データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 英国「日本協会」等による歓迎レセプションにおける宮澤内閣総理大臣の挨拶

[場所] ロンドン
[年月日] 1992年7月3日
[出典] 宮沢内閣総理大臣演説集,113−114頁.
[備考] 
[全文]

 御列席の皆様

 今宵、皆様とここに御一緒できることは私の喜びとするところであります。日本と英国との関係を促進する上で大きな役割を果たされている数々の団体からお招き頂いたことは大きな名誉であります。

 今般、偉大なる貴国を訪問できたことは私の大きな喜びであります。私が英国を尊敬する理由の一つには、貴国が賞賛すべき思想家及び作家を輩出してきたことがあります。私は、青年時代にジョン・メイナード・ケインズやジョン・ステュアート・ミルを合む英国の文学者及び経済学者から大きな影響を受けました。第ニ次世界大戦中の灯火管制の下、しばしばこれらの偉大な人物の作品を読むことに夢中になって時を過ごしたものでした。

 日本と英国とのニ国間関係はかつてないほど緊密かつ建設的なものとなっております。今や百七十社以上の日本企業が英国において操業しており、また、日本の金融機関は偉大なロンドンの「シティ」の不可欠な一部となっております。日本の企業は英国の経営者及び労働者と協力しつつ、雇用を創出し、輸出に貢献しております。

 「オポテュニティー・ジャパン・キャンペーン」の成功により、英国の対日輸出は一九八八年から一九九一年の三年の間にほぼニ倍に増えました。この英国の真に想像力に富んだイニシアティヴにより、まず、英国において日本に対する姿勢の実質的な変化がもたらされ、今や、大陸欧州諸国においても同様な変化が生じるに至っております。欧州の人々の日本に対する見方はより一層前向きなものとなりました。このことは、フランスが新たに提唱している「ル・ジャポン・セ・ポシーブル」の動きやEC委員会の日本に対する前向きかつ建設的な姿勢にも現れております。

 私は日本の総理大臣として「プライオリティ・ジャパン・キャンペーン」が確固たる成功を収めることを切に希望するとともに、両国間の実りある関係の推進に携わっている全ての関係者におかれては、その成功に向けて大いに努力して頂けるものと確信しております。

 私は、意識的な努力を払って知識人の交流を充実させることにより、日本と英国の間に既に存在する成熟した関係を一層拡大し、強化させていかねばならないとの強い信念をもっております。そのような交流により、日英双方は、世界の諸問題に対処していくにあたって、相互理解と目標の共有を促進していくことができるでしょう。このような脈絡において、日本政府は両国間の交流を実質的に充実させる方途につき種々検討しているところであります。

 英国は、日本の欧州との関係の要であります。私は、英国がグローバルな視点から幅広い分野にわたる国際問題に対処していることを高く評価しております。私自身、貴国がEC議長国に就任するこの重要な時期に、日本とECとの間の対話を強化するため、一層の努力を払う所存であります。明日のメイジャー首相及びドロールEC委員長との会談は、ミュンヘン・サミットを目前に控え、政策協議と協調を確固なものにするための最良の機会となることでしょう。メイジャー首相の卓越した指導力を得て、我々は日・EC関係を適切な軌道に乗せ、共同作業に従事する能力を飛躍的に高めることができるものと確信しております。

 御列席の皆様

 今宵ここにお集まりの皆様方の努力と善意は極めて重要なものであります。皆様は、日英両国間の友好関係の発展のために、様々な方途を通じ多大な貢献を行ってこられました。皆様の成し遂げられたことに対し心より感謝の意を表したいと思います。私は、両国の友好関係が今後長きにわたって開花することを希望し、これを信じて疑いません。有り難うございました。