データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 共通の未来の構築:日・EU協力のための行動計画(小泉内閣総理大臣)

[場所] ブリュッセル
[年月日] 2001年12月8日
[出典] 首相官邸
[備考] 仮訳
[全文]

日・EU 定期首脳協議

ブラッセル

2001 年

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目次

共通の未来の構築

1.重点目標1 :平和と安全の促進

(1)国連改革

(2)軍備管理・軍縮、不拡散

(3)人権・民主主義・安定

(4)紛争予防、平和構築

(5)特定の地域情勢

2.重点目標2 :万人のためにグローバル化の活力を活かした経済・貿易関係の強化

(1)双方向の貿易・投資パートナーシップの促進

(2)情報・通信技術(IT)に関する協力の強化

(3)多角的貿易・経済問題についての協力の強化

(4)国際通貨・金融システムの強化

(5)開発・貧困との闘い

3.重点目標3 :地球規模の問題及び社会的課題への挑戦

(1)高齢化社会と雇用

(2)男女共同参画

(3)教育

(4)環境

(5)新たな課題

(6)科学技術

(7)エネルギーと交通

(8)テロ、国際犯罪、薬物取引、司法協力

4.重点目標4 :人的・文化的交流の促進

(1)学問の世界において

(2)社会生活を開始する若者のために

(3)市民社会の連携の強化及び地域間交流の促進

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共通の未来の構築

1.我々、日本と欧州連合(EU)は、「日欧協力の10年」を開始することを決定した。我々は、共通の未来を築いていく決意である。我々は、具体的措置及び協調行動を一層重視し、日・EU関係に新たな推進力を与えなければならない。我々は、国際の平和及び安全並びに繁栄に貢献する責任を共有していることを反映して、広範な分野にわたる未来志向の日・EU協力のためのアジェンダを本日採択した。

1991年の共同宣言以降の進展

2.本年我々は、ハーグにおいて1991年7月18日に採択された日・EC間の共同宣言の10周年を迎えた。同宣言の一般的原則及び目的は、これまでどおり有効であり、平和、自由、民主主義、法の支配、人権尊重及び持続可能な開発の促進への信念等、共通の価値観の確固たる基盤の上に成り立っている。

3.我々の関係は、1991年の宣言採択以来着実に進展してきた。幅広い分野において相互の政治対話が発展してきた。定期首脳協議、トロイカの閣僚レベル及び実務者レベルの協議が定期的に開催され、広範な問題を話し合っている。経済分野においては、結びつきが拡大し、我々は、多角的貿易システムを強化し、投資及び貿易に関する建設的な対話を追求するために緊密に協力してきた。

4.我々の関係は、引き続き一層緊密化しつつある。我々は、地球規模の問題に対処するために協力しており、また、互いに相手の地域に積極的に関与している。相互の連携は、政治協力、貿易・投資交流、ビジネス上の協力、更に日・EU加盟国間の交流や往来の顕著な増加等、あらゆる分野において発展してきた。これらの発展は、歓迎すべきものであるが、同時に、より広範なコンタクトや協力への未だ開拓されていない可能性を明確に示している。

欧州及びアジア太平洋地域における変化

5.我々は、過去10年間に欧州及びアジア太平洋地域における大きな変化を目の当たりにしてきた。冷戦終結は、地域内、地域間及び地球規模の力強い協力への大きな機会をもたらした。欧州においては、EUは、政治統合を進展させ、経済通貨統合を達成した。EUは、加盟国拡大に向けて準備をする一方、近隣諸国の安定及び繁栄の促進に向け努力している。EUは、国際連合憲章の原則に基づく軍事的及び非軍事的手段の活用による危機管理政策の進展等を通じ、対外的行動の能力を相当程度強化してきた。

6.アジア太平洋地域においては、ARF、APEC、ASEAN+3は、進展する地域対話の例である。アジア太平洋地域が金融・経済危機を克服して発展を続けていることは、世界の政治・経済状況全体に大きな影響を与えている。近年の日・EU政治関係進展の重要な特徴として、多国間及び日・EU間における地域対話の推進における協力が挙げられる。日本とEUは、また、ASEMやOSCE等を通じ、地域間協力を奨励、支援している。

グローバル化の時代における日・EU協力の強化

7.我々は、紛争地域における平和と安定の促進を含め、広範な地球規模及び地域的な問題に関する考え方及び政策面で相当程度の収斂を達成した。このことは、そのような紛争や紛争がもたらす人々の苦痛を防止し、良い統治、法の支配及び人権尊重を確保するための我々の政治協力を更に推進するための確固たる基礎を提供するものである。

8.日・EUは、テロに対する国際的闘いに完全にコミットしている。我々はこの闘いに積極的に関与し、我々の決意を明らかに示すために、世界的連帯への支持及び苦しむ人々に対し人道支援を行うことを含め、具体的措置をとる。今次首脳協議において、我々は、テロに関する独立した宣言を発出するとともに、双方が取っている措置に関し意見交換を継続していく。

9.グローバル化への流れは、我々の社会及び国際社会全体に機会を与えると同時に課題も産み出すので、我々は、その利点を活かし、開発途上国とその本来の機会を分かち合い、一方でその負の影響を緩和する決意である。

10.真に必要なものは、より緊密な協力である。世界のGDPのうち相当部分を占めるグローバル・パートナーとして、また開発援助の世界最大の供与国として、我々は、国際社会に対する特別な責任を有する。このことを念頭に置いて、我々は、持続可能な開発を促進し、貧困を削減する努力を強化する一方、我々の援助がより効率的に行われるように、また最も必要としている人々により良く向けられるように努力する。

11.我々は、相互の経済関係が、貿易・投資にとって開かれた環境を引き続き助長することを確保することを目指すとともに、またニュー・エコノミーにおける成長を実現し、21世紀の世界を形成するために重要かつ複合的な原動力となる、例えば情報技術やバイオテクノロジーがもたらす潜在力を引き出すことを目指す。知識経済のもたらす急速な発展により、我々は、相互に利益をもたらす経済関係強化に自然に導かれるのであり、従って、我々は多角的貿易システムを支持し、我々のパートナーシップを継続するとともに、安定的なマクロ経済環境を確保する努力を継続する。

