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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とチェッコスロバァキア共和国との間の国交回復に関する議定書

[場所] ロンドン
[年月日] 1957年2月13日
[出典] 外交青書1号,181−182頁.
[備考] 
[全文]

 日本国及びチェッコスロヴァキア共和国は,

 不幸にも両国間に存在した戦争状態を終了させ,かつ,両国間に国際連合憲章の諸原則に適合して平和友好の関係を回復することを希望して,

 次のとおり協定した。

第一条

 日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の戦争状態は,この議定書が効力を生ずる日に終了する。

第二条

 日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間に外交関係が回復され,両国は,大使の資格を有する外交使節を遅滞なく交換するものとする。

第三条

1 日本国及びチェッコスロヴァキア共和国は,国際連合憲章の諸原則,特に,同憲章第二条に掲げる次の原則を指針とすべきことを確認する。

(a) その国際紛争を,平和的手段によつて,国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように,解決すること。

(b) その国際関係において,武力による威嚇又は武力の行使は,いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも,また,国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。

2 日本国及びチェッコスロヴァキア共和国は,経済的,政治的又は思想的のいかなる理由であるとを問わず,直接間接に一方の国が他方の国の国内事項に干渉しないことを,相互に,約束する。

第四条

 日本国及びチェッコスロヴァキア共和国は,両国間の戦争状態の結果として生じたそれぞれの国,その団体及び国民のそれぞれ他方の国,その団体及び国民に対するすべての請求権を,相互に,放棄する。

第五条

 日本国及びチェッコスロヴァキア共和国は,その貿易,海運その他の通商の関係を安定したかつ友好的な基礎の上に置くために,条約又は協定を締結するための交渉をできる限りすみやかに開始することに同意する。

第六条

 この議定書は,批准されなければならない。この議定書は,批准書の交換の日に効力を生ずる。批准書は,できる限りすみやかにロンドンで交換されるものとする。

 以上の証拠として,下名は,正当に委任を受け,この議定書に署名した。

 千九百五十七年二月十三日にロンドンで,英語により本書二通を作成した。

日本国にために

西春彦                              

チェッコスロヴァキア共和国のために

J・ハーエク