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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 財団法人交流協会と亜東関係協会との間の在外事務所相互設置に関する取り決め

[場所] 
[年月日] 1972年12月26日
[出典] 日中関係基本資料集、453−454頁.
[備考] 
[全文]

 財団法人交流協会(以下「交流協会」という)代表堀越禎三及び板垣修と亜東関係協会代表張研田及び辜振甫は、自国民が相手方に在留し、あるいは旅行するのに際し、その入域、滞在及び子女教育等につき便宜が得られるよう援助するため、ならびに民間の経済、貿易、技術、文化その他各種の関係の円滑な発展を促進するため、相互にその在外事務所を設置することに合意し次のとおり取決めた。

1、交流協会は、台北事務所及び高雄事務所を設置する。

 亜東関係協会は、東京事務所及び大阪事務所を設置する。大阪事務所は、福岡に支所を設け、所員を長期出張の形式で福岡に派遣して事務を処理させることができる。

2、交流協会及び亜東関係協会が在外事務所に派遣する所員の数は、三十名をもって限度とし、業務上の必要に応じ、相互の話合いによって増員することができる。

 上記の定員には現地雇用の補助員を含まないものとする。

 双方は、相互に自国に設置された在外事務所及びその所員が、自国の国内法令の許す範囲内において、必要な支持と協力ならびに便宜を与えられるよう努力すべきものとする。

3、双方の在外事務所の業務は、次の各項に関する活動に限るものとする。

 (1)相手方に在留する自国民の身体、生命及び財産ならびに相手方にある自国の法人及び自国民が相手方において設立した法人の財産及び権益が侵害されることなく十分な保護を与えられるよう、関係当局との折衝その他一切の必要な便宜をはかること。

 (2)相手方に在留する自国民の子女の教育(学校教育を含む)に関し、一切の必要な業務を行なうこと。

 (3)相手方住民及び第三国人の自国への入国、在留及び再入国等に関し、必要な便宜をはかること。

 (4)相手方に在留する自国民と相手方住民との間の渉外事項に関し、調査、あっせん等必要な援助を行なうこと。

 (5)双方間の貿易を円滑に発展させるため、関係当局との連絡、あっせん等必要な便宜をはかること。

 (6)双方間の貿易の均衡的発展をはかるため、相手方の経済、貿易、観光等の事項に関する調査及び自国の上記事項に関する紹介を行なうこと。

 (7)双方間の貿易、投資、技術協力に関し、民間諸取決めを締結し、または締結を援助しならびにその実施を保護するため一切の必要な活動を行なうこと。

 (8)ローン・アグリーメント締結済みの借款の貸付実行及び債権回収に関し、必要な調査、連絡を行なうこと。

 (9)既に行なわれた国際約束に基く技術協力で実施未了のものを含み、双方間の各種技術協力に関し、必要な業務を行なうこと。

 (10)相手方漁船の自国近海における安全操業が保障されるよう一切の必要な便宜をはかること。

 (11)自国船舶の相手方諸港への出入域(緊急入域を含む)及び相手方諸港における作業の安全が保障されるよう、また船員の病気、解雇その他の理由による上陸等につき、一切の必要な便宜をはかること。

 前項の船舶及び関連事項に関する規定は、航空機にも同様に準用する。

 (12)双方間の海空による旅客貨物の運送及びこれに関連する通信を円滑に維持するため関係当局との連絡、折衝その他必要な便宜をはかること。

 (13)双方間の学術、文化、スポーツ等各種交流活動に関し、一切の必要な便宜をはかること。

 (14)双方の目的を達成するため、その他必要な調査及び業務を行ない、または一切の必要な便宜をはかること。

 本取決めは、日本語及び中国語により作成し、双方の代表は、以上の証拠として、一九七二年十二月二十六日、台北において、これに署名した。

財団法人 交流協会代表

堀越禎三

板垣修

亜東関係協会代表

張研田

辜振甫