12.経済成長の追求は、社会的な団結の促進をともなわなければならない。日・EUは、それぞれの社会制度や生活の質に関わる問題、特に失業、高齢化社会及び社会保障制度の見直しの必要性に直面している。我々は、また、男女共同参画の推進に力を注いでいる。

日・EU協力のための行動計画

13.したがって、日・EU関係を更に強化し、また、新たな政治的コミットメントとしてこれを表明するための機は熟している。2000年7月の日・EU首脳協議において、我々は行動計画を策定することを決定した。直ちに実施するもの、または長期的に実施するものの両方を含め、強固な政策協調や具体的な共同イニシャティブを通じて、我々は、日本とEUが自国内及び地球規模で共に直面している問題の解決を目指す。

14.我々の協力は、万人のために人間の安全保障を推進するとの共通のグローバルな責任に基づいている。更に、我々の協力は、相互の地域への関与を高め、また、相互尊敬の精神に基づき、文化の多様性に然るべく配慮したものであるべきである。

15.行動計画は、以下の4つの重点目標に取組む。

(1) 平和と安全の促進、(2) 万人のためにグローバル化の活力を活かした経済・貿易関係の強化、(3) 地球規模の問題及び社会的課題への挑戦、(4) 人的・文化的交流の促進。別添の行動計画は、今後10年間に日・EU関係が十分に多様化するための基盤を構築することを目的としている。我々の協力戦略が熱意を以て追求され、また時流に合ったものであり続けるよう、我々は定期的に調整し、必要に応じて毎年の日・EU首脳協議において行動計画を改訂する。

16.我々は、既存のメカニズムを十分に活用し、行動計画を実施することを約束する。EU議長国及び欧州委員会は、行動計画全体にわたって、自らの責任に基づき一体となって関与し、また、日本政府も同様とする。

 外交政策分野において現存の政治対話を深めるために、日本とEUは、連絡を緊密化する。EUの理事会を代表して、共通外交安全保障政策(CFSP)上級代表は、日本国外務大臣に、欧州安全保障防衛政策を含むCFSPにおける重要な進展に関し、常に情報を提供する。日本国外務大臣は、同様に、日本の外交政策における重要な進展に関し、EUに情報を提供する。

17.最後に、日・EU関係に生命を吹き込むのは人である。これこそが、我々が人と人の交流の促進を重視する理由である。人々の積極的な支持があって初めて、我々は目的を達成することができるのである。

1.重点目標1:平和と安全の促進

 我々は、政治分野における相互関係を進展させる特別の野心をもっている。この分野において、まだ開発されていない協力の可能性を開くことは、我々が共有する多くの目的を達成する一助となり、更には我々自身の関係の基盤拡大につながる。

 我々が共有する価値観と目的を反映して、この分野における協力は、まず次の3つの主要なテーマを中心に行われる。

‐国連の強化。

‐万人のための完全な安全保障の原則の下、全ての大量破壊兵器の廃絶達成を目標とした協力の継続。

‐人権の推進及び擁護。

 我々の相互協力の中で、地域対話及び政治的安定の促進が占める割合は、既に拡大しつつある。我々は、多国間レベル(国連や欧州安全保障協力機構(OSCE)、ASEAN地域フォーラム(ARF)、アジア欧州会合(ASEM)等の機関やフォーラム)や、バルカン、東チモール及び朝鮮半島等における日・EU間の取組みを通じ、こうした努力を継続する。

 世界の平和と繁栄の推進に対する責任を共有し、我々は、万人のための人間の安全保障を高め、相互の地域への関与を高めることを奨励する。この観点から、日本は、地域の安定及び発展に貢献する目的で、EU加盟候補国及びこの地域の他の国々に対して様々な支援を継続する。EUは、同様に、アジア各国の経済インフラ及び民主化の強化のため支援を継続する。

(1)国連改革

直ちに開始すべきイニシアティブ

●国連ミレニアム・サミット及びミレニアム総会の結果を受けて、また、国連が直面する諸課題に鑑み、日本とEUは、国際の平和及び安全の維持に主要な責任を有する安全保障理事会の全ての面における包括的な改革の実現のための努力を強化することを含め、国連システムを改革し、強化し、その実効性を高めることに対するコミットメントを再確認する。

●ブラヒミ報告及び関連する国連事務総長報告を踏まえ、また国連分担金滞納問題の解決を含む国連財政改革に関する決定を全ての加盟国が完全に実施することにより、国連平和活動の強化に関し、積極的な協力を進める。

(2)軍備管理・軍縮、不拡散

直ちに開始すべきイニシアティブ

●以下の項目を含め、万人のための完全な安全保障の原則の下、全ての大量破壊兵器の廃絶達成を目標とした協力の継続。

‐CTBTの早期発効まで、現行の世界的な核実験モラトリアムを継続することを全ての国に求めるとともに、可能な限り早期の包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効の促進。そのために、まず2001年11月に開催された発効促進会議のフォローアップを行うこと。

‐カットオフ条約(FMCT)を交渉するためのアドホック委員会を、2002年会期内のできるだけ早期にジュネーブ軍縮会議(CD)に設置し、5年以内の交妥結、並びに同条約の発効までの間の核兵器用核分裂性物質の生産モラトリアムに向けた努力。

‐生物兵器禁止条約(BWC)検証議定書に関する多数国間交渉の早期妥結を含むBWCの強化に向けた共同の取組み。

‐化学兵器禁止条約(CWC)の普遍的な批准、遵守の促進及び同条約の全ての条項の完全かつ効果的な実施確保のための努力。

●社会を不安定化させる小型武器の蓄積及び拡散の防止に関する以下の項目を通じた積極的な協力。

‐2001年7月に開催された「小型武器非合法取引のあらゆる側面に関する国連会議」のフォローアップにおける協力。

‐特にカンボディアにおいて、同国、国連その他の国際機関との協力の下、日本とEUが共同ないし緊密に調整して同時に実施する小型武器回収プロジェクト(「武器回収の代価として開発を提供するプロジェクト」)の実施。

