データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中友好貿易促進に関する議定書

[場所] 
[年月日] 1962年12月27日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),434−436頁.「増補改訂 日中関係資料集(一九七一年刊)」,231−2頁.
[備考] 
[全文]

 日中貿易促進会理事長鈴木一雄,日本国際貿易促進協会副会長宿谷栄一および日本国際貿易促進協会関西本部専務理事木村一三は,中国国際貿易促進委員会主席南漢宸の招請により一九六二年十二月十五日,友好訪問のため中国をおとずれた。双方は,日中両国人民間の友好貿易をいっそう強めることについて友好的な会談をおこない,完全に意見の一致をみ,つぎのようなとりきめをおこなった。

(1) 双方は,中国周恩来総理による日中貿易三原則の提示以来,日中両国人民間の友好貿易が,両国人民の積極的な支持のもとに,双方の共同の努力をへて,大きな発展をとげ,日中両国人民間の友好関係を促進するうえで重要な役割を果たしたことを,満足の意をもって一致して指摘した。中国側は,日本の関係諸団体や日中貿易に熱心な人びとが,困難な条件のもとで日中貿易拡大のためにたゆまぬ斗争をすすめてきたことにたいし,深い敬意を表した。日本側は,中国側の一貫した協力にたいし感謝の意を表した。

 双方は,中国政府によって提示された日中関係における政治三原則,貿易三原則および政経不可分の原則を支持することをあらためて表明し,また,これらの原則を守りぬくことを基礎にして,日中両国人民間の友好的な貿易関係を強め,日中両国関係の正常化を促すため,ひきつづきともに努力することを表明した。

 日中貿易の発展は,両国人民のいずれにも利益をもたらすものである。日中民間貿易が新しい発展をしめしているときにあたり,アメリカ帝国主義は公然とこれに干渉し,妨害を加えているが,双方はこのことにたいしひじょうな憤りをしめすとともに,あくまでも反対することを表明した。双方は日中貿易の発展は両国人民の共通の願いであり,いかなる力もこれを阻止できないことを固く信じている。双方は,日中両国人民の友好貿易は,今後とも日中民間貿易における重要な方式の一つであり,これまでに築き上げてきた良好な基礎のうえに,ひろびろとした明るい発展の前途をもつものであると考える。双方はさまざまな積極的措置をとって,日中両国人民間の友好的な貿易関係をいっそう強めるためにたえず努力するものである。

(2) 双方はたがいに相手国において商品展覧会を単独に開催することに同意した。日本側の商品展覧会は,一九六三年内に中国の北京において開催し,その後さらに上海でおこなうこととし,中国側の商品展覧会は一九六四年内に日本の東京と大阪において開催することとする。

(3) 日中両国人民間の経済・貿易関係と友好関係の発展を促進するため,双方は,経済・貿易会の人びとおよび関係団体を相互に招請し訪問しあうことに同意した。

 日中貿易促進会,日本国際貿易促進協会および日本国際貿易促進協会関西本部は,中国国際貿易促進委員会が一九六三年内に代表団を日本に派遣し友好訪問をおこなうよう招請した。中国国際貿易促進委員会はこの招請を受諾した。

(4) 双方は,日中両国間の技術交流を促進するため,ともに努力することに同意した。

(5) 貿易を進める上での便宜をはかるため,双方は,両国銀行間の連絡を強め,両国銀行の間で信用状を直接開設することに同意した。

 一九六二年十二月二十七日 北京にて

 日中貿易促進会理事長

       鈴木一雄

 日本国際貿易促進協会副会長

       宿谷栄一

 日本国際貿易促進協会

 関西本部専務理事

       木村一三

 中国国際貿易促進委員会主席

       南漢宸

付属覚書

 日中貿易促進会,日本国際貿易促進協会,日本国際貿易促進協会関西本部と中国国際貿易促進委員会との間で一九六二年十二月二十七日調印された議定書にもとづき,双方は展覧会の相互開催の具体的事項について,つぎのように申し合わせた。

1. 双方は,その開催する展覧会において,それぞれ自国の工業と農業の発展の最高の水準を十分反映しうる展示品を出品するよう希望した。双方は,出品者側でその展覧会の具体的な内容を決め,また同時に相手側の提案を考慮することに同意した。

2. 双方は,出品者側が展覧会終了後展示品の現地販売を希望するばあい,相手側は自国の貿易公司または商社を紹介し,需要にもとづく選択買付をおこなうよう協力することに同意した。

3. 双方は,それぞれ展覧会開催期間中に自国の販売品を販売することに同意した。

4. 双方は,展示品および即売品の売上げ金を展覧会開催所要の経費にふりむけることができるということに同意した。

5. 双方は,展覧会開催期間中,相互に視察団を招請して見学訪問できるようにすることに同意した。

6. 本付属覚え書は議定書の不可分の一部である。