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日本政治・国際関係データベース
東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室

[文書名] 日本政府特使三木副総理のエジプト訪問に際しての共同声明

[場所] エジプト
[年月日] 1973年12月18日
[出典] 外交青書18号,117−118頁.
[備考] 
[全文]

1 三木武夫日本政府特使は,12月14日から18日までエジプト・アラブ共和国カイロを訪問した。その間サダト大統領を表敬訪問するとともに,ハテム副首相と会談を行なつた。これらの会談を通じ,日本側とエジプト側は,両国間の友好関係を更に一層促進することは,両国民にとり極めて有益であるとの合意に達した。

2 中東問題について,エジプト側は,この問題の解決の核心は,イスラエル軍が1967年戦争の占領地から撤退すること及びパレスチナ人の正当な権利を回復することの2点であるとのエジプト政府の立場を説明するとともに,アラブ側の中東問題解決への強い決意を表明した。

 三木特使は,武力による領土の獲得及び占領の許されざることは日本外交の基本原則であることを説明し,特使が外務大臣時代に採択された1967年の安保理決議242が今日に至るまで実施されていないことに責任を感じていると述べた。また特使は,公正,かつ永続的平和実現のためには,1967年戦争の全占領地からのイスラエル兵士の撤退が行なわれるべきであり,中東におけるパレスチナ人の正当な権利は国連憲章及び決議に従つて承認され,そん重されるべきであると述べた。また,中東における平和なくしては世界の平和と繁栄があり得ないとの見地から日本政府としてこれの達成に少しでも貢献する決意を表明した。

3 三木特使とエジプト側とは,政治,文化,科学,技術等のあらゆる分野,就中経済協力の面で両国間の関係を一層強化することが必要であることに合意した。三木特使は,日本側がスエズ運河の拡張計画に要する資金(その外貨所要分は2億8千万米ドルにのぼると推定される。)のための協力を行なうとの意図を表明した。これに関連し,三木特使は,その第一期分に必要な資金約1億4千万米ドル相当の380億円の借款を返済期間25年(7年の支払猶予期間を含む),年率2%の利息で提供することを約束した。

 更に,エジプト側はエジプトの工業化促進の強い意図を表明し,輸送,建設,有線無線通信,電子産業その他の分野において多くの計画が進められていることを説明した。三木特使は,日本政府は商品及びプロジェクトのための借款を提供する用意のある旨を述べた。これらの借款の詳細は,政府間で速やかに取極められるものとする。

 エジプト側は,投資,合弁事業あるいはフリー・ゾーンの活用等を討議するために必要な日本側の使節団をかん迎する用意がある旨を述べるとともに,これには技術協力の専門家が含まれることを希望する旨を表明し,三木特使は来年の出来るだけ早い時間にこれを実現させるようにしたいと述べた。

4 双方は,今回の三木特使のエジプト訪問は日本とエジプトとの友好関係の一層の強化に大きく貢献したことを認め,かつ今後共緊密にして幅の広い接触を進めるために最善をつくすことに合意した。

   1973年12月18日 カイロにおいて