データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフリカ諸国外相等との午餐会における安部外務大臣のスピーチ

[場所] ニューヨーク
[年月日] 1985年9月25日
[出典] 外交青書30号,405−406頁.
[備考] 
[全文]

 御列席の皆様,本日,ここに,昨年に引き続き,アフリカ各国代表の皆様を御招きして午餐会を開催できますことは私にとって大きな喜びであります。

我が国は,アフリカ諸国への経済協力を強化し,アフリカ支援に貢献してきております。また,我が国国内においても,昨年秋の「アフリカ月間」が大きな契機となり,これまで我が国にとって遠い存在だったアフリカの諸問題が正に茶の間の話題となるまで浸透し,170万枚余の毛布をおくる運動にみられるように,かつてないほどの民間のアフリカ支援の動きが展開されました。また,この秋,アフリカの文化紹介を主目的とした「アフリカ・ウィーク」の開催を予定しております。

御列席の皆様,私は,アフリカ諸国が先般のアフリカ統一機構首脳会議で,その危機を克服するために自ら立ち上がろうとする強い意志を表明したことを高く評価します。私はアフリカ諸国の自助努力を積極的に支援し,今後とも,緊急的措置としての食糧援助に加え,中長期的観点に立脚した食糧増産,農業基盤整備のための援助を一層幅広く実施していく決意を新たに致しました。

中長期的視点にたった援助の重要性は,先のボン・サミットにおいて,私が特に強調した点であり,かかる立場から,私は,サミット参加国に対し「アフリカ緑の革命構想」を提案致しました。

又,この問題は,今夜開催されるサミット7ヵ国外相会議の議題にもなっております。

 私は,21世紀に向けて世界の平和と繁栄のための環境作りに積極的に貢献することが我が国外交の最も重要な使命であると考えており,かかる立場から,ODA第3次中期目標を設定し,1992年のODA実績を1985年実績の2倍とし,7ヵ年の実績総額を400億ドル以上とするよう務めることとし,今後ともアフリカ経済危機に対しても積極的に関与していく所存であります。

私は,アフリカのもつ未来への潜在力を信じます。アフリカ諸国が相互の調和と協力を図りつつ,現下の困難を乗りこえ,アフリカの平和と繁栄に向けて前進されんことを心より願ってやみません。