データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] イラン・イラク戦争に関する西堀正弘国連大使発言(要旨)

[場所] 
[年月日] 1980年9月28日
[出典] 日本外交主要文書・年表(3),1178−1179頁.外務省公表集・昭和55年,147−148頁.
[備考] 
[全文]

1 わが国は、国連加盟国同志の間で紛争が発生し、双方に多くの損害が出ているのみならず、国際社会全体に平和と安全にとっても重要な脅威となっている事態を深く憂慮している。

2 わが国は、特に紛争地域が世界の政治経済に甚大な影響をもつことに留意し、とりわけ、ホルムス海峡とその周辺地域の第三国船の安全航行が確保されるべきと考える。

3 国連における九月二十二日の事務総長の声明を歓迎し、九月二十三日の次の安保理議長声明を国際社会の一致した見解を反映しているものとして支持する。

 (1)両国間の関係悪化と国際の平和と安全に対する脅威を憂慮する。

 (2)事務総長の仲介申し出を支持する。

 (3)両当事者に対し、安保理議長が武力行動・現状悪化を招く行為と差し控え、平和的解決をするよう要請することを求める。

4 わが国は、九月二十三日の国連総会の一般討論演説において、伊東大臣が両当事国が、国連憲章に基づいて、紛争を一日も早く締結することを希望する旨のべ、東京においても同趣旨の外務大臣談話を発表し、右わが国の基本的立場を両当事国にそれぞれ伝達した。

5 わが国は、右わが国の基本的立場を再確認するとともに、あらためて、紛争当事国の即時停戦、大国を含めた第三国の本件紛争への不介入と自制を強く訴える。

 従ってわが国は、安保理が先刻、かかる趣旨の決議案を採択したことを歓迎する。

 また、紛争の平和的解決のためわが国として今後出来ることがあれば、積極的に協力する用意がある。