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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とブラジル合衆国との間の文化協定

[場所] 東京
[年月日] 1961年1月23日
[出典] 外交青書5号,286−288頁.
[備考] 
[全文]

 日本国政府及びブラジル合衆国政府は、

 国際連合憲章の高遠な理想及び両国の国民を結ぶ伝統的な友好のきずなに動かされ、また、

 両国間の文化関係と理解を助長し、かつ、深めることを希望して、

 文化協定を締結することに決定し、このため、次のとおりそれぞれの全権委員を任命した。

日本国政府

日本国外務大臣 小坂善太郎

ブラジル合衆共和国大統領

日本国駐在ブラジル特命全権大使

デシオ・オノラト・デ・モウラ

 これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次の規定を協定した。

第一条

(1)両締約国は、特に、書籍、定期刊行物その他の出版物、講演、演奏会及び演劇、美術展覧会その他の文化的性質を有する展覧会、ラジオ、テレビジョンその他の大衆通報手段並びに文化的、科学的又は教育的性質を有する映画の諸手段により、各締約国内において相手国の文化が一層理解されるように、できる限りの便宜を相互に与えるものとする。

(2) 各締約国は、他方の締約国の文学的又は芸術的内容の著作物の翻訳又は複製を奨励するものとする。

第二条

 両締約国は、教授、学者、学生その他特に文化活動に従事する者の相互の交換を助長するものとする。

第三条

 各締約国は、自国の大学その他の教育又は研究の機関における他方の締約国の文化に関する問題についての講義の創設及び拡充を奨励するものとする。

第四条

 各締約国は、自国の領域内において、他方の締約国の国民が修学を続け、研究を行ない、又は技術的訓練を受けることができるように、これらの者に奨学金その他の便宜を与えるための方法を研究するものとする。

第五条

 両締約国は、合意の上、かつ、各締約国の法令の精神に従い、修学上及び職業上の目的のため、他方の締約国の学校及び大学により与えられる学位及び資格証書の同等性を定めるために、それらの学位及び資格証書を相互に承認することを容易にし、かつ、簡単にするための準則、方法及び基準を採用する可能性を検討するものとする。

第六条

(1) 各締約国は、自国の領域内における他方の締約国の文化的、科学的又は教育的機関の設立及び発展について、できる限りの便宜を与えるものとする。

(2) 各締約国は、両国間における文化交流を助長するため、他方の締約国の文化的機関又は団体により発展させられた活動を支持するよう努力するものとする。

第七条

 両締約国は、両国民の間における運動競技をできる限り奨励するものとする。

第八条

 各締約国は、両国民の間の文化関係と理解を助長するための手段としての観光の重要性を認めて、自国の国民の他方の締約国への旅行を奨励するものとする。

第九条

(1) 両締約国は、この協定の実施を確保するため、二の日本・ブラジル混合委員会をそれぞれ東京及びブラジリアに設置することに同意する。

(2) 各委員会は、五人、すなわち、一人の委員長並びに日本国政府が任命する二人及びブラジル合衆国政府が任命する二人の四人の委員で構成する。

(3) 日本国政府は、東京に所在する委員会の委員長に日本国民を任命し、ブラジル合衆国政府は、ブラジリアに所在する委員会の委員長にブラジル国民を任命する。

第十条

 この協定は、その効力発生の日から、千九百四十年九月二十三日にリオ・デ・ジャネイロで署名された「文化的協力ニ関スル日本国「ブラジル」国間条約」に代わるものとする。

第十一条

(1) この協定は、批准されなければならない。この協定は、批准書の交換の日の後四十日で効力を生ずる。批准書の交換は、ブラジリアで行なわれるものとする。

(2) この協定は、五年間効力を有し、その後においても、いずれか一方の締約国がこの協定を終了させる意思を通告した日から一年の期間が満了するまで引き続き効力を有する。

 以上の証拠として、前記の全権委員は、この協定に署名調印した。

 千九百六十一年一月二十三日に東京で、ひとしく正文である日本語、ポルトガル語及び英語により本書二通を作成した。解釈について疑義がある場合には、英語の本文による。

日本国政府のために

小坂善太郎

ブラジル合衆国政府のために

デシオ・オノラト・デ・モウラ