‐西バルカンにおける小型武器の非合法取引、規制の及ばない拡散及び過剰な蓄積の問題への取組み。

その他追求すべき措置

●双方の安全保障上の関心に係る相互理解に基づき、「弾道ミサイル拡散に立ち向かうための国際行動規範」の普遍化促進を含む、日・EU間及び関連する多国間の場での軍縮・不拡散問題に関する協力の強化。この目的で、定期的な協議が強化される。これらの協力は、テロリスト等の非国家主体も対象とするものである。

●以下の項目を含む対人地雷の全面的廃絶に向けた協力。

‐1国または数カ国における緊密に調整された並行的取組みの可能性。

‐対人地雷に関するオタワ条約の遵守の推進。

‐これらの武器の破壊。

●余剰兵器プルトニウム処分等、軍縮・不拡散分野におけるロシアとの協力に関する日欧間の情報交換。

●強化されたIAEA保障措置の普遍的適用に向けての緊密な協力。

(3)人権・民主主義・安定

直ちに開始すべきイニシアティブ

●日・EU間で、原則として国連人権委員会の年次会期及び国連総会第3委員会会合に先立って、人権に関する定期協議を開催すること。トロイカ体制による専門家レベルで開催し、地域別、テーマ別の人権イニシアティブに関する協力を構築し、決議の共同提案の可能性を検討する。

●特に、2001年12月に日本の横浜市で開催される「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」の準備及びフォローアップ、また2002年5月にニューヨークで開催される国連子ども特別総会の準備及びフォローアップの枠組みにおける児童の商業的性的搾取への反対についての協力。

その他追求すべき措置

●国際刑事裁判所を設立し、完全な機能を付与するための共同の取組み。

●人権尊重、民主主義の促進及び良い統治を確保するための海外援助プログラムにおける協力。民主主義促進の取組みにおける協調には、専門家派遣、研修員の受け入れ、セミナーやシンポジウムの開催等を通じた司法制度、法制度、行政制度及び選挙制度の機能強化が含まれる。

●特に貧困撲滅及び社会開発の枠組みの中での児童の就労対策について具体的な共同行動についても検討する。

(4)紛争予防、平和構築

直ちに開始すべきイニシアティブ

●日・EUは、国家間及び各国内で寛容の精神を促進するため、国際社会が有する紛争予防のための組織及び手段の改善に向けて協力するとともに、国連及び地域的機関における持続的取組みを追求する。この観点から、2001年が「文明間の対話国連年」であることに鑑み、両者は、第56回国連総会において採択された「文明間の対話のためのグローバル・アジェンダ」のフォローアップに向けて協力する。

その他追求すべき措置

●日・EUのNGOが紛争予防、紛争解決及び平和構築により大きな役割を果たすべく自己の能力の開発に向けて行っている努力を奨励する。

●活用すべき一般的手段及び実施すべき具体的行動の両方を網羅した危機管理の文民的側面(人道援助を含む)に関する情報交換。

●国際機関及び地域機関の、紛争を予防する能力、更には紛争が収束した段階で緊急人道援助からその後の復興開発協力へのスムーズな移行を確保する能力の強化。

●日・EUは、日本で開催された南東欧教育・文化遺産保護セミナーのフォローアップを行う。この観点から、日・EUは、国連やその他の国際的なフォーラムにおいて、破壊されたバーミヤンの仏像のような重要な文化遺産の破壊防止のための効果的な措置の実施の可能性を検討する。

(5)特定の地域情勢

直ちに開始すべきイニシアティブ

<朝鮮半島>

●日・EUは、以下の取組みを強化する。

‐韓国の包容政策を含む朝鮮半島の緊張緩和のプロセスを支持し、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への支援を継続する。

‐北朝鮮に対し、核不拡散及び大量破壊兵器に関する国際規範を遵守、コミットし、配備を含むミサイル関連活動を停止するよう求める。

‐北朝鮮に対し、国際社会の懸念、特に人道上の問題に関する懸念に対し前向きに対応するよう求める。

‐日・EUは、EUによる人権状況改善のための取組みや経済改革に関する対話促進への取組みを含め、お互いの対北朝鮮政策に関する情報交換を行う。

<バルカン>

●バルカン地域における安全保障、民主化及び経済開発を促進するための持続的かつ実質的な取組み。日・EU協力の観点では、特に以下の項目が挙げられる。

‐南東欧安定協定の枠組みでの協力、すなわちマケドニア、ユーゴスラヴィア連邦共和国(コソヴォを含む。)、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、及びバルカンのその他の地域に対する民主化及び経済復興を支えるための支援。

‐同地域の難民・避難民への人道支援に関する情報交換及び協力の強化。

その他追求すべき措置

●ロシアに関し、日・EUは、諸改革、法の支配の強化及び市民社会の構築に対する支援について情報交換を行う。技術支援活動においては、日・EUは中小企業育成等の分野を含む経済改革への支援を継続する。

●中国に関し、安定し開放され発展する中国はアジア太平洋地域及び世界の平和と発展にとって重要な意義を有するとの認識に基づき、同国の改革・開放政策支援に対する協力を継続する。日・EUは、双方の技術協力活動に関する調整及び政策実施の改善のために情報交換を行う。

●中東和平プロセスに関し、日・EUは、国際法の一般原則、安保理決議242及び338、特に「土地と平和との交換」の原則、並びにマドリードとオスロにおける諸合意に基づいて、紛争の平和的解決策を見出すためのいかなる努力をも引き続き支持する。

●アフリカの地域機関(アフリカ連合(AU)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、南部アフリカ開発共同体(SADC)を含む。)及びアフリカ諸国による域内の紛争予防、紛争解決に向けた取組みへの支援の強化。特に、日・EUは、宮崎(2000年)及びローマ(2001年)の紛争予防に関するG8イニシアティブの早期実施のために緊密に協力する。

