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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] マルティネス・デ・オス・アルゼンティン国経済大臣の訪日に際しての日本とアルゼンティンの共同新聞発表

[場所] 東京
[年月日] 1976年10月14日
[出典] 外交青書21号,69−71頁.
[備考] 
[全文]

1.マルティネス・デ・オス・アルゼンティン国経済大臣は、日本国政府の招待により、外務省賓客として1976年10月9日より14日まで日本国を公式訪問した。

 同経済大臣には、カンバ運輸・公共事業庁長官、ディス中央銀行総裁、パソス外国貿易庁貿易担当次官、ゲルサ海洋庁漁業担当次官等が随行した。

2.マルティネス・デ・オス経済大臣夫妻は、日本滞在中、東宮御所において皇太子、同妃両殿下から謁見を賜わつた。

3.マルティネス・デ・オス経済大臣は、福田副総理、小坂外務大臣、大平大蔵大臣、大石農林大臣、河本通産大臣と会談した。会談は、両国間の伝統的親善関係を反映して、率直かつ友好的な雰囲気の下に行われ、次の様な話合いが行われた。

 (1)アルゼンティン側は、同国の経済回復に関し、かかる回復は、アルゼンティン政府によつて定められた指針に基づき、市場経済のもとで、インフレーション率を徹底的に引下げ、生産と投資を促進させる現実的な経済計画の結果によることを強調した。アルゼンティン側は、さらに同計画が、確固たる方針の下に実施され、現在までの6カ月間に同国経済は明らかに回復しており、今後安定的に発展していく基礎となつている旨説明した。

 双方は、両国がその経済政策において、共に自由開放体制を志向していることに留意し、日本側は、本年第2四半期以降のアルゼンティン経済が着実な回復ぶりを示している事実に関するアルゼンティン側説明を歓迎した。

 右に述べた如く、両国が相互に共通点を有していることに鑑み、双方は、アルゼンティン経済が今後実質的に発展することを心から希望する旨表明した。また、双方は、両国間の経済協力を強化する可能性につき友好的に分析した。

 (2)アルゼンティン側は、特に1976年末までの対外短期債務返済の処理に関し、アルゼンティンの金融ポジションを強化するため、日本の民間銀行が日本市場において協力的精神をもつて行つている協調融資による金融協力をうけることに関心を表明した。これに対し、日本側は、民間銀行の意向を尊重しつつ、好意的態度で検討する旨述べた。

 (3)アルゼンティン側は、穀物輸出が同国経済に占める重要性を説明し、小麦と飼料穀物の対日輸出を安定的に拡大したいとの強い希望を表明した。これに対し、日本側は、飼料穀物については従来から両国間で行われている安定的取引が今後とも円滑に発展していくことを希望するとともに、アルゼンティン産小麦については、その品質が日本において要求される品質規格に合致し、かつ、輸出供給力が安定すれば日本への輸入が可能になる旨述べた。また、双方は、両国間における穀物取引の安定化と発展に資するため、穀物に関する継続的な情報・意見の交換が重要であることを認識した。これに関連し、アルゼンティン側は、本年末までに関係の専門家を日本に派遣することを提案し、日本側は、この提案を受け入れた。

 (4)双方は、2国間の技術協力を一層推進する努力を行うことにつき意見の一致をみた。また、双方は、2国間の技術協力協定を締結する可能性を検討することにつき意見の一致をみた。

 (5)アルゼンティン側は、日本海洋水産資源開発センターによる調査船派遣を歓迎し、双方は、アルゼンティンの漁業開発の分野における協力が今後一層推進されるであろうとの希望を表明した。

 (6)アルゼンティン側は、日本側に対して、アルゼンティンの中小企業による日本の機械設備の買付につき援助するため、日本輸出入銀行とアルゼンティン国立開発銀行との間の新たなクレジット取極を締結することを要請した。これに対し、日本側は、このような取極の締結を検討する用意がある旨述べた。

 (7)アルゼンティン側は、外国よりの投資に対する公正な条件を創り出すために適切な措置をとりつつあり、これは、最近承認されたアルゼンティン経済の健全な発展を基本的目的とする新外資法によつて確認されている旨説明した。また、アルゼンティン側は、同法は投資者に対し、配当金、特許料、技術のノウ・ハウ料、役務の対価の送金を含む公正かつ安定した待遇を保証する旨表明した。日本側はこれを歓迎した。

 (8)アルゼンティン側は、日本の工業と技術が、アルゼンティンの公的及び私的部門の重要なプロジェクトの実施に参加し、それにより、設備投資などを含めアルゼンティン経済の強化に参加することになるであろうとの希望を表明した。