データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米朝共同コミュニケ

[場所] ワシントン
[年月日] 2000年10月12日
[出典] 朝鮮日報統韓研究所データベース
[備考] 翻訳 玄大松
[全文]

朝鮮民主主義人民共和国国防委員会金正日委員長の特使である国防委員会第1副委員長趙明禄副元帥が、2000年10月9日から12日まで、米国を訪問した。

訪問期間中、国防委員会金正日委員長が送る親書と米朝関係に対する彼の意思を、趙明禄特使が米国クリントン大統領に直接伝達した。趙明禄特使と一行は、マデレーン・オルブライト国務長官とウイリアム・コーエン国防長官をはじめとする米行政府の高位官吏に会い、共通の関心事である問題について幅広い意見交換を行った。

双方は、朝鮮民主主義人民共和国と米国との間の関係を全面的に改善させることができる新しい機会が造成されたことに対して、深く検討した。会談は真摯で、建設的かつ実務的な雰囲気の中で行われ、この過程を通じてお互いの関心事に対してよりよく理解するようになった。

朝鮮民主主義人民共和国と米国は歴史的な北南最高位級の出会いによって朝鮮半島の環境が変化したということを認めるとともに、アジア・太平洋地域の平和と安全を強化するのに有益であるよう、両国間の双務関係を根本的に改善する措置を取ることを決定した。これと関連して双方は、朝鮮半島の緊張状態を緩和させ、1953年の停戦協定を強固な平和保障体系に替え、朝鮮戦争を公式に終熄させるために4者会談など様々な方法があるということで、見解を共にした。

朝鮮民主主義人民共和国側と米国側は、関係を改善することが国家間の関係において自然な目標であり、関係改善が21世紀に両国の人民に共に利益になると同時に、朝鮮半島とアジア・太平洋地域の平和と安全も保障できるようになると認めるとともに、双務関係で新しい方向を取る意向がある、と宣言した。初の重大措置として双方は、如何なる政府も他方に対して敵対的な意思を持たないと宣言し、今後、過去の敵対感から抜け出した新しい関係を樹立するために、あらゆる努力を尽くす、という公約を確言した。

双方は、1993年6月11日付の米朝共同声明で指摘され、1994年10月21日付の基本合意文で再確認された原則に基づいて、不信を解消し相互信頼を成し遂げ、主要関心事を建設的に取り扱って行くことができる雰囲気を維持するために努力することに合意した。これと関連して双方は、両国間の関係が自主権に対する相互尊重と内政不干渉の原則に基づくべきであることを再確言しながら、双務的及び多務的空間を通じた外交的接触を正常的に維持することが有益である、ということに対し留意した。

双方は、互恵的な経済協調と交流を発展させるために協力することに合意した。双方は、両国人民に有益で、東北アジア全般での経済的協調を拡大するのに有利な環境を用意するのに寄与するはずの貿易及び商業可能性を探求するために、近日中に経済貿易専門家の相互訪問を実現する問題を討議した。双方は、ミサイル問題の解決が米朝関係の根本的な改善とアジア・太平洋地域での平和と安全に重要な寄与をするであるはずだということで、見解を共にした。

朝鮮民主主義人民共和国側は新しい関係構築のための、もう一つの努力として、ミサイル問題と関連した会談が続く間には、あらゆる長距離ミサイルを発射しない、ということに対し米国側に通報した。朝鮮民主主義人民共和国と米国は基本合意文に沿う自分たちの義務を完全に履行するための公約と努力を倍加することを確約しながら、このようにすることが、朝鮮半島の非核平和と安全を成し遂げるのに重要である、ということを堅く確言した。

このために双方は、基本合意文に沿う義務履行をより明確にすることで見解を共にした。これと関連して双方は、金昌里の地下施設への接近が米国の憂慮を解消するのに有益であった、ということに留意した。双方は、最近の何年間の共通の関心事である人道主義分野で協調事業が始まった、ということに留意した。

朝鮮民主主義人民共和国側は、米国が食糧及び医薬品支援分野で朝鮮民主主義人民共和国の人道主義的需要を充足させるために意義ある寄与をしたことに対し謝意を表した。米国側は、朝鮮民主主義人民共和国が朝鮮戦争時期に失踪した米軍兵士らの遺骨を発掘するために協力してくれたことに対して謝意を表したし、双方は、失踪者の行方を、可能なかぎり最大に調査、確認する事業を迅速に前進させるために努力することに合意した。

双方は、以上の問題とその他の人道主義問題を討議するための接触を続けることに合意した。双方は、2000年10月6日の共同声明で指摘された通り、テロに反対する国際的努力を支持・鼓舞することに合意した。趙明禄特使は歴史的な北南最高位級会談の結果をはじめ、最近の何カ月間の北南対話の状況に関して、米国側に通報した。

米国側は、現行の北南対話の継続的な前進と成果そして安保対話の強化を含んだ北南間の和解と協調を強化するための発起の実現のために、あらゆる適切な方法に協調する自らの確固たる公約を表明した。趙明禄特使は、クリントン大統領と米国人民が、訪問期間中に暖かく歓待してくれたことに対して謝意を表した。朝鮮民主主義人民共和国国防委員会金正日委員長にクリントン大統領の意思を直接伝達し、米国大統領の訪問を準備するために、マデレーン・オルブライト国務長官が近日中に、朝鮮民主主義人民共和国を訪問することで合意した。

2000年10月12日 

ワシントン