●双方は、東チモールにおける、独立し、自立可能な国家の樹立を、同地域の安定のための重要な要素として支持するとともに、これをもたらすための努力に対する支援を継続する。

●双方は、国連安保理の関連決議に合致した形でのサイプラスに関する包括的解決を目指す国連事務総長の努力を引き続き協調して支援する。

2.重点目標2:万人のためにグローバル化の活力を活かした経済・貿易関係の強化

 我々は、世界で最も大きい経済の2つとして、世界経済の進展にコミットする。したがって、我々は、多角的貿易システムに対する強い信念に基づき、世界規模で経済的安定を促進し、全ての国々がその過程から利益を享受できるよう、我々の間のより深くかつ広範な経済・貿易関係を発展させる。

 我々は、消費者、生産者及び社会全体の全ての利益のため、日・EU間の経済関係がその潜在的能力を十分に実現できるよう、特に双方向の貿易・投資の流れを促進したい。この目的のために、我々は、以下を行う。

‐日・EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブルによる提言をふまえ、未来志向のアジェンダ作成を通じて、貿易・投資のための開かれた環境を創出する。

‐適切な規制の枠組みを発展させることを目的として、貿易・投資に対する障害・障壁を除去するため、特に我々の規制改革対話を通じた現在の努力を強化する。

‐双方の経済のために、情報技術革命のダイナミズムを活用し、「グローバル情報社会」を構築する。

 我々は、既に多角的貿易システムを強化するために緊密に協力しており、更なる貿易の自由化、WTOルールの強化、21世紀の諸課題への対応、持続可能な開発の目標の支援、そして開発途上国の世界経済への統合のため、共同の努力を続けていく。これは、2001年11月のカタル閣僚会議で採択された閣僚宣言に示された包括的な作業計画に基づく交渉の成功を確保することを通じて達成される。世界経済の繁栄に対するこの交渉の重要性を確信し、我々は世界規模で経済的安定を促進し、全ての国々がそのプロセスから恩恵を受けることができるようこれを行っていく。

 我々は、安定した国際的なマクロ経済環境は、健全で継続的な世界経済の発展のために不可欠であるとの理解を共有している。この観点から、我々は、アジア金融危機以来の緊密な協力を継続し、国際通貨・金融システムを強化するための方策、特に欧州と東アジア地域における通貨・金融協調の分野について議論を行っていく。

 我々は、世界の開発援助の主要ドナーである。より緊密な協力は、持続可能な開発や{前1文字ママ}促進し、貧困を撲滅するための我々それぞれの努力の効果的な実施の確保を助け、被援助国により大きな利益をもたらす。

(1)双方向の貿易・投資パートナーシップの促進

直ちに開始すべきイニシアティブ

●経済の急成長分野への協力の拡大を含め、貿易・投資のための開かれた環境のため経済関係を促進するための方途を特定する。第一段階として、日・EU間の市場アクセスを容易にし、貿易を促進することが期待されている日・EU相互承認協定を実施し始める。更に、双方間の貿易・投資を刺激するための具体的な方法を提案するにあたって、革新的な中小企業を含め、魅力的なビジネス環境の確立に特別の注意を払うとともに、中央及び地方政府当局による既存の最良な慣行を活用する。

●貿易・投資に対する障害・障壁を除去することにより自力的成長を促すため、両者間の規制改革対話を強化する。これは、特に関係当局間の技術的レベルでの対話を強化し、協議をより良く活用し必要に応じ発展させることによって達成される。各々にとっての重要な特定分野においては、双方間の貿易・投資に与える相対的な影響を考慮しつつ、双方は、規制の枠組みにおける変化及びその実施につき定期的に再検討する。更に、将来において一貫した規制への取組みを行っていくために、様々な領域(基準・適合性評価を含む。)や分野(特に、電気通信、環境、エネルギー供給、商業運輸事業及び建設)において権限ある当局間の更なる協力が追求される。

その他追求すべき措置

●特に以下を支援し、奨励する。

‐民間部門の交流、特にその提言が貿易・投資関係全体に有益な貢献をしている日・EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブルの活動。

‐適切な段階での更なる日・EU消費者対話の開催を含む、消費者団体間の接触。

‐「GATEWAY TO JAPAN」プログラム及び日欧産業協力センターの人材研修プログラムを通じたものを含む、中小企業間の交流。

●国際貿易に不必要な障壁を生じさせないようにするため、国際規格及び適合性評価手続のための国際的な規格及び基準の利用を発展・促進させ、国際規則一般の確立を奨励するために協力する。

●日・EU相互承認協定の実施の枠組みにおいて、協定のあり得う{前1文字ママ}べき分野拡大に関する協議に着手する。

●適法な貿易の促進及び違法行為の取締のための税関協力を促進する。日・EUは、双方にとって等しく有益で、かつ双方それぞれの法律及び規則に整合的な税関相互支援協定締結の実現可能性を検討する。

●日・EUの経済界、特に日・EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブルからの情報や提言を考慮し、日本における欧州企業による、及び、欧州における日本企業による効果的な入札の強化のために協力する。

●例えば査証、労働許可証及びその他の要件の手続簡易化や公正な年金に関する取り決めを通じて、特定技能を有する被雇用者、日本で働くEU市民及びEU域内で働く日本国民の移動促進のために特に努力する。

●日・EU双方の農業の現状についての相互理解を促進させ、双方間の農業問題を解決し、共通の関心事項についての対話の強化に取組む。

●以下によって反競争的行為に関する協力協定を補完する。

‐競争政策の完全な実施のための関連当局間の情報及び意見の交換。

‐競争政策の重要性についての経済界及び一般市民の理解を深めるための努力。

‐経済のグローバル化に対応し、競争法及び競争政策執行能力を修得する上での途上国支援。

(2)情報・通信技術(IT)に関する協力の強化

直ちに開始すべきイニシアティブ

●IT分野での協力を奨励する諸手段による、「グローバル情報社会」の構築に向けた協力。これは最初のステップとして以下を含む。

‐第4世代移動通信システムを国際基準に従い、毎年の進展レビューに基づいて実現するための、より緊密な技術的協議。

‐WTO/GATSにおける我々それぞれの権利及び義務を尊重した、電気通信サービス分野での市場開放原則に則った競争を奨励するための規制改革の発展及び更なる実施における緊密な協力。これは、EUと日本の規制枠組みに関する相互理解向上も助ける。

