データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 野坂官房長官の中国地下核実験に対する談話(要旨)

[場所] 
[年月日] 1995年8月17日
[出典] 日中関係基本資料集、820‐821頁.
[備考] 
[全文]

 一、核拡散防止条約(NPT)再検討・延長会議で、核実験の最大限の抑制が合意されたにもかかわらず、また戦後五十周年、被爆五十周年を迎え、わが国のみならず国際社会が平和への願い、核軍縮への願いを新たにしているこの時期に、五月に続き、中国がまたもや核実験を強行した事は極めて遺憾である。

 二、わが国は、核実験の禁止を核軍縮分野における最重要課題の一つとして重視しており、わが国からの再三の核実験停止申し入れにもかかわらず、中国が核実験を再び行ったことを重大に受け止めている。中国が、今後、核実験を繰り返さないことを強く求める。すべての核兵器保有国が核実験を行わないことが重要である。核実験全面禁止条約(CTBT)の来年中の妥結に向け、努力するよう核兵器保有国をはじめとする関係国に強く求め、わが国としてもこのため尽力していく。

 三、ODA大綱の観点からも遺憾であり、対中経済協力については、総合的判断の一環として、今回の経緯をも踏まえ、抑制約に対応することになる。

(一九九五・九・一、『日中月報』)