データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日英定期協議に関する日英共同コミュニケ

[場所] 
[年月日] 1966年11月2日
[出典] 外交青書11号,24頁.
[備考] 
[全文]

 椎名外務大臣は、日英定期協議の第五回会談のため、昭和四一年一〇月二八日から一一月二日まで、夫人とともに、英国を訪問した。

 椎名外務大臣はウィルソン首相を訪問した。椎名外務大臣は、ウィルソン首相に対し、日本国総理大臣からの訪日招待を再確認した。ウィルソン首相は、これに対し謝意を表するとともに、将来双方にとって都合のよい時期に訪日が可能となることを希望する旨表明した。

 椎名外務大臣は、ブラウン外務大臣と、双方が共通の関心を有する広汎な諸問題につき意見を交換した。訪英の直前に東南アジア諸国を訪問した椎名外務大臣は、これらの開発途上にある諸国が自国の問題の解決のために示している自主的な動きに感銘を受けた旨述べた。椎名外務大臣は、同地域における平和と安定の促進のために日本が果し得る役割に関する考えを述べ、これら諸国がさらに経済発展を追求するにあたり、引続きこれら諸国と協力して行く日本の決意を披瀝した。ブラウン外務大臣は、これを歓迎し、椎名外務大臣に対し、英国がアジアで出来る貢献は、同国の経済状態によって制約されてはいるが、英国は同地域における約束を守りかつ、平和と進歩のために出来る限りの事を行なう決意を確認した。

 両大臣は、ヴィエトナムに恒久的平和をもたらすことが極めて重要であることに意見の一致をみた。両大臣は、マレイシアとインドネシアの「対決」の終結を歓迎した。

 両大臣は、また、ヨーロッパ情勢ならびに効果的な軍縮を達成し、かつ、核兵器の拡散を防止するための可能な方法について討議した。両大臣は、国連に対する支持が両国の政策の基礎でなければならないことについて、意見の一致をみた。

 ブラウン外務大臣は、椎名外務大臣に対し、日本がローデシアの非合法政権に対する制裁政策に協力していることに感謝した。

 ブラウン外務大臣は、英国の経済政策について概説し、英国政府のポンドの力の維持の決意を強調した。椎名大臣はこの保証を歓迎した。ブラウン外務大臣は、また、ヨーロッパ経済共同体に対する英国の立場について説明した。

 椎名外務大臣は、また、ジェイ商務大臣を訪問し、通商、経済関係について討議した。その際両大臣は、最近東京において行なわれた日英貿易交渉の進捗について満足の意を表明した。両大臣は、また、将来の英国の対外貿易政策について討議した。

 閣僚間の協議に先立ち、広汎な諸問題について事務レベルの討議が行なわれた。

 今回の会談は率直かつ友好的に行なわれ、また、日英両国間の親善関係を再び明らかに示したものであった。また、今回の会談において国際問題についての両国の見解が極めて近いこと、および、世界の平和と安定を促進するため協力しようという両国の決意が確認された。

 次回の定期協議は、来年、両国政府が合意する時期に、東京で開催されることに意見が一致した。