データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定,議定書

[場所] 東京
[年月日] 1960年4月22日
[出典] 外交青書5号,254頁.
[備考] 
[全文]

 通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定(以下「協定」という。)に署名するに当たり、下名の代表者は、各自の政府から正当に委任を受け、さらに、同協定の不可分の一部と認められる次の規定を協定した。

1 協定において「会社」とは、商業、工業、金融業その他営利を目的とする事業活動に従事する社団法人、組合、会社その他の団体をいう。

2 第三条1の規定に関し、いずれの一方の締約国も、旅券及び査証に関するすべての事項を相互主義に基づく特別の協定により規制すべきことを要求することができる。

3 第三条3の規定に関し、いずれの一方の締約国も、不動産に関する権利の享有についての待遇が相互主義に基づくべきことを要求することができる。

4 この協定のいかなる規定も、著作権及び工業所有権に関して、いかなる権利をも許与し、又はいかなる義務をも課するものと解してはならない。

5 第四条の規定は、いずれか一方の締約国の領域内で収用され、又は使用された財産で他方の締約国の国民及び会社が直接又は間接に利益を有するものについても適用する。

6 第六条2に関し、各締約国は、沿岸貿易に従事する権利を自国の船舶のみに留保することができる。もっとも、いずれの一方の締約国の商船も、外国で積載した旅客若しくは積荷の全部若しくは一部を陸揚げし、又は外国向けの旅客若しくは積荷の全部若しくは一部を積載する目的をもって、他方の締約国の領域内のいずれかの港から他の港に向かって航海を続けることができる。

7 協定のいかなる条項も、キューバ共和国に対し、(a)千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第二条の規定に基づいて日本国がすべての権利、権原、及び請求権を放棄した地域に原籍を有する者に対して、又は(b)同平和条約第三条に掲げるいずれかの地域に対する行政、立法及び司法に関し同条後段に掲げる事態が継続する限り、同地域の原住民及び船舶並びに同地域との貿易に対して日本国が与えているか又は将来与える権利及び特権の享受を要求する権利を与えるものと解してはならない。

 千九百六十年四月二十二日に東京で、日本語、スペイン語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違があるときは、英語の本書による。

日本国政府のために

藤山愛一郎

キューバ共和国政府のために

ラウール・セペーロ・ポニーリァ