データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約,議定書

[場所] 東京
[年月日] 1976年6月16日
[出典] 日本外交主要文書・年表(3),858−859頁.主要条約集・昭和52年版,93−108頁.
[備考] 
[全文]

 日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約(以下「条約」という。)に署名するに当たり、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受け、更に、条約の不可分の一部と認められる次の規定を協定した。

1 条約のいかなる規定も、

(a)次の待遇、特恵又は特権の享受を要求する権利を、いずれの一方の締約国に対しても、与えるものではない。

 (i)他方の締約国が、開発途上にある国との特別の協定又は取極により、経済開発又は技術援助の目的のために当該開発途上にある国又はその国民若しくは会社に対し与えているか、又は将来与える待遇、特恵又は特権

 (ii)他方の締約国が、相互主義に基づき又は二重課税の回避若しくは脱税の防止のための協定により与えているか、又は将来与える租税に関する特別の利益の性質を有する待遇、特恵又は特権

 (iii)他方の締約国が、特別の協定又は取極により、第三国の国民に与えているか、又は将来与える旅券又は査証に関する待遇、特恵又は特権

(b)千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第二条の規定に基づいて日本国がすべての権利、権原及び請求権を放棄した地域に原籍を有する者にのみ日本国が与えているか、又は将来与える待遇、特恵又は特権の享受を要求する権利を、オーストラリアに対し与えるものではない。

(c)次の待遇、特恵又は特権の享受を要求する権利を、日本国に対し与えるものではない。

 (i)オーストラリアが他国又はその国民若しくは会社に与えているか、又は将来与える待遇、特恵又は特権であつて、当該他国の英連邦構成員としての地位に由来するもの

 (ii)オーストラリアが、アイルランド又はその国民若しくは会社に与えているか、又は将来与える待遇、特恵又は特権

 (iii)オーストラリアが、パプア・ニューギニア又はその国民若しくは会社に与えているか、又は将来与える待遇、特恵又は特権

 (iv)条約の署名の日にオーストラリアが国際関係について責任を有するいずれかの非本土地域又はその地域の居住者若しくは会社に与えているか、又は将来与える待遇、特恵又は特権

 (v)オーストラリアが、第三国又はその国民でオーストラリアへの移住者であるものに対し、そのような移住者が居住のためにするオーストラリアへの入国に関する事項又はそのような入国に付随する事項につき、オーストラリアと当該第三国との間の移住に関する特別の協定により与えているか、又は将来与える待遇、特恵又は特権

2 条約のいかなる規定も、いずれか一方の締約国が、関税及び貿易に関する一般協定、国際通貨基金協定、経済協力開発機構条約若しくはそれらを修正し若しくは補足する多数国間協定又は両締約国が共に当事国であるその他の関連のある多数国間協定の当事国として有しているか、又は将来有する権利及び義務に影響を及ぼすものではない。

3 条約の適用上、「会社」とは、

(a)締約国に関しては、その締約国の領域において施行されている法律に基づいて設立された法人をいう。

(b)第三国に関しては、その国の領域において施行されている法律に基づいて設立された法人をいう。

 以上の証拠として、各全権委員は、この議定書に署名調印した。

 千九百七十六年六月十六日に東京で、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

  日本国のために

    三木武夫

  オーストラリアのために

    マルコム・フレーザー