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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中平和友好条約交渉(第11回会談−1)

[場所] 北京
[年月日] 1978年8月4日
[出典] 情報公開法に基づき公開された外務省資料
[備考] 
[全文]

極秘

総番号 (TA) R056018  5523  主管

78年  月04日18時41分 中国発

78年08月04日19時55分 本省着   ア局長

外務大臣殿  佐藤大使

日中平和友好条約交渉(第11回会談)

第1530号 極秘 大至急

(限定配布)

往電第1512号に関し

 4日午後3時半より5時まで1時間半にわたり(途中3時50分より約60分休けい)、第11回会談を行つたところ、概要次のとおり。(会談の場所及び出席者は、前回会談に同じ。)

1.冒頭、韓副部長は、「本日は自分が会談を主さいする番であるが、大使の方から先に発言されるか」と質したので、本使より、「前回の約束により、私より先に発言する」旨述べ、別電のとおりの発言を行つた。

2.本使発言の後、韓副部長の提案により休けいに入り、約1時間休けいした。

3.休けい後、韓副部長は、次のとおり述べた。

(1)先程、われわれは、大使の発言と日本側が提出した今一つの新しい案文を詳細に聞いた。われわれは、大使の本日の発言と日本側が提出した新しい案文を検討したいと思う。

(2)しかし、われわれは、今なお中国側が一昨日提出した案文は道理にかなつたもの(中国語:合情合理)であり、双方共受け入れられる案文であると考えている。われわれは、やはり日本側が引き続きわが方が一昨日提出した案文を真けんに検討するよう希望する。

(3)日本側が本日提出した案文については、われわれは、次の会談において、われわれの考え方を述べたい。従つて、本日の会談はここまでにすることを提案する。

4.これに対し、本使より本日の会談を終了することに同意した上、「本日、日本側より提出した案文は、新しいものであるので、貴方よりいろいろ質問があるかも知れないが、それらに対しては事務的に答える用意がある。」と述べたところ、先方は「わかつた」というだけで特に質問をする用意も見えなかつたので本使より「次回会談はいつ開くか。」と述べたところ、韓副部長は「双方の連絡係を通じ決めたい」と述べたので、本使より更に、「日本側としては明日でも結構である。」と述べたが、同副部長は、「具体的な時間はこちら側から明日連絡したい。次回は中国側から発言する番である。」とし次回の会談の日時については、中国側からの連絡を待つて決定することとなつた。

5.最後に本使より、「会談も度を重ねて電報だけでは、意をつくせないので、ナカエ局長に東京に帰つてきてもらいたいと考えている。ただ、これは会談とは関係がなく、ナカエ局長が居なくても引き続き行いたい。」と述べたところ、先方は「結構である」旨述べ、以上をもつて本日の会談を終了した。

(了)