データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本とザンビアの共同コミュニケ

[場所] 東京
[年月日] 1980年9月19日
[出典] 外交青書25号,457−459頁.
[備考] 
[全文]

1.ケネス・デェイヴィッド・カウンダ・ザンビア共和国大統領及び同令夫人は,日本国政府の招待により1980年9月17日から21日まで国賓として日本を訪問した。

2.大統領及び同令夫人には,カマンガ統一国民独立党中央委員会委員,ムレンバ同中央委員会委員,マカサ同中央委員会委員,チスパ商・工業大臣,ムソコトワネ大蔵大臣,チャクリア外務大臣,ムウィラ農業・水資源開発大臣及びその他の高官が随行した。

3.日本とザンビア共和国との間に存在する友好協力関係に基づいた今回の訪日中に,カウンダ大統領及び同令夫人は,1980年9月17日,皇居において天皇・皇后両陛下と会見した。

4.また,カウンダ大統領は,鈴木総理大臣と会談した。同会談において双方は,共通の関心を有する国際問題につき意見を交換し,あらゆる分野における両国関係及び両国関係をより一層発展させる方途についても検討した。同会談は,相互の友好,信頼及び理解の雰囲気の中で行われた。

5.さらに,大統領は,日本の経済団体の指導者とも会談し,また,各種産業施設及び日本の伝統的文化施設を訪問した。

6.鈴木総理大臣及びカウンダ大統領は,現下の国際情勢に関する意見交換において両国の外交政策の基本的立場が世界の平和と安全の維持及びすべての国との友好関係の発展を目指すものであるということで同一のものであることを再確認した。

7.カウンダ大統領及び鈴木総理大臣は,南部アフリカ情勢につき検討した。双方は,同地域の平和と安定の重要性を再確認するとともに,この関連で国際連合及びアフリカ統一機構の果たして来た役割とその成果を高く評価した。また,双方は,ジンバブエの独立に対し歓迎の意を表明した。

8.双方は,南アフリカのアパルトヘイト政策が撤廃されるべきであること及び同国がナミビアの不法占拠を終了すべきであることに意見の一致をみた。

 双方は,ナミビアにおける国連監視選挙実施に対する南アの非妥協的態度に遺憾の意を表明した。双方は,ナミビア人民の奪うことのできない自由の権利に対する支持を再確認した。双方は,南アによる隣接国に対する攻撃につき懸念を表明した。

9.日本側は,ザンビアが国際社会の平和と発展のために果たしている役割を高く評価するとともに,特に同国がジンバブエの独立を実現する上で多大の貢献を行ったことに敬意を表した。また,ザンビア側は,日本がアフリカ地域の経済発展と民生の安定に寄与すべく努力していることを評価するとともに,日本のザンビア及びその他のアフリカ諸国に対する2国間政府開発援助が最近着実に増大していること,また,日本がアフリカ開発基金に対し重要かつ多大な貢献を行っていることを歓迎した。

10.双方は,両国間関係が経済・貿易の分野をはじめとして近年着実に発展しつつあることに満足の意を表明し,今後かかる関係をさらに拡大し,かつ多様化すべきことに意見の一致をみた。

11.ザンビア側は,日本のザンビアに対する経済技術協力が近年順調な進展をみ,ザンビアの経済発展,社会開発に対して貢献していることを高く評価するとともに,日本の経済技術協力が今後一層推進されることを希望した。

12.日本側は,今後ともザンビアの経済社会開発を支援し,ザンビア国民の福祉の増進に貢献するため,ザンビアに対し日本の援助スキームの枠内で可能な限りの経済技術協力を推進していきたい旨述べた。日本国首相は,日本が農業分野における協力に付している重要性を再確認した。双方は,ザンビアの農業開発計画に関連してザンビア大統領が行った種々の要請について既存のチャネルを通じこれら要請の詳細を検討することに意見の一致をみた。

13.ザンビアのマイクロ・ウェーブ計画の実現に資するため,日本側は,同計画についてのフィージビリティ・スタディを本会計年度内に着手する用意のある旨表明した。ザンビア側は,日本側に対し,マスメディア・プロジェクトの資金手当に真剣な検討が行われるに先立ち,出来るだけ早急に同計画のフィージビリティ・スタディを行うよう要請した。

14.日本側は,既にプロジェクト方式の技術協力を実施中のザンビア大学医学部の小児科病院建設計画に関し本年度中に基本設計調査団を派遣し,その結果を見た上で無償資金協力供与の可能性を積極的に検討する旨述べた。日本国政府は,ザンビア政府に対し,技術協力計画の下で同プロジェクトに対する約25万ドルの医療機材を供与する。

15.日本国政府は,ザンビアに対し,2億5,000万円相当の米による食糧援助を無償で供与する旨表明し,ザンビア側は,日本国政府に対しその寛大な提案につき謝意を表明した。

16.産業プロジェクトにつき,日本側は,本年度中にザンビアの窒素化学工場の再建についてのフィージビリティ・スタディに着手する用意がある旨表明した。ザンビア側は,本年6月,両国政府間で交換公文に署名した硫酸工場建設計画に対する54.5億円を限度とする円借款につき謝意を表明し,また,双方は,同計画によりザンビアの戦略的に重要な化学産業を拡大,強化し,これにより農業の振興を助成する上で大きな進展がみられることとなる旨述べた。

17.日本側は,ケネス・D・カウンダ大統領の今回の日本訪問が両国における一層の相互理解の促進,相互友好協力関係の強化に大きく貢献する旨述べた。

18.カウンダ大統領は,日本滞在中に大統領及びその一行が受けた厚遇につき天皇・皇后両陛下並びに日本国政府及び日本国民に対し,深い感謝の念を表明した。

19.カウンダ大統領は,鈴木総理大臣がザンビアを訪問するよう招待した。この招待は感謝の念をもって受諾された。ザンビア訪問の具体的時期は,外交チャネルを通じて決定される。