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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 北朝鮮外務省スポークスマン談話−核施設の稼動と建設を直ちに再開

[場所] 平壌
[年月日] 2002年12月12日
[出典] 朝鮮日報統韓研究所データベース、朝鮮中央通信2002年12月12日放送
[備考] 翻訳 玄大松
[全文]

米国は、去る11月14日、朝米基本合意文に基づいてわが国に提供してきた重油の提供を中断するという決定を発表したのに続き、12月からは実際に重油納入を中断した。

このことによって、基本合意文にしたがう米国の重油提供義務は言葉だけでなく行動でも完全に放棄された。

米国は、重油提供義務を放棄したのが、あたかも、我々が核開発計画を是認したことをもって先に合意文を違反したためである、という式に世論を誤導しているが、それは虚しい試みだ。

米国は、我々を悪の枢軸とし、核先制攻撃の対象に指定することによって、基本合意文の精神と条項を、全部、徹底的に踏み潰した責任から絶対に逃れることができない。

米国が唯一掲げる我々の核開発計画是認とは、去る10月初め、米大統領特使がわが国を訪問して帰った後恣意的に用いた表現であり、我々は敢えてそれに対し論評する必要すら感じない。

朝鮮半島での核問題を平和的に解決しようとするのは、わが共和国政府の始終一貫した立場である。

このため我々は、米国によって朝米基本合意文が事実上破棄状態に至り、我々に対する核脅威が現実化されている今のような最悪の状況下においてでも、高度の自制と忍耐力を発揮してきた。

それにも拘わらず、むしろ自分の方から先に重油提供中断措置を強行しながら、我々に向かって、検証可能な方法で核開発計画を放棄せよと圧力攻勢を強化しているのは、米国が力で我々を武装解除させ、わが制度をなくしてしまおうとする企みを、より明確にさらけ出したことになる。

我々に対する重油提供は、如何なる援助でもなければ協調でもなく、取りあえず我々が稼動及び建設中にあった原子力発電所を凍結するのに伴う電力損失を補償するために、米国に課せられた義務事項であった。

米国がこうした義務を実質的に放棄したため、わが国の電力生産は直ちに空白が生じるようになった。

我々が核施設を再び凍結するか否かの問題は、ひとえに米国次第である。