データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 原爆実験についての周首相の核禁会議提案

[場所] 
[年月日] 1964年10月17日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),527−528頁.外務省アジア局中国課「中共対日重要言論集」第10集,196−7頁.
[備考] 
[全文]

1964年10月16日,中共は1個の原子爆弾を爆発させ,第1回核実験を成功裏におこなった。同日中共政府はこの件につき声明を発表し,核兵器問題にたいする中共の立場を詳細に説明した。

中共政府は一貫して,核兵器を全面的に禁止し,徹底的に廃棄するよう主張しており,中共が核実験をおこない,核兵器を開発しているのは迫られておこなっているのである。中共が核兵器を掌握したのは完全に防衛のためであり,米国の核脅迫から中共人民を守るためである。

中共政府は,中共がいかなるときにもいかなる状況においても,核兵器を先きに使用することはないことを厳粛に宣言する。

中共政府はひきつづき国際的話し合いを通じて,核兵器の全面的禁止と徹底的廃棄の実現をめざし,このため自己の声明のなかで以下の提案をおこなった。

すなわち,世界各国首脳会議を招集し核兵器の全面的禁止と徹底的廃棄の問題を討議すること,その第1歩として各国首脳会議が核兵器保有国と核兵器を近く保有する可能性のある国が核兵器を使用しないことを保障し,核兵器を持たない国にたいし,核兵器を使用せず,非核武装地区にたいして核兵器を使用せず,相互間にも核兵器を使用しないという義務を負う協定を達成すべきであること。

核戦争を防止し,核兵器を消滅させることは,全世界のすべての平和を愛する国家と人民の共通の願望である。中共政府は,中共政府の上記の提案が,貴国政府の好意ある考慮と積極的な反応を得られるよう誠心誠意希望する。

 ここに崇高な敬意を表する。