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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ファイサル・サウディアラビア国王逝去に当たっての三木内閣総理大臣の談話

[場所] 
[年月日] 1975年3月26日
[出典] 三木内閣総理大臣演説集,67頁.
[備考] 
[全文]

 ファイサル国王の不慮の御逝去の悲報には、表現しがたい衝撃を受けた。謹しんでサウディアラビア王室及び国民に哀悼の意を表したい。国王は一九七一年に訪日されたが、一昨年十二月私は政府特使として王都リヤドを訪問して親しくお目にかかった関係にあるだけに、その衝撃は、一層深いものがある。その節王宮において一時間余りにわたって対日石油禁輸問題を話し合った時の印象は、真に強烈である。

 国王は、日本の立場と日本経済に依存するアジア諸国の困難な状況に対し深い理解を示され禁輸解除を直ちに約束して下さった。わが国は、ファイサル国王に負うところ極めて大なるものがある。

 今、中東情勢の重大な時、イスラム世界の偉大な指導者を不慮の出来事で失ったことは、世界にとって大変な損失である。願わくば国王の不慮の死が中東和平の障害にならず、賢明なる後継者の努力によって、中東の公正にして、永続的な和平が一日も早く達成されることを願って止まない。