‐日・EU間での自由で安全な情報の流れを確保する最良の国際慣行に基づいた高水準のデータ保護確立のための強化された協力。この強化された協力は、認証サービス、暗号及び国境を越えた利用の促進を目的とする電子署名の相互承認の可能性の探求を含む。

‐新たなネットワーク・セキュリティー及び新たなインターネット・プロトコールIPv6のタイムリーな導入促進に関する緊密な協力の確立。

‐特に沖縄サミットで立ち上げられたG8ドット・フォースのフォローアップや国際通信連合(ITU)や経済協力開発機構(OECD)などの国際機関での国際的なデジタル・ディバイド克服のための方途の模索。

その他追求すべき措置

●以下を通じた「グローバル情報社会」の更なる発展。

‐民間分野での協力を含む、情報通信技術の研究・開発。

‐地方・地域政府を含む様々な主体を対象としたフォーラム、シンポジウム及び専門家会合。

‐日欧の研究者による情報交換、科学技術の応用及び研究活動の促進を含む共同研究を助長するため、日・欧の大学及び研究機関の間のe‐ネットワーク開発の支援。

‐ITS(高度道路交通システム)のような道路交通における情報通信技術についてのセミナー、ワーキンググループ及び可能な共同研究。

(3)多角的貿易・経済問題についての協力の強化

直ちに開始すべきイニシアティブ

●新ラウンドが2001年11月のカタル閣僚会議において採択された閣僚宣言に基づく貿易交渉新ラウンドの成功裡の成果を確保し、開発途上国を含む加盟国の幅広い利益に応えることを確保することによる多角的貿易システムの強化のための緊密な協力の継続。

●ロシアの加盟手続の進展への支援を含む、現在の加盟候補国のWTO加盟を容易にする努力。中国に対し、新WTO加盟国として、WTO協定及びそのコミットメントを実施するよう奨励することの重要性を認め、日本及びEUはこの点に関し意見と情報の交換を行う。

●後発開発途上国に対する貿易関連の技術的支援や、EUの「Everything but Arms」イニシアティブ、低開発国に向けたその他の市場アクセス改善のイニシアティブを含む、途上国を多角的貿易システムに完全に取り込むための最良の方法についての緊密な協力。

その他追求すべき措置

●EUの経済統合及び拡大、日本と第三国の間の地域貿易協定を含む地域的な経済問題や貿易政策に関する対話の継続。

●WTO、ブレトンウッズ機関、その他の関連する国際機関の間で国際的な経済政策形成の一貫性を強化するとともに、WTOの機能、透明性及び効率性を高めるために、共同で作業すること。

●WTOの枠組みの中で進行中の政府調達に関する複数国間協定の見直し作業についての協力。

(4)国際通貨・金融システムの強化

直ちに実施すべきイニシアティブ

●国際通貨・金融システムを強化するための方策、とりわけ欧州及び東アジア地域での通貨・金融の統合・協力の分野における方策について議論。このため、日・EUの当局は、金融安定の促進のために近隣諸国に対して行っているマクロ経済支援やモニタリングについて情報交換を行うためのワーキング・グループを設ける。

その他追求すべき措置

●金融規制及び監督における最良の慣行、金融革新の規制への影響といったテーマを含むよう金融問題に関する相互間の対話を拡大する。日本とEUは、また、監督者間の情報共有を強化するための可能な枠組みについての協議を開始する。

(5)開発・貧困との闘い

追求すべき措置

●適当な場合には、双方の関心が一致する国・分野においてセクター・ワイド・アプローチの準備・実施・モニタリングにおける政策協調を実施する。日・EUは、また、HIV/エイズ、結核、ポリオ、マラリアを含む国際的に重要な感染症対策のために情報交換や協力を促進する。

●適切な場合には、効果を増進させ、またモニタリングを向上させることを目的として、双方の開発政策及びプログラムにつき合同で比較、評価を行う。これには、専門家レベルでの協議、共同でのセミナー、シンポジウムの開催、合同評価ミッションの派遣が含まれ得る。

●政策及び手続に関する相互理解を深めるために、国際協力事業団(JICA)とEU加盟国の開発担当部門を含む欧州委員会の関係部局との間で人事交流を行う。

●特に貧困との闘いに関して、開発途上国に対する国際金融機関の支援の効果を高める。

●日・EU双方の政策におけるアフリカ開発への協力の重要性に鑑み、アフリカ開発に関する協力を行う。これは、第2回アフリカ開発会議(TICAD II)で採択された東京行動計画及びコトヌ協定の指針に基づき、本年のTICAD閣僚レベル会合及びEU・アフリカ閣僚会合における議論を踏まえて行われる。

3.重点目標3: 地球規模の問題及び社会的課題への挑戦

 未来は、すばらしい機会と共に重大な問題を提起する。

‐2001年9月11日の事件は、いかなる形態のものであろうとも、またいかなる原因のものであろうとも、多国間の枠組み乃至は日・EU間で、優先してテロと闘うために協力しなければならないことを示している。

‐我々自身の社会においては、人口増大により、雇用や社会政策についての見直しが迫られ、男女共同参画が我々の最大の関心事となり、また、犯罪、薬物取引及びテロの急速な国際化により新しい対応が必要とされている。

‐地球環境への脅威への対応が根本的な重要課題である世界全体においては、科学は問題理解の助け、技術は解決方法発見の一助となる。

 こうした問題の中には、日本とEUが共に開発し、共に実施できる対応を必要としているものがある。また、効果的かつ全ての人々に利益となるような形でこれらの問題に対処するためには、日・EU間の協調行動こそ必要とはしないが、日・EU間で、或いはそれ以外の地域を巻き込んで、外に開かれた形で交流や議論を行うことが必要となる問題もある。

