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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中平和友好条約交渉(第14回会談概要)

[場所] 北京
[年月日] 1978年8月8日
[出典] 情報公開法に基づき公開された外務省資料
[備考] 
[全文]

極秘

総番号 (TA) R056750  5599  主管

78年  月08日17時05分 中国発

78年08月07日18時22分 本省着   ア局長

外務大臣殿  佐藤大使

日中平和友好条約交渉(第14回会談概要)

第1582号 極秘 大至急

(限定配布)

 本件交渉第14回会談は、8日午後3時より同3時20分まで行われたところ、同会談概要次のとおり。双方の出席者、場所とも昨7日の前回会談と同じ。

1.先ず、本使より、昨日のわが方の提案について御意見があらば承りたいと述べたところ、韓副部長は、まだ検討中であり、話すことはない旨答えたので、本使より、昨日の会談の後、本国政府と連絡をとり検討した結果をお話ししたいとして次のとおり述べた。

 自分は韓副部長が度々中国側の8月2日の提案に対してもう一度日本側が検討して欲しいと述べたことを覚えている。この交渉を何とか妥結にもつて行くために何か考えはないかということで本国政府と相談してきた。そこでわれわれの得た結論はこういうことである。すなわち、8月2日の中国案を基礎にするとしても種々の理由により語くの修正は必要とする。そこで中国側が最も同意し易いであろうとわれわれが考えたのは7月31日第7回会談において韓副部長が双方の共通点として5点あげられた中の第1点「中日双方は、平和友好条約を締結し、両国間の平和友好関係を強固にし発展させることによつて第三国の利益を損う積りはない」と全く同じ言ばを入れて、「両締約国はこの条約を締結すること及び平和友好関係を強固にし、発展させることにより、第三国の利益を害する意図を有するものではない」という案文を考えた。この案をじゆう分検討していただきたい。ただし、1つの条件がある。それは日本側草案第1条は絶対に存置するということである。前にも説明したとおり、同第1条は、共同声明第8項にも書いてあるとおりのことをそのまま写したものであり、同条を存置することは共同声明の精しんから外れることにはならない。

2.これに対し韓副部長は次のとおり述べた。

7月31日に自分が述べた共通点は、第1回会談からそれまでの間に日中双方の表明した考え方をまとめた(注:中国語:帰納下来的)ものであり、これは中国側がまとめた案である。(注:ここで韓副部長は、りん席の王ギョウウンと、「われわれは検討しようではないか」と小声で相談し、王ギョウウンがうなずいた後)われわれは(日本側の提案を)検討する。まだ条文をつめる最後の段階ではない。

3.そこで本使より、「じゆう分検討して欲しい、明日からは政治会談となり、われわれの間のこのような会談も本日が最後かも知れないので、それに間に合うように本国政府と相談して本日持つて来た案である。自分としては最後の努力をしたつもりであるから、ぜひじゆう分検討していただきたい」と述べたところ、韓副部長は、「大使の最後の努力と言われたのか。結構である。われわれはじゆう分検討する。」と述べ、本日の会談を終了した。

(了)