における既存の協力を強化する。

 (ハ)オーストレード(AUSTRADE)とジェトロ(JETRO)は、豪州製品の対日輸出促進のため、供給能力に合わせた市場マーケティング、商品のPR活動、展示間の開催を含め協力体制を継続する。

 (ニ)1997年に最初の試行プログラムを設けることにより、食肉の衛生証明書用データーの電子送付について協力する。

 (ホ)国内生産性及び経済成長を支えるために必要な構造改革、ならびに公共政策立案過程や、あらゆる経済分野の生産性向上がもたらす利益についての地域社会の理解に対して、研究及び機関が貢献できることについての情報交換を行う。

(2)規制緩和及び競争政策

 豪州政府は、公共政策計画者間の結びつきを発展させるため、日本側の資金提供による行政改革計画者の視察団が豪州のミクロ経済改革の経験について研究するために豪州を訪問する際のプログラムの開発の可能性につき検討する。また、豪州政府は、例えば東京にある大学と共同で日本側の資金提供によるセミナーを東京で開催する可能性を検討することにより、経済の規制緩和及び競争政策の役割に関する経験を共有する。

(3)観光

 日豪両国政府は、発展している日豪間の観光の最大限の潜在能力を引き出すため、日豪観光交流促進協議を定期的に開催し、また、観光に対する障壁に対応するため、観光業界との協力を含め、協力することにより、観光開発を促進する。また、豪州政府は、短期滞在目的の日本人旅行者に対する入国手続の更なる簡素化の方法を検討する。

(4)住宅・建築

 日豪両国政府は、日本における住宅建設コストの低減に貢献し、また、この分野における双方向の貿易を促進するため、次の通り相互の市場アクセツを改善に向け協力する。

 (イ)建築資材に関する検査データーの相互受入及び建築基準の相互承認を促進する。この関連で、両国は豪連邦科学産業研究所(CSIRO)を活用する方法を検討する。

 (ロ)日豪建築住宅委員会を通じて、建築基準の性能規定化を含む当該分野に係る技術、認証及びその他関連事項について情報交換を行う。

(5)エネルギー

 日豪両国政府は、鉱物資源・エネルギー貿易の日豪両国にとっての中核的な重要性に鑑み、その継続的な成長を確保するために協力する。日豪両国政府は、日豪エネルギー高級事務レベル協議が情報交換及び高いレベルでの政策対話のための重要な場としての価値を有していることを確認する。

(6)農業

 日豪両国政府は、農業分野における日豪間の多様で長期間に亘るパートナーシップ関係を認識し、非公式な意見交換を促進し更なる相互理解及び協力を構築するため、相互に関心のある農業関連の問題に関する非公式な対話を継続する。

(7)雇用及び訓練

 日豪両国政府は、両国が直面している課題の実質的な共通性を認識し、政府関係者の交流及び労働市場政策に関する情報交換を通じて協力を強化する。

(8)運輸

 日豪両国政府は、日豪運輸ハイレベル協議の設置を踏まえ、インフラ開発、空港騒音対策、国際海運市場の自由化、サブスタンダード船及び海上安全を含む多くの問題について検討する。

4.科学技術

 日豪両国政府は、日豪間の科学技術面での結びつきの発展に伴い、この分野における共同活動の拡大の実質的な可能性を認識し、以下の分野を含む多くの分野での更なる協力の機会を探求する。

(1)日豪科学技術協定

 日豪両国政府は、「日家科学技術研究開発協力協定」の下での新たな協力分野を探求する。この関連で、日豪両国政府は、日豪科学技術協力合同委員会を通じた協力を継続する。

(2)情報技術

 日豪両国政府は、日豪科学者間の共同研究を促進するため、両国間の高性能コンピューター通信網(HPCC)を設置する意向を確認した。

(3)科学研究開発の商業的応用

 日豪両国政府は、両国における商業べ一スの科学研究開発の多様化の進展を認識し、民間関係者と科学研究開発者との緊密な接触を通じ、科学研究開発の商業的応用の増加を探求する。

(4)その他

 日豪両国政府は、日豪共同研究ワークショップ及び人材交流を通じて、がん及び循環器病の研究を実施する。

5.原子力の平和的利用

 日豪両国政府は、域内のエネルギー使用における原子力エネルギーの重要性が高まっていること、及び域内における原子力安全の確保のための協力の重要性を認識し、以下の協力を推進する。

(1)二国間の年次原子力協議の下での高いレベルの協議等を通じて、原子力エネルギーの平和的利用に関し協力し、相互理解を促進する。

(2)国際原子力機関(IAEA)、原子力科学技術に関する研究開発及び訓練に関するアジア太平洋地域協力協定(RCA)、アジア原子力協力に関する国際会議(ICNCA)及び1996年11月に開催されたアジア原子力安全東京会議等を含むフォーラムにおける原子力エネルギー問題に関する効果的な対話を発展させるための努力を相互に支援する。

