データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日韓基本条約の関係諸協定,日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定),交換公文(請求権経済協力協定第一条1(b)の規定の実施に関する交換公文)

[場所] 東京
[年月日] 1965年6月22日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),591−592頁.外務省条約局「条約集・昭和40年(二国間条約)」.
[備考] 
[全文]

   (日本側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日署名された財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(以下「協定」という。)第一条1(b)の規定の実施に関し、両国政府が次のとおり合意することを提案する光栄を有します。

1 協定第一条1(b)に定める貸付けは、大韓民国政府と海外経済協力基金との間で締結されることになる借款契約及び事業別の事業計画合意書に基づき行なわれる。

2 両政府は、1にいう借款契約及び事業計画合意書には次の諸条件が含まれることになることを了解する。

(a)貸付けの実行は、合理的な程度に各年均等に配分して行なわれる。

(b)元金の償還期間は、それぞれの事業計画合意書の効力発生の日から六箇月後に始まる七年の据置期間を含む二十年の期間とし、金利は、年三・五パーセントとする。

(c)元金の償還は、十四回の継続した均等年賦により行なわれ、利子の支払は、貸付けの実行の日以後の元金の随時の未償還残高について半年ごとに行なわれる。

(d)貸付けの額は、日本円で貸し付けられた額から換算される合衆国ドルの等価額を基礎として計算され、その換算に用いられる為替相場は、日本国政府が正式に決定し、かつ、国際通貨基金が同意した日本円の合衆国ドルに対する平価で、それぞれの事業計画合意書の効力発生の日に適用されているものとする。

(e)元金の償還及び利子の支払は、交換可能な日本円で行なわれる。

3 両国の財政事情及び海外経済協力基金の資金事情によつては、合意により2(b)にいう償還期間が延長されることがありうる。

4 海外経済協力基金は、貸付け及びそれから生ずる利子につき又はそれらに関連して課される大韓民国の租税その他の課徴金を免除される。

5 両政府は、大韓民国政府が提示する貸付けの対象となる事業及びその年度実施計画を決定するため毎年協議を行なう。

 本大臣は、さらに、この書簡及び前記の提案の貴国政府による受諾を確認される閣下の返簡を、協定第一条1(b)の規定の実施に関する日本国政府と大韓民国政府との間の合意を構成するものとみなすことを提案する光栄を有します。

 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

 千九百六十五年六月二十二日に東京で

    日本国外務大臣 椎名悦三郎

 大韓民国外務部長官 李東元閣下

   (韓国側書簡)

(訳文)

 書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

   (日本側書簡)

 本長官は、閣下の書簡に述べられた提案に本国政府に代わつて同意し、さらに、閣下の書簡及びこの返簡を、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する大韓民国と日本国との間の協定第一条1(b)の規定の実施に関する両国政府間の合意を構成するものとみなすことに同意いたします。

 本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

  千九百六十五年六月二十二日に東京で

         外務部長官 李東元

 日本国外務大臣 椎名悦三郎閣下