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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] コルネリウ・マネスク・ルーマニア外務大臣の訪日に際しての共同コミュニケ

[場所] 
[年月日] 1967年6月8日
[出典] 外交青書12号,12−13頁.
[備考] 
[全文]

 コルネリウ・マネスク・ルーマニア社会主義共和国外務大臣は、夫人とともに、日本国政府の賓客として、一九六七年五月三一日より同六月七日まで日本を公式に訪問した。

 マネスク大臣夫妻は東京・大阪および京都の各都市において経済・文化、及び観光の面で興味ある場所を訪問し、日本国民のゆたかな文化的伝統ならびに経済及び社会の分野における日本国民の発展に親しく接する機会を得た。

 ルーマニア外務大臣夫妻は、滞日中、皇居において、天皇、皇后両陛下に謁見を賜わった。ルーマニア外務大臣は、また、佐藤総理大臣及び菅野通商産業大臣を訪問した。

 マネスク外務大臣は、三木外務大臣と二回にわたって会談した。会談は打ちとけた友好的な雰囲気の中に行なわれた。この会談において、両国外務大臣は現下の国際情勢および日本・ルーマニア両国が相互に関心をもつ諸問題について率直に意見を交換した。

 両国外務大臣は、両国間の貿易額が、過去数年間に数倍に増加したことをよろこぶとともに、両国間の貿易および経済関係をさらに拡大する可能性がなお多々あることを認めた。この点に関し、両国外務大臣は、日本とルーマニアの間の通商航海条約ができる限り早い機会に締結されるよう努力すべきことに合意した。

 両国外務大臣は、日本・ルーマニア間の友好関係を強化発展せしめるべきこと、および、このために経済および文化の面において具体的な諸措置を講ずべきことについて、合意した。

 両国外務大臣はヴィエトナムの現状についての関心を表明した。両国外務大臣は、右事態を最終的に解決するためには一九五四年のジュネーヴ協定を基礎とすべきであるという点で意見が一致し、また、ヴィエトナムにおける紛争の停止のために必要な諸条件を造り出すためにとるべき方法について、それぞれの立場を表明した。

 両国外務大臣は、国際問題の諸局面について意見を述べ、日本・ルーマニア両国が、民族独立および主権、平等、内政不干渉ならびに互恵の原則に基づいて、平和と国際協力のためにその努力を続けるべきことに合意した。

 両国外務大臣は、全世界に平和と安全を確保するために国際連合が有する重要性を考慮し、国連憲章に規定された諸原則に基づいて、国際協力の機構としての国際連合の効率を強化することに賛意を表明した。

 両国外務大臣は、核兵器拡散防止条約の問題に関し、核戦争の危険を除去するために有効な措置をとることの必要性を指摘し、特に、核兵器非保有国がこの条約によって原子力の平和利用の分野における近代科学技術の成果を享受する上に不利益を蒙ることがあってはならないことを強調した。

 日本国外務大臣は、本邦に来訪した最初のルーマニア外務大臣であるマネスク大臣の今日の訪問が、日本・ルーマニア両国間の友好関係と相互理解を一層増進するために大いに貢献したことに満足の意を表明した。

 ルーマニア外務大臣は、滞日中に示された暖かい歓迎と厚遇に対し衷心感謝の意を表明した。

 両国外務大臣は、相互理解のために両国政府が接触し、意見の交換を行なうことが重要であり、また有益である旨を強調した。

 マネスク外務大臣は、三木外務大臣がルーマニアを公式に訪問するように招待した。日本国外務大臣は、この招待を受諾した。訪問の時期は追って外交経路を通じて取決められることとなった。