(1)高齢化社会と雇用

直ちに開始すべきイニシアティブ

●新たな雇用機会の改善及び「活力ある高齢化」促進に焦点を当てた高齢労働者及び雇用に関する共同シンポジウムを高級事務レベルで2002年に開催する。

その他追求すべき措置

●年金及び福祉政策、社会参加(社会政策分野)及びヘルスケアの推進、医療保険、老人介護制度及び病院管理(保健政策分野)を含む多様な分野における日・EU間の経験の共有。

●双方の場所で交互に行われている政府関係者、雇用者及び労働者代表の三者訪問で既に行われているような、日・EU間におけるこれら三者のより直接的な交流の奨励。

●制裁に基づいたアプローチを拒否しつつ、共通領域に関する分析を行い、経験を交換するために、政府、それぞれの権限の範囲内で国際機関及び市民社会代表者の参加を得て、グローバル化の社会的側面に関する国際的対話の立ち上げに向けた協力。

(2)男女共同参画

追求すべき措置

●日・EUは、両性に十分かつ均等な機会を確保する目的で、我々の社会において、また国際社会において、男女共同参画を推進するために協力する。これには以下の行動が含まれる。

‐男女共同参画の視点を主流化することに重点を置いて、国内及び国際レベルの全ての政策にその視点を取り入れること。

‐政策立案者と専門家間の対話。

‐関係機関等の間での専門的知識の定期的交換。

‐「男女共同参画」の観点からの施策の評価・監視方法の比較。

‐国際協力の全ての分野、例えば国連政策、開発協力、貧困撲滅及び人権尊重の分野において、男女共同参画を推進すること。

(3)教育

追求すべき措置

●他の伝統や文化に対する尊重及び理解を促進し、日・EUが直面する教育問題をより良く解決することを目的として、「教育政策」に関する経験の交換。これには以下の措置が含まれる。

‐教育政策に関する定期的な円卓会議を立ち上げること。

‐ダカールで2000年4月に開催された世界教育フォーラムの合意事項の実施に向けたユネスコ等の取組みを支援すること。

‐交流や意見交換を通じ、個人が新たな機会や要請に適応できるよう、職業教育のための「生涯学習」を更に発展させること。

(4)環境

直ちに開始すべきイニシアティブ

●2002年開催予定の国連「リオ+10」持続可能な開発に関するヨハネスブルグ世界サミットの準備及び交渉の成功を確実にするための協力。これには、特に、焦点を絞った未来志向のアジェンダが要求される。

●2002年までの京都議定書の発効のための更なる努力及び全ての国の実効性ある参加を求めるための協力。

その他追求すべき措置

●1992年の国連環境開発会議以来採択された、全ての環境問題に関する関連条約の効果的な実施や、日・EU環境ハイレベル協議の可能な限り早期の開催を通じての地球環境問題への取組み。

●開発途上国の持続可能な開発の追求の取組みを支援するため、これらの諸国と協力する。特に、日・EUは以下を行う。

‐森林保全及び持続可能な森林経営の発展及び実施のための実効的なメカニズムの確立のため、国連森林フォーラムにおける途上国との協力の改善の模索。

‐砂漠化に関し、被影響国と協力して研究を行い、効果的で持続可能な解決策を国連砂漠化対処条約のもとで追求。

‐輸出及び調達に関する慣行を含む違法伐採に対処する方法の検討。

●2005年までに実施されるべき持続可能な開発の国家戦略の策定をめぐる開発途上国の取組みへの共同支援。強化された双方間の取組みを通じて、日・EUは以下を行う。

‐より一層持続可能な生産と消費を奨励し、生産者と消費者の環境意識を促進するため、日本とEUのアプローチを同じものとする可能性の探求。

‐環境基準の適合評価と相互承認についての協力を推進するための対話の推進。

●多角的貿易システムのルール、多角的環境面での取組みの目標及び天然資源の持続可能な利用を含むより広範な環境保全、この両者間での相互支援の達成を目指した双方の協力の強化。

(5)新たな課題

追求すべき措置

 バイオテクノロジーは、新たな方法で保健または環境問題に取組み、新たな産業を創出する新たな可能性を開く。それは、ほとんど前例のない倫理上の諸問題もまた提起しており、これらに留意して発展させなければならない。

●したがって、日・EUは、以下の行動を追求する。

‐有識者、科学者や市民社会全般の間の一連の生命倫理問題(クローン、ヒトES細胞・ヒトゲノムの研究、遺伝子操作、臓器移植等)及びこれらの安全性に関わる問題に関する対話の促進。

‐バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書(仮称)の実施を含む安全に関連する問題についての規制当局間の情報交換。

‐個人情報や知的所有権の保護等、その他の規制問題に関する意見交換。

 新技術の応用及び農業の産業化は、同様に食品生産において新たな機会を提供するが、食品安全に関する新たな懸念も呼び起こす。

●したがって、日・EUは、以下の行動を追求する。

‐相互理解を向上し、基準と手続を改善し、包括的対話とより迅速な情報の流れ及び多国間協力を促進するために、適切な多国間の対話の場を活用。

 公衆衛生の分野においては、新興感染症及び再興感染症が、特別な脅威を与えている。

●したがって、日・EUは、以下の行動を追求する。

‐世界保健機関(WHO)等の国際的な対話の場における取組みを通じて、既存の疾病流行の警戒・対応ネットワークをできるだけ費用対効果の高い形で強化するよう協力する。

‐感染症を専門とする研究機関間で情報交換及び人的交流を促進する。特に、極めて危険性の高い疾病を専門とするEU加盟国の研究機関(いわゆる「P4」研究機関)の活用を促進する。

(6)科学技術

追求すべき措置

 科学技術分野における協力拡大。1994年以来開催されている日・EU科学技術フォーラムにより、この分野における政策と制度に関する相互理解が深まってきており、これを維持する。日・EUは、更に、本協力推進を目的として、枠組みに関する協定の可能性を議論する。

