データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] エジプト・イスラエル兵力引離し協定

[場所] 
[年月日] 1974年1月18日
[出典] 外交青書19号,139−140頁
[備考] 仮訳
[全文]

A.エジプトとイスラエルは,国連安全保障理事会によつて要求された陸,海,空における停戦を忠実に守り,本文書に調印した時から,相互のすべての軍事または準軍事的な行為を抑制する。

B.エジプトとイスラエルの軍隊は,次の原則に従つて引離される。

 1.スエズ運河東岸の全エジプト軍は添付した地図に明示されたA線の西側に展開する。スエズ運河とビター湖の西側にいるイスラエル軍を含む全イスラエル軍は,地図に明示されたB線の東側に展開する。

 2.エジプトとイスラエルの軍隊の間にある地域は兵力引離し地帯とし,国連緊急軍(UNEF)が駐留する。UNEFは,ひき続き安全保障理事会の非常任理事国である諸国からの部隊で構成する。

 3.エジプト前線とスエズ運河の間の地域は武器および兵力を制限される。

 4.イスラエル前線(付属地図のB線)と付属地図でC線と指示されたギディおよびミトラ峠のある山の西側に沿つて走つている線との間の地域は,武器および兵力を制限される。

 5.第3項および第4項で言及した制限は国連緊急軍によつて査察される。エジプトとイスラエルの連絡将校を緊急軍に付属させることを含む現行手続きは継続される。

 6.双方の空軍は,相手方の干渉をうけることなくそれぞれのラインまで行動することができる。

{地図は省略}

C.兵力引離しの細目にわたる実施は,エジプトとイスラエルの軍事代表がこの作業の各段階について合意した上で行われる。両軍事代表はこの目的のために国際連合の庇護の下に(カイロ−スエズ間道路)101キロメートルの地点においてこの協定の調印後48時間以内に会合する。

 両軍事代表は,この作業を5日以内に終了する。兵力引離しは,両軍事代表の作業終了後,48時間以内に始め,かつ,どのようなことがあつても本協定調印後,7日を越えてはならない。引離し作業は,開始後,40日を越えないで終了する。

D.本協定は,エジプトとイスラエルによつて恒久的な平和協定とは見做されない。これは,安全保障理事会決議338の規定に従い,かつジュネーブ会議の枠内で,最終的な公正かつ,永続的な平和へ向かつていく第一歩をなすものである。