(3)強化・効率化されたIAEA保障措置制度の実施のため、及び原子力関連輸出管理の実効性を確保するために協力する。

6.教育

 日豪両国政府は、両国間の留学生の増加、学生及び教員の交流の増加、日豪の教育機関間の結びつきの拡大及び政府関係者の交流の増加によって特徴付けられた、教育分野における結びつきの急速な発展を認識し、以下を通じて更に協力する。

(1)教育政策及び教育プログラムに関する情報交換

(2)教育委員会の職員、学校審議会の構成員、大学職員、学生、教員、学者及び政府関係者を含む教育分野における人的交流の強化

(3)大学を中心とした研究開発及び研究者交流の拡大

7.労使関係

 日豪両国政府は、それぞれの労使環境に関する相互理解を促進するため、約三年に一回実施されている高いレベルの日豪政労使ミッションの交流を継続する。1995年11月の日本側代表団の訪豪に続き、豪州政府は、1998年度に代表団を日本に派遣することを検討する。

8.文化交流

 日豪両国政府は、人的交流の発展の重要性を認識し、日豪文化混合委員会の開催を含め文化交流を促進するための努力を継続する。

 日豪両国政府は、1996年から1998年にかけての日豪間の重要な記念日を祝うために、共同で作成した「日豪友好記念」のロゴ・マークを通じて象徴的に関連づけられた幅広い記念事業を計画した。

9.外交政策協調

 日豪両国政府は、両国間の緊密な政治関係を基礎として、アジア太平洋地域の、及び世界的な主要な国際的問題に関する政策協調を発展させる。この関連で、日豪両国政府は、麻薬委員会及びダブリン・グループを通じての非合法な麻薬に関する世界的な問題への対処、及び主として国連犯罪防止及び犯罪司法委員会を通じた火器の規制措置をはじめとする犯罪に関する問題への対処について協力を継続する。

(1)麻薬問題

 日豪両国政府は、国連国際薬物統制計画(UNDCP)及びダブリン・グループ(DG)といった多角的な枠組みの中で麻薬及び向精神薬の不法な生産、需要及び取引に対処するに当たり、また、この問題へ取り組む方法を見出す努力を調整するために、協力を継続する。

(2)テロリズム

 日豪両国政府は、両国が締結しているテロリズムに関する国際条約の枠組みの中でテロリズムに対処するための協力を継続する。

(3)資金洗浄

 日豪両国政府は、資金洗浄問題を地域の優先課題の一つとして認識したAPEC蔵相会議の共同宣言を支持し、金融活動作業部会(FATF)及びアジア・太平洋マネーロンダリング対策グループを通じて、域内各国による、及び世界的な資金洗浄対策措置の採用の推進について協力する。

10.環境

 日豪両国政府は、両国が国際環境問題に関して共通の関心及び懸念を有していることに鑑み、次の項目について、意見交換及び協力を行う。

(1)1997年の気候変動枠組条約第三回締約国会義に向けた共同実施活動及び他の強力活動を含む、温室効果ガス放出に対するアプローチ

(2)国連環境開発特別総会(UNGASS)の成果、及び国連環境計画(UNEP)ハイレベル委員会の第1回会合の議論

(3)バイオセーフティ議定書交渉を含む生物多様性に関する時効及びクリアリングハウスメカニズム

(4)国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)に基づく、特にこれらの地域のため策定されたICRI地域戦略の実施促進を通じた、東南アジア及び太平洋地域のサンゴ礁の保全

(5)環境汚染物質排出及び移動登録制度の整備のためのアプローチ

(6)陸上活動からの海洋環境の保認こ関する世界的行動計画の地域的実施

(7)東アジア.オーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワークを特に重視したアジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略の実施

(8)静止気象衛星5号システム計画および気象観測を行う静止衛星分野

(9)地球環境の変化の指標の開発および地球環境管理改善のための人的情報ネットワーク構築を目的とした地球科学技術研究のための基礎的升ターセット作成研究(GRNS)

(10)アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の推進

(11)自然災害軽減や地球環境及び資源管理に寄与する世界規模の地理情報の整備促進のため、地球地図構想に基づく関係各国及び国連との協力

(12)アジア太平洋環境教育シンポジウム等を通じた、同地域における環境教育の促進

11.援助協力

(1)二国間協力

 日豪両国政府は、アジア太平洋地域に焦点を当てた両国の援助プログラムの共通性を認識するとともに、各々の援助プログラムの相互補完的な側面を考慮し、ハイレベルでの日豪援助政策協議を通じた協調努力を強化する。日豪両国政府は、現在進行中のプロジェクトにつき協議するとともに、新たな共同プロジェクトを特定する機会を探求する。

