データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 津波、地震及びその他の自然災害に関するアジア・アフリカ共同首脳声明

[場所] ジャカルタ
[年月日] 2005年4月23日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 我々、アジア・アフリカ諸国の政府首脳は、2005年4月22-23日、インドネシア・ジャカルタに集い、2004年12月26日の地震及び津波災害によって失われた生命及び生活に対して深甚なる哀悼の意を表明した。

 我々は、地震及び津波災害が、その惨害の影響を両大陸の人々が共感していることにおいて、我々の二大陸が共に結びついていることを強く想起させるものであったことを認識する。

 我々は、この未曾有の大災害がかつてない規模の国際社会の反応と支援と共感を生んだことに留意した。この点に関し、我々は、緊急救援努力及び復旧・復興努力を集団的に支援することにより、最近の地震及び津波災害を解決するために果たした被災国の主導的な役割及びアジア・アフリカ諸国を含む国際社会の貴重な貢献を評価した。

 我々は、また、防災、災害緩和及び災害管理に関する適切な措置の継続的開発を奨励することを誓約した。これは、2005年1月6日にジャカルタで開催された地震及び津波災害に関するASEAN特別首脳会議の結果を支持するものである。

 我々は、また、津波及びその他の自然災害に対処するための様々なイニシアティブ、特に、神戸で開催された国連防災世界会議、プーケットで行われた津波早期警戒アレンジメントに関する地域協力閣僚会議、アジスアベバで開催された災害リスク削減に関するアフリカ地域戦略に関する第3回AUサミット、並びに、ヨハネスブルグで行われた持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)を含む国連の主宰の下でのその他の国際会議、の結果に留意した。

 我々は、地震や津波に関しては、その容赦ない衝撃と余波が社会経済の発展を阻害するが故に、政治的な国境は意味を持たず、すべての人々、その生活、そして環境に脅威を与えることを認識した。

 我々は、環太平洋及び環インド洋の国の津波と地震その自然災害の問題に対処する上での知見・経験を確認し、それ故に、環インド洋における自然災害を緩和するため、積極的で統合された多種の災害や多分野にわたる即応体制及び早期警戒システムの開発に投資する喫緊の必要性を強調した。

 これらの目的のため、我々は以下のとおり決意した。

1. 犠牲者を最小限にするとの観点から、災害準備、災害予防、災害緩和並びに対応のメカニズムを伴った、多中枢の早期警戒システムの開発をするための統合的戦略を構築する。

2. 地域コミュニティの参加に基づくものを含む調整された地域システムの構築に向けた協力の強化を推進しつつ、国内の早期警戒システムを構築及び更新する。

3. 特に、災害援助や緊急対応のための即応体制、情報交換ネットワークの構築、研究及びデータベースセンターの設立、最新科学技術の最大活用、並びに、自然災害のリスクと影響を削減するための戦略開発によって、地域及び国際レベルで可能な限りの迅速な対応能力を検討することにより、集団的行動の効果を高めるような手段と方法を探求する。

4. アジア・アフリカ社会のすべてのレベルにおいて、「災害リスク削減のための文化」を醸成する努力を強化し能力開発、公共教育及び啓発活動の促進、並びに災害予防及び災害緩和活動への地域コミュニティの参加を通じて、災害リスクに直面する人々が災害の影響からの防護を達成できる能力を強化する。

5. 自然災害の直接の影響や、公衆衛生、環境危機への潜在的二次的影響に備えるため、優良事例や経験を共有するのみならず、実践的手法や手段を模索するためのアジア・アフリカ諸国からの専門家間の一層の交流を慫慂する。

6. 国際社会に対し、被災国への復旧・復興の努力を含め、技術協力及び財政支援の供与を継続するよう奨励する。

 我々は、共感、犠牲及び忍耐の精神に基づき、津波、地震及びその他の自然災害の影響に積極的に対処するための我々の備えと能力が、我々のよりよい未来のために広まっていくことを決意する。

2005年4月23日、ジャカルタにおいて