データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国際貿易促進地方議員連盟と中国国際貿易促進委員会との共同コミュニケ

[場所] 北京
[年月日] 1964年2月13日
[出典] 戦後資料日中関係(1967),363-364頁.
[備考] 
[全文]

 日本国際貿易促進地方議員連盟代表団は,中国国際貿易促進委員会の招請により,1964年2月中国を友好訪問した.代表団の北京訪問期間中,日中両団体の代表は,日中両国民の友好往来と経済文化交流ならびに日中関係正常化の諸問題について,友好的な話し合いを行ない,意見の一致を見た.

1. 双方は,日中両国間の貿易が,日中両国関係団体と関係者の努力により大きく発展しつつあることを喜ぶ.その間,日本国際貿易促進地方議員連盟は,長年にわたり,日中貿易促進のため多くの努力をはらった.これにたいし中国側は,敬意を表した.双方は,今後とも,日中貿易のより一層の発展を促進するため,引きつづきともに努力することを申し合わせた.

2. 双方は,日中両国民の共同の努力により,日中両国民の友好往来と経済,文化の交流が良き発展をとげていることに満足の意を表した.1963年北京と上海で開催された日本工業展覧会が,大きな成果をおさめ,また,展覧会開催期間中に,目本側は多くの参観団を組織して訪中し,日中友好関係を増進させるうえで貢献をなした.双方は,1964年東京,大阪,北九州市において開催される中国経済貿易展覧会も,大きな成果をおさめることを望む.日本側は,中国の展覧会が順調に開催されるよう全力を尽して協力し,また,中国側が参観団を組織して訪日することを歓迎する.中国側は,これにたいし感謝の意を表した.双方は,今後引きつづき展覧会の相互開催を促進するため努力する.

3. 双方は,日中国交の回復は,日中両国民の共通した願いであり,両国民の利益と全く合致するものであり,かつまたアジアと世界の平和にとって有利であることを一致して認めた.中国側は,日中両国の正常な関係を回復する主な障害は,ある一部の人が“二つの中国”を造りあげようとする企てにあると指摘し,これは,中国人民の絶対に許せないことであると表明した.中国人民は“二つの中国”を造りあげる陰謀に反対し,日中両国の正常な関係の回復のために払われた日本国民の努力にたいし,感謝の意を表した.日本側は,中国とフランスがすでに国交関係を樹立したことにかんがみ,隣邦である日中両国は,なおさら一日も早く正常な関係を回復しなければならないと考え,中国はただ一つ,それは中華人民共和国でしかありえず,“二つの中国”を造りあげるどのような企てにも,日本国民は賛成できないものであることを表明した.日本側は,この趣旨に基き最大の努力を払うものである.中国側は,広はんな日本国民が,日本の独立,自主と日中国交回復のために払われた努力は,必ず勝利をおさめるものと確信する.

4. 日中両国民の友好的な往来をより一層発展させ,相互の理解を深めるため,双方は,今後次々と代表団を互いに派遣し,友好的な参観訪問を行なうことに同意した.双方は,日本側が知事,市長,地方議員と地方団体の諸代表団を組織して訪中し,中国側も,それらに相当する諸代表団を組織して訪日することに同意した.双方代表団の相互訪問の事項については,双方と各関係部門が具体的に相談して決める.

5. 双方は,日中両国の各都市間の往来を増進することは,日中友好強化の良い方法であることを認めた.双方は,北京,上海その他の都市と,東京都,大阪府その他の都市が互いに代表団を派遣して訪問し合い,また関係都市の写真等の資料を交換し展示することが実現できるよう,ともに促進し努力する.

6. 双方は,両団体が成立して十数年らい,良好な業務上の連絡と協力関係をとりむすんだことに満足の意を表した.双方は,友好協力の趣旨に基き,引きつづき密接な連絡をとり,ともに力を合わせて,日中友好と貿易関係を一段と増進させるため,より大きな貢献をなすことを希望する.

1964年2月13日 北京にて

日本国際貿易促進地方議員連盟会長 斉藤卯助

中国国際貿易促進委員会主席 南漢宸