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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 対イラン追加経済措置についての大来外務大臣談話

[場所] 
[年月日] 1980年5月19日
[出典] 外交青書25号,377−378頁.
[備考] 
[全文]

1.イランの米大使館員人質事件については,政府は,事件発生以来半年余を経過した今日,イラン側により,人質拘束という重大な国際法違反の行為が続けられていることを深く遺憾とするものである。

2.政府は,本問題の平和的解決のためにEC諸国と協調しつつ努力して行くという基本方針をとっており,4月22日の外相会議の決定においてEC諸国が直ちにとることとした一連の経済的及び非経済的措置に関して我が国としての措置をとった。

 同決定に含まれているその他の措置についてはEC諸国のとる措置を参考にしつつ,我が国の具体的措置を検討することとして来た。今般ナポリで開かれたEC外相会議が,18日,イランにおいて依然人質解放に向けての決定的進展が得られないことを認めざるをえないとの判断から,1月10日の国連安保理決議案にある諸措置をEC諸国が共同で定める条件及び態様に従って遅滞なく適用するとの決定を行った。我が国としても,同様の考え方から,前途の基本方針に基づいて所要の措置をとることとする。

3.我が国は,本問題の平和的解決が何よりも重要であり,今後共EC諸国等と協調して,かかる目的達成のための努力を続けて行く所存である。また,国連を中心とする本問題解決のための国際的努力が速やかに実を結ぶことを強く期待する。

4.我が国は,これまでイランとの間に密接な友好関係をを有してきており,今後共,長期的観点からこのような関係の維持を図っていくことを強く念願するものであるが,そのためにもイラン政府が事態の重大性を認識し,人質を1日も早く解放することを強く希望する。