(2)メコン河流域開発

 日豪両国政府は、メコン河流域の持続可能な開発のために協力する。この関連で、日豪両国政府は、インドシナの包括的開発のためのフォーラムにおいて緊密な協力を継続し、豪州が主催し、日本が議長を務め1996年9月に開催されたインドシナ開発フォーラムのインフラ作業委員会において開始された有益な対話に留意する。

12.太平洋諸島

 日豪両国政府は、太平洋島嶼国の持続的な開発に対する関心を共有し、南太平洋フォーラム(SPF)域外国対話を含め、太平洋問題に関する対話を強化するとともに、特に、天然資源の管理及び経済・公的部門改革に焦点を当てる。また、日豪両国政府は、特に東京の太平洋諸島センター(PIC)及びシドニーの南太平洋貿易委員会の活動における協力と調整を含め、太平洋島嶼国における力強い民間部門の育成について協力する。

13.アジア欧州会合(ASEM)

 日本国政府は、豪州のアジア欧州会合への参加を引き続き強く支持する。

14.域内の戦略・安全保障協力

 日豪両国政府は、域内各国との間で、信頼、共有された利益、及びこの地域の将来に対する共同責任の感覚をつくり出すことを確約する。

(1)米国の地域安定への貢献

 日豪両国政府は、両国政府が最近それぞれ米国との間の安全保障関係を再確認したことに照らし、また、米国がアジア太平洋地域の安全保証を支えるために果たしている枢要な役割を共に認識し、域内における米国の重要な役割を支えるために協力する。このことは、それぞれの国の米国との同盟関係を通じて、また、米国が多国間の安全保障対話に建設的に参加することを支持することにより達成されるであろう。

(2)ASEAN地域フォーラム(ARF)

 日豪両国政府は、平和と安定を促進するに当たって域内の多国間安全保障の枠組みが果たし得る役割を認識し、次の行動をとる。

 (イ)予防外交及び紛争へのアプローチの分野を含め、ARFを更に発展させ、域内各国間の戦略上及び安全保障上の関心の共有に貢献するような対話、信頼醸成及び透明性の習慣を強化する。

 (ロ)防衛関連の実際的な強力措置、特に防衛の透明性の向上及び域内の軍備競争の回避に貢献するような措置を達成するために信頼醸成措置に関するインターセッショナル・グループの実質的な議題を強化する。

 (ハ)新たに合意された加盟基準との整合性を確保しつつ、ARFの拡大が東アジア及び太平洋地域の安全保障に対する焦点を減ずることとならないよう、また、すべての参加国が新たなARF参加国について十分に協議に当たることを確保する。

 (二)防衛に携わる文民及び軍人がARFの過程に幅広く参加することを奨励する。

 (ホ)不拡散及び軍縮問題に関する検討を通じ、ARFが不拡散及び軍縮における地球規模の努力に貢献するように奨励する。

15.軍備管理、軍縮及び不拡散

 日豪両国政府は、国家及び地域の安全保障の向上のため、軍備管理、軍縮及び不拡散に関する世界的な規範を支持しつつ、特に大量破壊兵器の分野において、年次軍縮協議及び関係する国際フォーラムでの協力を含む緊密な協力を継続するとともに、アジア太平洋地域におけるこのような規範の遵守の促進について協力を継続する。

16.国連

(1)国連改革

 日豪両国政府は、国連強化の重要性及び1997−98年に日本が安全保障理事会の理事国として果たすことのできる貢献を認識し、均衡のとれた形で国連改革を推進するために協力する。

(2)安保理改革

 日豪両国政府は、安保理常任理事国の拡大を含む安保理改革の第52回国連総会中の実現に向けて、国連総会作業部会等の場において協力する。この関連で、豪州は日本の安保理常任理事国人りに対する強い支持を再確認する。

(3)財政改革

 日豪両国政府は、健固な財政基盤及び健全で実効的な財政運営が、国連が21世紀の課題に対処するために枢要であることに留意し、均衡のとれた形で国連改革を全体として達成するために、他の分野の改革と共に、財政改革を推進する。

(4)開発

 日豪両国政府は、全ての国の地球規模のパートナーシップに基づく新たな開発戦略の考え方を推進するとともに、国連システムの実効性を向上させ、その活動が開発途上国に対する目に見える利益をもたらすよう国連及び関連機関の間の調整を改善することにより、国連システムの改革を推進する。

(5)アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)

 日豪両国政府は、ESCAPのアジア太平洋地域における特別な役割に鑑み、域内の開発途上国の要求にきめ細かく対応した組織改革への段階的なアプローチの実施を推進しつつ、ESCAP加盟国間の分断を回避するために協力する。

