データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 青年日本留学経験者との懇談会における橋本内閣総理大臣の挨拶(中南米諸国訪問)

[場所] 
[年月日] 1996年8月20日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(上),214−215頁.
[備考] 
[全文]

 本日は、総務庁の「世界青年の船」参加者、文部省国費留学生、日墨交流計画、JICA、JETORO、AOTSの研修生のOBの方々と、このような懇談の機会を持つことができて、喜びに堪えません。メキシコ及び中米との関係が大切であると言い続けてきた者として、このたび訪問できましたことは幸せです。

 今回のメキシコ訪問は、メキシコが九四年末以来の経済危機を乗り越えて再び活気を取り戻している様子を、メキシコの友人として自分の目で実際に確かめたいというのが目的のひとつでした。我が国に滞在した経験のある皆様が社会の第一線で活躍されておられるお元気な姿を拝見して、メキシコの活気を肌で感じることができ嬉しく思います。

 メキシコと日本は、太平洋を挟んだ隣国として、伝統的に長い友好関係を育んできました。アミーゴの国メキシコには、日本人である私たちを惹きつけてやまない不思議な魅力があると常々感じております。私自身、メキシコとは随分長いお付き合いがあり、これまで多くの友人に恵まれ、交流を深めてまいりました。九二年に訪問した際にも、そうした友人達に大変温かいおもてなしを受けたという経験があります。その上今日は、こうして多くの若い方々の歓迎を受け、メキシコと我が国との友好親善関係の将来について改めて深く認識させられ、大きな希望を感じる次第です。

 間もなく二十一世紀です。二十一世紀は皆さんの時代です。しかし、解決しなければならないグローバルな課題が沢山残されています。私は明日セディージヨ大統領と会談しますが、大統領とは日墨二国間関係だけでなく、こういうグローバルな問題の解決に向け、いかに協力していくかについても積極的に話し合いたいと思います。グローバルな問題の解決は国政を担う我々の責任だからです。若い皆さんには、更に力を磨いて自らの活躍の場を広げて行っていただきたいと念願いたします。

 最後になりましたが、皆さんが日本で見聞された経験を生かしながら、各々の立場で一層ご活躍され、そして日本とメキシコの友情の架け橋として、今後とも我が国とメキシコとの交流と相互理解にご努力いただけるよう期待して、私の挨拶とさせていただきます。