データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 対パレスチナ新支援パッケージとイスラエル・パレスチナ間信頼醸成新イニシアチブ

[場所] 
[年月日] 2003年4月29日
[出典] 外務省
[備考] 別添
[全文] 

1.概観

 日本は1年間程度の期間に約2,225万ドル規模の支援プロジェクト(約100名のパレスチナ人研修員の受入を含む)とその他「草の根・人間の安全保障無償」によるNGO等を通じた支援を実施していく。

2.具体的プロジェクト

(1) 人道支援 約1,290万ドル

 (イ) 緊急人道物資の供与

  ・ 支援額 : 50万ドル

  ・ 実施機関 : 国連開発計画(UNDP)

  ・ 概要 : パレスチナ自治区の貧困層を対象に、食糧、飲料水、薬品等の基礎物資を供与するもの。

 (ロ) ワクチンの供与

  ・ 支援額 : 約200万ドル

  ・ 実施機関 : 国連児童基金(UNICEF)

  ・ 概要 : 不足している基礎物資の中で最もニーズが高いのがワクチンであり、2003年のワクチン接種キャンペーンの実施を支援する。

 (ハ) パレスチナ難民支援

  ・ 支援額 : 約600万ドル

  ・ 実施機関 : 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)

  ・ 概要 : パレスチナ人の中でも困窮度が最も高いパレスチナ難民へ、医療、教育等の社会サービスを提供しているUNRWAの活動を支援する。

 (ニ) パレスチナ難民への食糧支援

  ・ 支援額 : 約420万ドル

  ・ 実施機関 : UNRWA

  ・ 概要 : パレスチナ自治区、ヨルダン、レベノン、シリアのパレスチナ難民を対象とした食糧支援。

 (ホ) ICRC(赤十字国際委員会)活動支援

  ・ 支援額 : 約20万ドル

  ・ 実施機関 : ICRC

  ・ 概要 : パレスチナ自治区において医療活動を行うICRCへの支援。

 (ヘ) NGO等を通じた基礎サービス供給

 現地の治安状況にも拘らず、自治区住民へ基礎サービスを効率的かつ効果的に提供しているNGO、地方自治体による支援プロジェクトを「草の根・人間の安全保障無償」を用いて随時実施していく。


(2) パレスチナ自治政府(PA)再建・改革支援 約785万ドル

 (イ) PA改革支援

  ・ 支援額 : 約120万ドル

  ・ 実施機関 : UNDP

  ・ 概要 : パレスチナ暫定自治政府が進めている改革を支援するもので、新設された首相の円滑な職務遂行を促進するための首相事務所建設等を行う。

 (ロ) PA司法改革支援

  ・ 支援額 : 350万ドル

  ・ 実施機関 : UNDP

  ・ 概要 : パレスチナ暫定自治政府が進めている司法分野での改革を支援するもので、ガザ地区南部のハーン・ユーニス市における裁判所及び司法庁庁舎を建設するもの。

 (ハ) ガザ地区における国際機関によるインフラ復興・雇用創出

  ・ 支援額 : 170万ドル

  ・ 実施機関 : UNDP、地方自治体

  ・ 概要 : ガザ地区における地方都市の公共インフラ等(道路等)の整備を実施し、ヒト・モノの移動を容易にするとともに、雇用を創出する。

 (ニ) 人材育成

  ・ 支援額 : 推計約145万ドル

  ・ 実施機関 : 国際協力事業団(JICA)

  ・ 概要 : パレスチナ暫定自治政府が進めている改革の推進を支える人材育成を目的とし、会計検査、司法等の分野での専門家約100名を対象に本邦、またはヨルダン等の第3国において研修を実施する。

  (参考:主な実施予定コース)  

  本邦研修 : 「民主化セミナー」(6名、2003年度)

         「地方自治体行政」(毎年度7名、1999~2003年度)

         「会計検査」(毎年度8名、2002~04年度)等

  ヨルダン等での第三国研修 : 「行財政運営」(毎年度12名、2002~06年度)

         「司法研修」(毎年度20名、2003~07年度)等

 (ホ) ヨルダン川西岸における地方自治体によるインフラ復旧・雇用創出支援

 イスラエルの軍事侵攻によりインフラ(ライフライン)、公共施設等に甚大な被害が発生しているヨルダン川西岸主要都市ジェニン、ナブルス、トルカレム、サルフィート、カルキリア、ベツレヘム、ヘブロン、ラマッラの各地区において、インフラ復旧と雇用創出を目的としたプロジェクトを「草の根・人間の安全保障無償」を用いて随時実施していく。


(3) 信頼醸成 約150万ドル

 (イ) 地方自治体ゴミ処理能力向上パレスチナ・イスラエル合同プロジェクト

  ・ 支援額 : 150万ドル

  ・ 実施機関 : PA地方自治庁、環境庁

  ・ 概要 : パレスチナ自治区では、住民の生活レベルにおいて深刻な環境問題が発生している自治体が少なからずあり、現地住民の不満と絶望感を高めている上、現状を放置すれば、早晩、地下水源の汚染や伝染病の発生に繋がる恐れがある。特に西岸のラマッラのゴミ処分場においては、イスラエルによる移動制限により、隣接するアル・ビーレ市のゴミ処分場へのアクセスができないため、キャパシティを超えるゴミが投棄され、衛生問題や水質汚染が懸念されている。これに対処するため、イスラエル、パレスチナ、日本を含むドナー間で合同ステアリングコミッティを立ち上げ、現在の処分場の面積拡大や代替処分場建設に向けたプロジェクトの策定、実施、モニターを行う。

 (ロ) イスラエル・パレスチナ市民間協力への支援

 2年半にも亘る衝突は、イスラエル・パレスチナ双方に甚大な人的・物的被害を発生させているばかりか、双方の市民間に不信感、憎悪を植え付けている。和平の到達点であるイスラエルとパレスチナの二国が平和的に共存するという「Two -state Vision」を達成するためには、かかる精神面での問題克服に向け、イスラエル・パレスチナ間の様々なレベルにおける対話、協力等を通じた信頼醸成を進めていく必要があり、クロス・ボーダー的な啓蒙、協力、平和活動等を行っているNGOや地方自治体を「草の根・人間の安全保障無償」を通じて支援していく。