(6)人権

 日豪両国政府は、民主主義、開発及び人権が相互に依存し、かつ相互に強化しあうものであることを認識しつつ、人権問題に関する協議を推進し、国連機関及び他のフォーラムを通じ、また非政府組織等への支援を通じ、人権を国際的に推進するための実効的かつ効率的な方策を探求する。

(7)国連平和維持活動

 日豪両国政府は、国連平和維持活動に関する協力の機会を追求する。特に、両国政府は、それぞれの国連平和維持活動における経験を活用するための方法を探求する。

17.APEC

 日豪両国政府は、ボゴール宣言で述べられたような、また、大阪行動指針に合致したアジア太平洋地域における2010年/2020年までの自由で開かれた貿易・投資という長期的な目標の達成を含む多くの目的や目標へのコミットメントを再確認し、特に以下の分野において協力する。

(1)貿易・投資の自由化・円滑化

 日豪両国政府は、次のとおり協力する。

 (イ)民間セクターの意見及び要望を考慮しつつ、個々の多角的及び地域的なコミットメントを越えるような措置を含めることにより、両国各々の個別行動計画(IAP)を継続的かつ実質的に改善する。

 (ロ)WTOの下での多角的貿易体制を支持・強化するためにAPECにおける共同イニシアティブを発展させる。

 (ハ)貿易、投資及び経済成長に建設的な影響を与えるような分野の早期自主的自由化を推進する。

 (二)投資環境の向上のための作業を強化する。

 (ホ)特に、ABAC(APECビジネス諮問委員会)及び民間セクターが特定した優先分野を反映しつつ、共通の関心分野においてAPECの貿易円滑化を前進させる。

(2)経済・技術協力

 日豪両国政府は、アジア太平洋地域における持続可能な成長及び衡平な開発を達成するために、経済・技術協力を更に推進すべく協力する。

(3)APEC食料タスクフォース

 日豪両国政府は、特に、食料タスクフォースの共同議長として、長期的課題である人口増加及び経済成長が食料、エネルギー及び環境に与える影響(FEEEP)に関するAPEC首脳のイニシアティブに関する更なる議論について協力する。

(4)運輸

 日豪両国政府は、海運イニシアティブ、電子データー交換プロジェクト及び道路輸送調和プロジェクトといった運輸分野における協力を拡大する。

(5)エネルギー

 日豪両国政府は、域内の多くの国におけるエネルギー需要の大幅な増加が予想されることから、今後10年間に域内のエネルギー問題がより重要な課題となることを認識し、域内エネルギー問題の理解の向上を促進し、電力インフラ開発のための資本を動員し、経済開発の進展に伴う環境への影響を軽減し、また、エネルギー基準に関する協力を通じてコスト削減を行うことについて緊密に協力する。

18.国際貿易・経済問題に関する協力

 (1)WTO

 日豪両国政府は、WTOの下での多角的貿易体制の優位に対するコミットメントを共有し、更なる貿易自由化及び経済成長の推進のためにこの体制を強化する必要性を認識する。日豪両国政府は、シンガポール閣僚会議を受けて、実効的なWTOの作業計画を追求すること、特に金融サービス交渉を成功裡に終結することに向け緊密に協力する。

 日豪両国政府は、「貿易と投資」、「貿易と競争政策」及び「政府調達の透明性」といった経済のグローバル化に伴い生じてきた課題についてのWTOにおける新たな作業について関心を共有するとともに、地域貿易取決めがWTOと補完的であり、かつWTOルールと整合的であることを確保するためWTO及び関連するフォーラムにおいて協力する。

 日豪両国政府は、WTOの普遍的なメンバーシップ支持するとともに、加盟申請中の国が、WTOルールの一体性を維持しつつ、商業的に意味のある市場アクセスについての約束を行った上で早期に加盟することについての支持を確認した。

 日豪両国政府は、就中見直し及び更なる交渉といったビルトイン・アジェンダ及び1996年のWTO閣僚会議において合意された作業計画を通じ、ルールに基づくシステムの下で世界貿易の自由化及び交渉の場としてのWTOを更に強化するような1998年のWTO閣僚会議の実質的かつ前向きな結果を確保するために、協力する。

(2)OECD

 日豪両国政府は、OECDにおいて両国にとって極めて重要な幅広い経済問題に関して有益な作業が行われていることを認識し、OECDへのアプローチについて、協力及び調整を強化する。直ちに関心のある課題としては、OECDの運営改革及び作業優先付けの改善が含まれる。また、日豪両国政府は、OECDがアジア太平洋地域の経済問題に対し、より多くの注意を払うよう努力する。

(3)日豪両国政府は、8カ国サミットにおいて議論された問題について意見交換を行う。