データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中東問題に関する二階堂官房長官談話

[場所] 
[年月日] 1973年11月22日
[出典] 外交青書18号,116頁.
[備考] 
[全文]

1 わが国政府は,安保理決議242の早急,かつ,全面的実施による中東における公正,かつ,永続的平和の確立を常に希求し,関係各国及び当事者の努力を要請し続け,また,いち早くパレスチナ人の自決権に関する国連総会決議を支持してきた。

2 わが国政府は,中東紛争解決のために下記の諸原則が守られなければならないと考える。

 (1)武力による領土の獲得及び占領の許されざること。

 (2)1967年戦争の全占領地からのイスラエル兵力の撤退が行なわれること。

 (3)域内のすべての国の領土の保全と安全が尊重されねばならず,このための保障措置がとられるべきこと。

 (4)中東における公正,かつ,永続的平和実現に当つてパレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が承認され,尊重されること。

3 わが国政府は,上記の諸原則にしたがつて,公正,かつ,永続的和平達成のためにあらゆる可能な努力が傾けられるよう要望する。我が国政府としても,もとよりできる限りの寄与を行なう所存である。

 わが国政府はイスラエルによるアラブ領土の占領継続を遺憾とし,イスラエルが上記の諸原則にしたがうことを強く要望する。わが国政府としては,引続き中東情勢を重大な関心をもつて見守るとともに,今後の諸情勢の推移如何によつてはイスラエルに対する政策を再検討せざるを得ないであろう。