データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本公明党訪中代表団と中国日本友好協会代表団の共同声明(日中国交回復五条件)

[場所] 
[年月日] 1971年7月2日
[出典] 日中関係基本資料集、374‐376頁.
[備考] 
[全文]

 日本公明党竹入義勝委員長を団長とし、浅井美幸副委員長を副団長とする日本公明党訪中代表団は、中日友好協会の招きに応じて、一九七一年六月十六日から七月四日まで中華人民共和国を友好訪問した。

 中華人民共和国国務院周恩来総理と全国人民代表大会常務委員会郭沫若副委員長は、代表団全員と会見し、友好的な談話を行なった。代表団は、また、工場、人民公社、学校などを参観し、中国人民の熱烈な歓迎と親しみのこもった接待を受けた。

 日本公明党代表団は、北京滞在中、王国権を団長とし、徐明を副団長とする中日友好協会代表団と友好的で率直な会談を行なった。

 なお、中国側からは、中日友好協会代表団団員王暁雲、林波、丁民、王賢、江培柱がこの会談に参加した。

 日本側からは、公明党代表団団員正木良明、大久保直彦、渡部一郎、三ツ谷光男、沖山雅彦がこの会談に参加した。

 双方は、平等に話合い、小異を残して大同につく、という精神に基づいて、中日関係、当面の情勢などともに関心をもつ問題について十分に意見を交換した。

    (1)

 日本公明党代表団は、次のように声明した。〔1〕中国はただ一つであり、中華人民共和国政府は中国人民を代表する唯一の合法政府である。「二つの中国」と「一つの中国、一つの台湾」をつくる陰謀に断固反対する。〔2〕台湾は中国の一つの省であり、中国領土の不可分の一部であって、台湾問題は中国の内政問題である。「台湾帰属未定」論に断固反対する。〔3〕「日蒋条約」は不法であり、破棄されなければならない。〔4〕アメリカが台湾と台湾海峡地域を占領していることは侵略行為であり、アメリカは台湾と台湾海峡地域からそのすべての武装力を撤退しなければならない。〔5〕国連のすべての機構での、ならびに安全保障理事会常任理事国としての中華人民共和国の合法的権利を回復し、蒋介石グループの「代表」を国連から追出さなければならない。上記の中国の合法的権利の回復を妨げるすべての陰謀に断固反対する。

 中国側は、公明党のこれら五項目の主張は中日両国人民の願望と利益に合致するものであると認め、賞賛と支持の意を表するとともに、もし日本政府が上記の主張を受入れ、しかもそのために実際の措置をとるならば、中日両国の戦争状態を終結し、中日国交を回復し、平和条約を結ぶことができると認め、さらにその後において、状況の発展に応じて、平和共存の五原則(主権と領土保全の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉、平等互恵、平和共存)の基礎に立って、中日相互不可侵条約を結ぶ可能性があることを認めた。

    (2)

 双方は、インドシナ三国に対するアメリカの侵略戦争を一致して非難し、「アジア人をアジア人と戦わせる」ニクソン・ドクトリンに反対し、アジア諸国の問題はアジア諸国の人民によって解決されるべきであり、アメリカの武装力とアメリカとともに侵略を行なっている外国軍隊はインドシナから撤退すべきであると断固主張し、民族自決の立場から、インドシナ三国人民がおのおの自分の国の問題を解決すべきであると強調した。

    (3)

 中国側は、朝鮮民主主義人民共和国に対するアメリカ帝国主義の軍事挑発を強く非難し、アメリカ帝国主義の侵略と米日反動派による日本軍国主義復活に反対する朝鮮人民の闘争を断固支持する。日本側は、内政不干渉、民族自決の立場から、「日韓条約」に反対し、朝鮮に関し佐藤・ニクソン共同声明のいう「日本自身の安全にとって緊要である」との条項に反対し、朝鮮よりすべての外国軍隊の撤退を主張し、アメリカが日本における軍事基地を利用して朝鮮に対して軍事行動を起こすことに反対し、日本政府が朝鮮に対して新しい衝突を引起こす可能性のある危険な政策をとることに反対する。双方は、朝鮮問題は朝鮮人民の手で解決されるべきであり、それによって自己の祖国の平和統一を実現すべきであると考える。

    (4)

 双方は、一九六九年十一月に発表された佐藤・ニクソン共同声明については、公然と台湾、朝鮮、インドシナをすべて日本の安全圏に入れたものとして強く反対した。日本側は、最近、日本政府が、「防衛白書」と「第四次防衛力整備計画案」を発表するなど、軍備拡張に拍車をかけており、日本軍国主義が復活しつつあると指摘し、これに全力をあげて反対し、独立、民主、平和、中立、繁栄の日本を実現するためにたたかう決意を表明した。中国側は次のように表明した。日本人民は真の武装自衛を実行する権利を完全にもっている。しかし日本軍国主義が、「自衛」の名のもとに対外拡張と侵略を行なうことは絶対に許せない。アメリカ帝国主義が日本反動派をアジア侵略の急先鋒にかりたてることに断固反対し、米日反動派による日本軍国主義の復活に断固反対する。

    (5)

 双方は、最近日米両国政府が佐藤・ニクソン共同声明に基づいて調印した「沖縄返還」協定を一致して非難した。日本側は次のように表明した。この協定は日本国民の願いにまったくそむき、沖縄、日本、アジアの将来に重大な禍根を残すものである。いわゆる「一九七二年、核抜き、本土なみ沖縄返還」は欺瞞に満ちたものであり、これに強く反対する。いま、アメリカは引続き沖縄をアジアにおける軍事基地にし、日本政府も沖縄に自衛隊を配置させようとしており、日米の軍事的連携はいちだんと強化されている。中国側は、日本側の上記の見解を賞賛するとともに、沖縄の即時・無条件・全面返還を要求する日本人民の正義の闘争を断固支持すると表明した。

    (6)

 中国側は、中国はいつ、いかなる状況においても、自分の方から先に核兵器を使うことは絶対にしないとの立場を重ねて表明し、核兵器の全面禁止と完全廃棄協定ならびにその第一歩として、核兵器不使用協定を取決めるための、全世界大小国家の首脳会議を開催することに関する提案を重ねて強調した。日本側は、これに対し支持の意を表明した。双方は、一致して大国の強権政治に反対し、かれらの核恐喝と核威嚇に反対し、核戦争反対のために、すべての核兵器の全面禁止と完全廃棄のためにたたかう決意を表明した。

    (7)

 双方は一致して次のように認めた。中日両国人民の友好を求める願望は、大勢のおもむくところであり、人心の向かうところとなっている。これは阻むことのできない歴史の流れとなっている。日中友好と日中国交回復の促進を求める日本人民の日ましに高まる大衆運動は、必ずや反動勢力が設けたさまざまな障害を突破って、日中友好の輝かしい前途を切開くであろう。

 双方は、日本公明党代表団の最初の中国訪問の成果に満足の意を表明し、このたびの訪問と会談によって相互の理解と友誼を深めたことを一致して認めた。双方は、両国人民の友好関係を増進させるうえで新しい貢献をするために、今後、引き続き交流する。

中国日本友好協会代表団

団長 王国権(署名)

副団長 徐明(署名)

日本公明党訪中代表団

団長 竹入義勝(署名)

副団長 浅井美幸(署名)

一九七一年七月二日 北京にて

(一九七一・七・三、人民日報)

{〔1〕は原文ではマル1}