●環境及び地球システム理解へ向けた主要な国際事業に関する協力。特に、

‐高度海洋監視システム(ARGO計画)に基づくフロート展開を行い、これにより得られたデータの共有を行う。

‐2003年に気候変動及び地球変動の探求に関する情報提供を開始する統合国際深海掘削計画(IODP)を推進する。

及び、

‐地球環境の監視のための衛星を活用した新たなアプローチ。

‐地震数値の国際的調和及び地震リスクの評価に関する研究。

●以下を通じて、壮大な可能性を与える新たな主要分野としてバイオテクノロジーの開発を支援する。

‐欧州と日本が関わる学術的、技術的交流。

‐産業分野、出資者、民間研究機関及び大学が関わる交流を通じて、民間部門によるバイオテクノロジー開発を促進するためのワークショップや他の活動を計画する。

‐民間部門の活動及びバイオ・ベンチャービジネスに関する産業分野、民間研究機関、及び大学間の交流。この点に関してワークショップを行う。

●1997年のヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)政府間会議共同声明に盛り込まれたように、日本の提案したHFSPに対し、EU側が引き続き関心及び関与を持つこと。

●以下の分野において共同で、または協力して研究活動を模索すること。

‐核融合。

‐核物質及び計測。

●以下の分野におけるシンポジウム、ワークショップ及び科学会議の開催。

‐生命科学(バイオテクノロジー、感染症、ナノバイオテクノロジー、リスク評価及び試験管実験を含む。)。

‐材料(超伝導材料、新プラズマ工学表面技術等)。

‐宇宙(人工衛星による航法)。

‐技術を含む、将来性のある研究。

(7)エネルギーと交通

直ちに開始すべきイニシアティブ

●日・EU間で交渉が行われてきている、各々の原子力計画のニーズを満たすための原子力交易及び研究開発を含む原子力の平和的利用のための長期的かつ安定的な協力の枠組みとなる協定の締結へ向けた取組み。

●将来の協力内容を特定する共同作業グループの設置を含むクリーンな都市交通推進のための共同の取組みの推進及び2002年1月開催予定の「交通と環境」に関する大臣会合が成功裡に終わるよう貢献が行われること。

その他追求すべき措置

●エネルギー需要の削減、エネルギー供給の多様化を図る取組みに関する情報の共有、既存のものに比して環境への影響の少ないエネルギー源の開発、エネルギーの効率的利用の促進及び石油・ガス生産国との対話の強化に資する措置に高い優先順位を与えることについての協力。

●2002年9月に大阪で開催予定の第8回国際エネルギー・フォーラムの成功に向けた協力、エネルギー憲章条約のメンバー拡大に向けた協力及び国際エネルギー機関(IEA)の関係における協力を含む、多国間のフォーラムやプロセスにおける協力の強化。

●運輸システム開発についての情報交換及びこれを目的とした協力。これには、いわゆる「高度道路交通システム」(ITS)、新交通システム、公共交通の推進、効率的な物流、需要管理、道路網及び構造、環境指向のメンテナンス、技術開発及び規制、体の不自由な人を含む全ての人々が利用可能なバリアフリー交通、道路安全管理及び防災、自動車排ガスの研究及び安全(歩行者安全に関するものを含む。)等、交通に関係する全ての範囲の問題に関するセミナー、作業グループ、共同研究事業が含まれる。

●日・EU間の交流及び国際海事機関(IMO)における多国間による取組みを通じての、以下を含む海上安全の向上。

‐特に基準に適合しない船舶を特定するためのEQUASISデーターベースの活用を通じた欧州と日本の当局間の情報交換。

●全般的な交通の安全性を向上するために、世界中で相互に運用できる人工衛星航法システムの開発。

(8)テロ、国際犯罪、薬物取引、司法協力

直ちに開始すべきイニシアティブ

●第一段階として、以下の共同措置をとることにより国際的テロを防止し、国際的テロと闘うために、国際的行動の更なる調整を促進する。

‐あらゆる関連する全ての国際的・地域的フォーラムにおける強化された協力。

‐テロ防止関連条約及び議定書の早期署名及び締結並びに関連する国連安保理決議の円滑かつ早期の実施。

‐包括テロ防止条約の早期策定。

‐テロリストの資産及びその他の金融資産凍結を含むテロ資金供与の停止に向けた共通の努力の強化。

‐テロ対策のための途上国のキャパシティ・ビルディングへの技術協力の強化。

その他追求すべき措置

●以下を通じてテロとの闘いを継続する。

‐核テロ防止条約の早期策定。

‐テロに関係する大量破壊兵器並びにその関連物質及び技術の不拡散体制の強化。

‐欧州警察(ユーロポール)と日本の警察当局との協力。

‐強化された薬物規制及び薬物の供給と需要を削減するための積極的措置。

●国連国際組織犯罪条約及び関連議定書(陸、海、空を経由した不法移民、人、特に女性と児童の密輸、銃器、それらのに関する各議定書)の早期発効促進に向けての協力。

●犯罪対策及び司法協力強化へ向け、主に以下を通じた多国間の取組みに対する支援強化。

‐国際組織犯罪に関する上級専門家会合(リヨン・グループ)を含むG8の活動。

‐世界中の「犯罪者の安全な避難場所」を排除することを目的とした、刑事司法制度が脆弱で法執行の不十分な国における対処能力の構築。

‐犯罪人引渡し、司法共助、拘禁及び本国送還(本国送還については、例えば、欧州評議会の「刑を言い渡された者の移送に関する条約」に盛り込まれている)等の国際的な制度や手続の改善。

