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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 金泳三韓国大統領との共同記者会見における細川内閣総理大臣の冒頭発言

[場所] 
[年月日] 1994年3月26日
[出典] 細川演説集,83ー84頁.
[備考] 
[全文]

一,この度,先の慶州の会談に続き,金泳三{キム・ヨンサムとルビ}大統領御夫妻を国賓としてお迎えしたことを,誠に嬉しく思います。今回の首脳会談においても前回に続き,両国間の協力について率直かつ幅広い意見交換を行いました。

二,私は,共に改革を志す者として,金泳三大統領が,その卓越した指導力により,国内の改革に引き続き努力しておられることに敬意を表するものです。

三,日韓関係の発展のためには,歴史の教訓を踏まえ,両国国民間の相互理解を一層深めていくことが最も重要です。今般韓国からの留学生に対し新たな支援を行うこととしたのも,そのような考えに基づくものです。私は,大統領に対し,日韓関係を一層成熟したものにするために,両国関係の「多様化」と「国際化」についてお話ししました。

「多様化」とは,あらゆる分野及び世代での交流を進めていくことであります。そして,

「国際化」とは,国際社会における日韓の協力関係を推進するということです。国際社会での両国の協力は二十一世紀に向けて,益々広がってゆくものと信じます。こうした協力を通じて,私たちは,日韓がお互いにかけがえのないパートナーであることを実感できると思います。

四,両国が位置する北東アジアにおいては,北朝鮮の核兵器開発問題が安全保障上の最大の懸念材料となっています。

今回の会談においても,この問題について話し合い,両国及び米国,中国をはじめとする関係国間の緊密な協力の下で,解決を目指すことが重要であるという認識を共有しました。

五,この度の金泳三大統領の訪日を通じて,両国の友好関係を更に深めることができたと思います。この友好関係を日韓両国民全体の未来に向けたゆるぎないものにすることが重要であり,そのために私は,今後とも大統領とともに全力を尽くしていきたいと思います。