データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本社会主義青年同盟と中華全国青年連合会との共同声明

[場所] 北京
[年月日] 1961年5月27日
[出典] 戦後資料日中関係(1967),237-238頁.
[備考] 
[全文]

 中華全国青年連合会の招きによって中華人民共和国を訪問した日本社会主義青年同盟西風委員長は,中華全国青年連合会代表張超副主席と日中両国の青年が関心を寄せている諸問題について意見を交換し,討論をおこなった.

 このたびの会談のなかで,日本社会主義青年同盟西風勲委員長は中華全国青年連合会が中華人民共和国の社会主義建設と世界の平和を守る事業の上で大きい役割をはたしていること,および日本人民の日米「安保条約」改定反対の闘いにたいして中国人民と青年がしめした国際的な連帯の活動にたいして深い敬意と感謝の意を表明した.

 中華全国青年連合会張超副主席は,日本社会主義青年同盟とその他の青年諸団体および日本青年がすすめているアメリ力帝国主義と日本独占資本の帝国主義的復活に反対する巨大な闘い,なかでも日米「安保条約」改定反対闘争にしめされた日本人民と青年の反帝,平和を守る闘争精神にたいし,崇高なる敬意を表明した.

 双方はまた次の問題について完全に意見が一致した.

1. 両団体の自国内における活動任務と条件の相違にもかかわらず,双方は日本社会主義青年同盟と中華全国青年連合会が国際活動のなかで多くの点で共通の課題と協力の必要があることを確認した.両団体は日本社会党の元委員長浅沼稲次郎氏が1959年3月12日,中国の北京で「日中国交回復のために闘う日本社会党」と題する演説のなかでアメリカ帝国主義は日中両国人民の敵であると指摘されたが,その後の情勢の発展のなかでこのことは全く正しい指摘であったことが明らかとなった.日中両国の青年はさらにしっかりと手をたずさえてアメリカ帝国主義反対,世界平和を守るための共同の闘いを積極的におこなうであろう.

2. 両団体は社会主義体制の強化,民族独立運動のいちじるしい昂揚,資本主義国における民主運動の発展,世界人民の異なる社会制度の国々の平和共存と軍縮への要求の大きな流れがすべて帝国主義反対世界の平和を守るたぐいない強大な力となっていることをみとめた.双方はまたこれを高く評価した.しかしながらアメリカ帝国主義を頭とする帝国主義ブロックは依然として国際情勢に重大な危機をつくりだした.ラオス・コンゴ・アルジェリア・キューバなどの国々にたいする侵略と干渉は各国の主権と独立を破壊し,新しい戦争の脅威をかもしだした.

 両団体は全世界人民の平和を守る闘争と民族独立の闘争にたいし,とりわけラオス,キューバ,アルジェリア,コンゴ人民と青年の国家主権の保護と民族独立のための闘いにだんこたる支持を表明した.

3. これらの諸原則にもとづいて,帝国主義反対,平和を守るための闘いを進めるために,日本社会主義青年同盟と中華全国青年連合会は,次のような態度を明らかにする.

 1) アメリカ帝国主義と日本独占資本とその政府池田内閣によってつくり出されている「二つの中国」と「一つ半の中国」の陰謀に反対し,台湾は中華人民共和国の侵すことのできない領土である,われわれは日中両国の国交が平和共存の5原則とパンドン会議10原則を基礎にしたうえで,1日も早く回復されることを望むものである.さらに,日本社会主義青年同盟は,国連において中華人民共和国の合法的な議席がすみやかに回復されることを支持する.

 2) アメリカ帝国主義のカイライ政権によって,つくりだされている朝鮮民族の分裂は,アジアの平和にとって危険である.われわれは,南北朝鮮の平和的統一を支持する.

 3) ラオス人民の正義の闘争と中立確保を支持する.アジアの平和のため,侵略的な東南アジア条約機構を撤廃させなければならない.

 4) 日本人民と青年の日米「安保条約」破棄と日本の平和中立の闘いを支持する.

4. 現在,拡大しつつある日中両国人民と青年の交流の動きを歓迎するとともに,これらの活動をこんごいっそう強めて,日中両国の国交回復の実現をはかる.

5. 国際的な青年運動においては,平和,独立,社会進歩のために闘っているすべての努力を支持する.青年の豊かな生活と明るい未来のために国際的な協力を促進する.

6. 双方は,1961年モスクワにおいて開かれることになっている世界青年研究集会,1962年ヘルシンキにおいておこなわれることになっている第8回世界青年学生平和友好祭を支持し,この集会の成功を確信する.これらは全世界の青年の友情と団結をいっそう強めるものである.

7. 日本社会主義青年同盟と中華全国青年連合会は,こんごとも協力を強め,代表団の交換,情報資料の交換と広い話し合いを通じて,全世界の青年の平和,民族独立,普遍的軍縮と社会進歩をめざす闘いを強めるために誠実にして積極的な努力をはらう.

 また,青年の民主的な権利の促進と各国青年の団結,友情のため,さまざまな国際的諸集会のなかで協力を強める.

 1961年5月27日 北京において

日本社会主義青年同盟委員長 西風勲

中華全国青年連合会副主席 張超