●国際犯罪を取締まる日・EU間の協力、特にユーロポールと日本の警察当局間の協力を、以下に焦点をあてつつ漸進的に進展させること。

‐マネー・ロンダリングその他の不法行為。

‐不法薬物(覚醒剤、その他の合成薬物及び前駆物質を含む。)。

‐コントロールド・デリバリー(監視付移転)やシグニチャー・アナリシス(薬物微量分析)等、薬物に関する特別な捜査手法及び技術。

‐人の密輸及び不法移民。

‐サイバー犯罪(個人情報の不法公開、ハッキング、コンピューター関連の著作権侵害及び詐欺、ネット上での児童ポルノ及びサイバーテロ)等の新たな形態の犯罪。

4.重点目標4: 人的・文化的交流の促進

 日欧間の人的交流は数多く多様である。我々は、そうした交流がもたらす双方の生活、文化に対する相互理解が促進されることを望んでいる。文化の多様性は精神的豊かさの根源であり、人的交流は相互尊重と平和的共存の促進につながる。人的交流の拡大は、政治・経済分野で我々が計画しているより幅広く奥深い日・EU関係を支える一助となる。

 人的交流を促進する多様な事業が既に存在する。我々は、この基礎に立脚し、予算が許す限り、今後数年間に以下のことを目指す。

‐生徒や学校から、学生や大学、教授や研究機関に至るまでの学問の世界の全てのレベルにおいて交流を拡大する。

‐特にまだ実務経験が浅い人々向けの一定期間の研修及び/または職業経験を提供するスキームを推進する。(日本におけるビジネスマン研修プログラム(ETP)はその成功例の1つである。)

‐より一般的には、市民社会全般での交流を促進する。

 我々は、このようにして、相互理解を向上し、相互の言語の習得を奨励し、また全体として日・EUパートナーシップへの人々の参加を広く得ることを希望する。

(1)学問の世界において

追求すべき措置

●教育分野における日・EU間の持続可能な相互協力のための枠組みの構築。これにより、高等教育に焦点を当てて、教育政策及び教育規定について相互に反映させ、また相互に充実させることを目指す。

●教員、教育行政者、学生の流動性への障害の削減。

●将来の学生交流促進を目的として、例えば専門家ワークショップの開催を通じた、日・EUそれぞれの単位制度の比較。

●例えば、ジャン・モネ・プログラムの教職員の枠を日本人に拡大することや、フィレンツェの欧州大学への日本人研究者の受け入れの可能性を探求することを通じた研究者間の交流の拡大。

●日本と欧州の個々の学校間の「姉妹校」提携の奨励。

●特定の分野における知的交流促進を行う可能性のある適当な高等教育機関及び研究機関の特定。これらの「知的交流拠点」(例えばインターネットの活用を通じる等の新たな方法で相互の連携を発展させる可能性のある拠点)は、まず以下の分野に焦点を当てる。

‐外交・安全保障政策。

‐欧州問題(特に統合)。

(2)社会生活を開始する若者のために

追求すべき措置

●双方向での日・EUインターン交換プログラムの改善・拡充。これは、欧州の経営系及び技術系の学生を日本企業に紹介したり、逆に日本の学生を欧州企業に紹介する、ヴルカヌス計画や試験的な欧州アジア・ビジネス・インターンシップ・プログラム、日欧産業協力プログラムを利用することができる。

●欧州委員会の「研修生」スキーム、欧州議会の「シューマン奨学金」、欧州議会アシスタント・スキームの経験を活用して、日・EU間の公的枠組みに係るインターンシップを推進し、特に欧州のインターンが日本国会に、また日本人インターンが欧州議会に派遣される「議会インターン交流」を模索する。日・EUは双方の政治組織間の連携を強化するために役立つこのイニシアティブを満足をもって注目する。

●様々なプログラムの強化と更なる開発。特に、

‐青年交流の分野においては、日本人の若者、学生を対象とした欧州招聘プログラム、JETプログラム、欧州青年日本研修、グローバル・ユース・エクスチェンジ及びアジア欧州ヤング・リーダーズ・シンポジウム。

‐研修分野においては、日欧産業協力センターにより共同で運営されている多様な事業。

●長期的に、各国毎の状況の慎重な検討に基づき、日本を訪問する欧州の青年及び欧州を訪問する日本人青年のためのワーキングホリデー制度の段階的拡大。この計画は、現在日本とEUの一部の国との間で成功裡に実施されている。

●日本の若手外交官のブルージュの欧州大学への派遣及び欧州の若手外交官の日本外務省への派遣を含む人的交流。

(3)市民社会の連携の強化及び地域間交流の促進

直ちに開始すべきイニシアティブ

●日本はEUと連携して、日・EU間で市民社会の連携、文化交流及び人的交流を進展させる最良の方法を検討するために、専門知識を有する有識者、政治家、専門家、ジャーナリストが参画するシンポジウムを2002年前半に開催する。

その他追求すべき措置

●日・EU間の対話と関係促進に功績を残した個人または団体を奨励、賞賛する方法(例えば毎年表彰を行う等)を検討する。

●社会全般を網羅する交流一般の推進。これには以下のものを含む。

‐地域間交流は日・EU間の市民レベルでの相互理解増進に寄与するとの認識の下、多様な分野における地域間交流を奨励する。

‐日・EUの地方自治体間の「姉妹都市」提携等。

‐全ての年齢層(生涯スポーツ)及び能力層におけるスポーツ交流。

●以下の団体間の対話を含む特定の団体間の交流の支援。

‐消費者団体間で既に行われているような日・EUのNGO間の交流。

‐包括的な相互理解に果たす報道機関の重要性に鑑み、ジャーナリスト間の交流。この観点から、年1回の日・EUジャーナリスト会議及び個別の招聘プログラムには、更に進展の余地がある。

‐若手指導者間の交流。例えば日・EU双方にとっての関心事項について毎年意見交換のための会議を開催することを通じた交流。

●例えば大学やその他の教育機関が情報技術を活用して、日本では欧州の各言語を教え、欧州では日本語を教えることを奨励することにより、バーチャル・モビリティの更なる促進を図る。

●UNESCOやアジア欧州会合(ASEM)等の多国間フォーラムにおいて、文化の多様性を維持・保護するためのプロジェクト実施に向けて更に協力する。