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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 対日関係に関する南日北朝鮮外相声明

[場所] 平壌
[年月日] 1955年2月25日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),689‐690頁.朝鮮問題戦後資料2,444頁.
[備考] 
[全文]

 朝鮮民主主義人民共和国人民は、半被占領国の境遇におかれている日本人民にたいし深甚な同情を表すると同時に、外国の従属からぬけでて自己の平和経済と民族文化を発展させ、独立した対外政策を樹立し、ソビエト社会主義共和国同盟、中華人民共和国およびその他のアジア隣接諸国との正常な関係を回復、発展させるために努力している日本人民に熱烈な支持と声援をおくっている。

 朝鮮人民はかつて朝鮮を占領し、それを足場にしてアジアを制覇しようとした日本帝国主義者どもの侵略行動に反対して闘争したし、また現在も日本を再武装し、日本の軍国主義を復活させることによって、日本をアジア侵略の策源地につくりかえ、日本人民をあらたな軍事的冒険に利用しようとする米国政府の戦争政策に反対している。

 しかし、このような侵略的行動と戦争政策に反対し、アジアの強固な平和と諸国人民間の親善関係の維持を念願する朝鮮人民と日本人民は、つねに友好的関係をもっていた。

 朝鮮民主主義人民共和国政府は、相異なる社会制度をもつすべての国家が平和的に共存できるという原則から出発して、わが国と友好関係をもとうとするいっさいの国家と正常な関係を樹立する用意をもっていたし、まず相互利益に合致する貿易関係と文化的連係を設定することを希望してきた。

 日本が朝鮮民主主義人民共和国と上述したところの諸般の関係を樹立することは、朝・日両国人民の切実な利害関係に合致するばかりでなく、極東の平和維持と国際緊張状態の緩和に大きく寄与するであろう。

 朝鮮民主主義人民共和国政府は、日本政府首相鳩山氏がわが共和国との経済関係を改善し、会談する用意がある旨を表明した最近の発言を好意をもってむかえ、日本政府と貿易、文化関係およびその他の朝・日関係の樹立、発展に関する諸問題を具体的に討議する用意をもっている。

一九五五年二月二十五日 平壌市

朝鮮民主主義人民共和国

外相  南日

朝鮮中央通信社報道

一九五五年二月二十五日