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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 三木内閣総理大臣によるエリック・E・ウィリアムズ総理(トリニダットトバコ)歓迎晩餐会における挨拶

[場所] 
[年月日] 1975年1月27日
[出典] 三木内閣総理大臣演説集,156ー157頁.
[備考] 
[全文]

 ウィリアムズ総理閣下,御列席の皆様

 本夕ここにトリニダット・トバゴ国エリック・E・ウィリアムズ総理閣下をお招きし歓迎の晩餐会を開催致しますことは,私の大きな喜びとするところであります。

 ウィリアムズ総理閣下が国務御多忙の折にも拘らず,国連大学理事会に御出席の機会に特に時間をさいてわが国を公式に訪問されましたことは,日本とトリニグッド・トバゴ両国関係を緊密化せんとする御意図の表われでありまして,私はこの機会に日本政府及び国民の名において総理閣下の御来日を心から歓迎申し上げます。

 トリニダッド・トバゴは一九六二年に独立以来,一貫して,ウィリアムズ総理閣下の卓越した御指導の下で鋭意国造りに励まれ,経済,社会両面において驚異的な発展を遂げられたのみならず,カリブ海における指導的国家として同地城,ひいては世界の平和と安定のために目覚しい貢献をなされておりますことに対し,日本国民は深い敬意の念を有しております。また,総理閣下が同時に国連大学の理事として,諸国民の友好と相互理解の実現を目指すこの画期的な企てに対し積極的に努力を払われておりますことに対しても,私共は強い感銘を覚えます。

 日本とトリニダッド・トバゴは,友好と親善の絆で結ばれておりますが,とくに最近では経済面を中心としてこの絆は更に一層強固なものになっております。一九七三年九月,日本政府はトリニダッド・トバゴに政府の経済使節団を派遣しましたが,同使節団は総理閣下をはじめとする貴国官民各位の暖かい歓迎を受け,友好と相互理解の増進という所期の目的を十分達成することが出来ました。

 他方,トリニダッド・トバゴからは,昨年十一月の総理閣下御自身の来日をはじめ,経済使節団等が来日され,わが国民間業界を中心とした経済関係緊密化の上で大きな貢献をされております。

 私は,総理閣下のこの度のわが国公式訪問は,現在迄のこうした両国間の友好,親善関係を将来に向って拡大,発展させる上での強固な基盤となるものと確信致しております。

 最後にウィリアムズ総理閣下のわが国御滞在が快適で実り多いものとなりますことを心からお祈り致しますと共に,ウィリアムズ総理閣下の御健康と御幸福,トリニダッド・トバゴ国民の御繁栄をお祈りして杯を挙げたいと思います。