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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国民救援会第3次訪中代表団と中国人民救済総会との共同声明

[場所] 北京
[年月日] 1963年5月28日
[出典] 戦後資料日中関係(1967),318-319頁.
[備考] 
[全文]

 中国人民救済総会は難波英夫氏を団長とする日本国民救援会第1次訪中代表団を1959年5月招待し,続いて1960年7月岡本光雄氏を団長とする第2次訪中代表団を招待した.日本国民救援会は1961年11月伍雲甫氏を団長とする中国人民救済総会訪日代表団を日本に招待した.

 日本国民救援会の斎藤喜作氏を団長とする第3次訪中代表団は中国人民救済総会の招待により1963年4月30日中華人民共和国に到着,5月1日北京メーデーに参加後,伍雲甫氏らと会談し,武漢,長沙,湘潭,南昌,杭州,上海などの地方を訪問,中国各方面の熱烈なる歓迎を受け,友好を一層つよめ,隔意ない懇談を行なった.その間両者は数次にわたる会談の上,ここに次の如き第3次共同声明を発表することにした.

1. 中国人民救済総会と日本国民救援会は以前と同様,この相互の往来と交流が中国人民の戦闘的友誼を一層増進し,その団結を強化し,日本国民の独立,平和,民主,中立のための運動と中国人民の共産主義をめざす社会主義建設の事業を激励するのに重要な役割りを果たしていることを認めた.

2. 両者は1960年8月北京において日本国民救援会第2次訪中代表団と中国人民救済総会との間で調印された共同声明と1961年12月東京において日本国民救援会と中国人民救済総会との間で調印された共同声明が,日本国民の日米安全保障条約に反対する闘争,松川事件の闘争,日韓会談粉砕の闘争に大きな役割りを果たしたことを認めた.

3. とくに日本国民救援会第3次訪中代表団は中国人民救済総会訪日代表団の日本各地における労働者,一般市民,各界代表との交歓が日本の独立,平和,民主,中立の闘争にはかりしれない激励となったと確認した.これは松川闘争等の弾圧反対の日本人民闘争の発展に大きな貢献を与え,とくに日本国民救援会に対する労働者階級の信頼を高め,救援会の活動家の信念を強め,その組織の拡大,強化に役立った.これらの功績に,日本国民救援会は感謝を表明した.

 同時に,中国人民救済総会は日本国民救援会が弾圧反対活動のさい,労働組合,民主団体,平和勢力弾圧のための日米反動の陰謀を事前に暴露し,弾圧を阻止し,労働者と民主勢力を防衛したその功績を高く評価し,弾圧犠牲者とその家族の救援事業が民主主義を守るたたかいの上できわめて重要な役割りを果たしていることを認め,これに対し協力と援助を続けることを表明した.

 両者はこの二つの共同声明の情勢分析が正しかったことを確認し,その立ち場に立って努力しかちとった成果について再び満足の意を表明した.

4. 国際情勢が社会主義国と平和を愛する諸国民に有利になればなるほど,米帝国主義の戦争政策は一層狂気じみて,社会主義建設にむかって前進しているキューバに不法な武力干渉を,また南朝鮮,南ベトナム,ラオス,台湾などで暴力をふるいアジアの平和を脅かしている.それだけでなく米帝国主義は世界各国の反動政権を援助してその国の民主勢力に残虐きわまりない弾圧政策をとらせている.

 日本では日米反動勢力が日米安全保障条約にもとづいて日本軍国主義の復活と東北アジア軍事同盟の結成をいそぎ,四国の面積と等しい日本各地の米軍事基地は核基地化されつつある.沖縄は完全に中国,ソ連,朝鮮にむけられた核基地となっている.米国の原子力潜水艦は日本を基地として太平洋上に自由勝手に出没しようとしている.日米反動勢力は依然として中華人民共和国の国連における正当な地位の回復を阻止し「二つの中国」を作る陰謀を続け,長期にわたって台湾を占領しようとしている.

 いまや米帝国主義が日中両国の共同の敵であることは日本国民の常識となっており,米帝国主義が世界の平和を脅かし全人類の災厄のもととなっていることは明らかである.

 両者はここに日中両国人民の団結を一層強力にし,この災厄の根源を除去し,アジアと世界の平和を守るために全力をあげてたたかう決意を新たにするものである.

5. 日本国民救援会第3次訪中代表団は台湾の解放,中華人民共和国の国連における正当な地位の回復のための闘争を支持することを表明し,中国人民の社会主義建設の躍進,米帝国主義の戰争政策に対する反対,諸国民の独立と民主主義のための闘争への援助に心からの敬意と感謝の意を表明した.

 ことに日本国民救援会第3次訪中代表団は中国人民救済総会が弾圧犠牲者と家族の救援事業,松川事件,白鳥事件などの闘争に対する継続的な援助に心からの感謝の意を表明した.

6. 日本国民救援会第3次訪中代表団は社会主義国の統一と団結が強まり,世界平和勢力の発展と,植民地,従属国の独立運動がますます進展しているとき,日米反動勢力がその凶暴な戦争政策を推し進めるため,いよいよ弾圧政策を強化してきておると考え,このため,弾圧に反対しその犠牲者と家族を救援する運動を大衆化するために救援会の組織を拡大,強化する決意をした.

 また松川事件の全被告の無罪判決のためのたたかいが当面の救援会の重大な任務であることを認めた.

7. 中国人民救済総会は日本人民の反米愛国の正義の闘争と独立,民主,平和,中立をめざす事業を断固として支持することを重ねて表明するとともに,日本人民の一つ一つの勝利は中国人民と全世界人民に対する大きな支持であるとみなしている.

 中国人民救済総会は日本国民救援会が労働組合,民主団体と平和勢力を弾圧しようとする日米反動派の陰謀を暴露し,その弾圧を阻止し,労働者と民主勢力を守るためにたたかっていることを高く評価し,また松川事件,白鳥事件被告など弾圧を受けた犠牲者とその家族たちに対する日本国民救援会の救援活動は独立,民主,平和と中立をめざす日本人民のたたかいの中で重要な役割りを果たしていることを認めた.

 中国人民救済総会は引き続き日本国民救援会の正義の事業に対して大いに協力し支援するものである.

8. 両者は最後にこの二つの団体の正義の事業をおしひろめ,米帝国主義が諸国の反動派にさしずして人民に加えている野蛮な弾圧に抗議し,その犠牲者を慰問,激励し援助することを申し合わせた.

 両者は日中両国人民の勢力と相互支援によって今日までに獲得した成果,なかんずく松川闘争の経験の上に立って弾圧に反対し,強い自信をもってさらに偉大なる勝利を獲得するために奮闘努力することを誓った.

 1963年5月28日 北京に於て

日本国民救援会第3次訪華代表団

 斎藤喜作 山田善二郎 武田久 長岡千代子

中国人民救済総会

 伍雲甫 彭炎 浦化人 梁思一 紀鋒