データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中長期貿易延長取り決め(五年延長)

[場所] 
[年月日] 1990年12月18日
[出典] 日中関係基本資料集、762‐764頁.
[備考] 
[全文]

 日本日中長期貿易協議委員会と中国中日長期貿易協議委員会は、日中両国政府の共同声明、日中平和友好条約、日中関係四原則及び日中貿易協定の精神に基づき、両国の経済・貿易関係を更に長期的かつ安定的に発展させるため、一九七八年双方が調印した日中長期貿易取決めの成果の基礎の上に、友好的に協議を行い、それぞれの政府の支持を受けて、日本から中国に技術・プラント設備及び建設資機材を輸出し、中国から日本に原油と石炭を輸出する長期貿易の取決めを、日中両国間貿易の一部として、以下のとおり締結する。

第一条 本取決めの有効期間は、一九九一年から一九九五年までの五年間とする。

2、本取決めの有効期間内における双方の輸出総金額は、それぞれ八十億米ドル前後とする。

第二条 本取決めの第一年度(一九九一年)から第五年度(一九九五年)までに、中国側から日本側に毎年、原油を八百八十万ないし九百三十万トン、原料炭を百四十万ないし百八十万トン、一般炭を二百五十万ないし三百五十万トン輸出する。

2、前項の原油、原料炭及び一般炭の対日輸出については、中国側は関係公司に対し、契約通り荷渡期日を遵守し、品質を保証するようにさせるものとする。

第三条 本取決めの第一年度(一九九一年)から第五年度(一九九五年)までに、日本側が中国側に輸出する技術・プラント設備及び建設資機材(主な品目リスト別添のとおり)の金額を八十億米ドル前後とする。

2、技術・プラント設備及び建設資機材の対中輸出については、日本側は日本政府に対し、輸出承認手続き、貿易保険の付保等が円滑に進むよう働きかけるものとする。

第四条 本取決めに基づく取引は、日本の関係輸出入企業と中国の関係輸出入公司との個別契約を締結することによって行うものとする。

2、双方は、合理的な国際価格と国際貿易の慣例に基づいて取引を行うことに同意する。

3、双方は、取決めの数量、金額を達成するよう努力するものとし、毎年締結する契約金額をもって取決めの金額とすることに同意する。

第五条 双方は、本取決めを実行し、日中両国の経済交流を拡大するため、必要な科学技術分野において技術協力を行うことに同意する。

第六条 双方は、本取決めに基づく取引上の決済の進捗状況を把握するため、それぞれ外国為替銀行一行を選定し、必要な統計作業を担当させることに同意する。

2、日本側は東京銀行とし、中国側は中国銀行とする。両行は必要な統計措置をとり、相互に連絡を行うものとする。

第七条 本取決めに基づく取引の契約、信用状、為替手形及び保証状にはすべて次項の符号を付することとする。

2、第一年度分に対してはLT−II−1、第二年度分に対してはLT−II−2(以下同様)とする。

第八条 双方は、本取決めを実行するため、日本側は日中長期貿易協議委員会事務局、中国側は中日長期貿易協議委員会弁事処を通じ、連絡及び関連業務を行うものとする。

第九条 本取決めの実行及び本取決めに関する問題を協議するため、双方の代表は、毎年一回交互に東京と北京で会談を行う。

第十条 本取決めは、双方協議し、同意の上、これを修正又は延長することができるものとする。

2、本取決めに基づき締結した契約は、双方の契約当事者の同意なしに破棄することができないものとする。

第十一条 本取決め書は、一九九〇年十二月十八日東京において調印し、日中両国語により各二通を作成し、双方それぞれ一通を保有する。両国語の取決め文書は同等の効力を持つ。

日本日中長期貿易協議委員会 委員長 河合 良一

中国中日長期貿易協議委員会 主任 沈覚人

(別添)

 日中長期貿易取決めに基づき日本側が中国側に輸出する主な技術・プラント設備及び建設資機材の商品リスト

一、エネルギー及びその関連

 1、発電設備及び同関連設備

 2、省エネルギー・公害防止設備技術

 3、油田開発、炭鉱開発設備技術機械(含輸送設備)

 4、都市ガス関係設備技術

二、農業開発関係

 1、農業基盤整備関連機械技術

 2、農業機械技術

三、輸送通信関係

 1、交通輸送システム関係設備機械

 2、通信設備技術機械

 3、輸送車両等製造設備技術

四、重要原材料等生産設備

 1、石油化学工場設備

 2、製鉄所設備

 3、セメントエ場設備

 4、化学肥料工場設備

五、電子関係

 1、機械電子設備

 2、大容量集積回路

 3、ファインケミカル

六、技術改造関係

 1、輸出企業技術改造

 2、重点企業技術改造

七、その他

 特定建設に必要な建設資機材