データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第2回北極に関する日中韓ハイレベル対話 共同声明

[場所] 
[年月日] 2017年6月8日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

北極は世界のいかなる他の地域よりも急速な環境変化及び気候変動を経験している。これらの重要な変化は国際社会に差し迫った課題及び機会をもたらしている。海氷の融解は北極における天然資源及び海洋漁業,並びに航路の開通といった新たな機会をもたらす一方で,気候変動は脆弱な北極の生態系,地域住民及び先住民コミュニティーの生活に地球規模での影響を及ぼしている。特に,北極海の脆弱な海洋環境の保護及び保全を確保し,ルールを基礎とした海洋秩序に基づき平和,安定及び建設的な協力を維持することは,国際社会にとって不可欠である。

北極問題の地球規模での重要性を認識しつつ,日本国,中華人民共和国及び大韓民国の首脳は,2015年11月に発出された北東アジアの平和と協力のための共同宣言に基づき,北極政策を共有し,協力案件を追求し,北極に関する協力を深化させる方法を模索するため,北極に関する3か国ハイレベル対話を立ち上げることを決定した。

2016年4月にソウルで開催された第1回対話に続き,2017年6月8日,日本国外務省の白石和子北極担当大使,中華人民共和国外交部の高風(こう・ふう)北極特別代表及び大韓民国外交部の金英俊(キム・ヨンジュン)北極担当大使は,第2回北極に関する日中韓ハイレベル対話を開催するため,東京に参集した。

本対話の目的は,国際社会の取組に貢献するために3か国間の科学協力を強化する手段に特に焦点を当て,北極に関する共通の課題に対処するための更なる議論に関与するという大韓民国のイニシアティブをフォローアップすることであった。

第10回北極評議会閣僚会合において署名された2017フェアバンクス宣言及び国際的な北極科学協力の強化に関する協定を念頭に,本対話の3名の代表団長は,北極に関する各国の活動の紹介を通じて,作業部会,タスクフォース及び専門家会合への関与を通じた北極評議会の活動への各国それぞれの貢献を一層強化すること及び,特に,北極をめぐる課題と機会は地域を越えた地球規模の影響を持つという共通の認識に基づき,他の様々な国際的な枠組みへの関与を強化することの重要性を強調した。

3名の代表団長は,科学研究が共同活動及び3か国の協力活動のための最も有望な分野であることを再確認した。3名の代表団長は,各国の独自性及び強みを念頭に3か国の協力活動を絶えず追求することの重要性に留意しつつ,太平洋側北極研究グループ(PAG)への主要な貢献としての太平洋側北極海における環境変化の共同研究及び北極海同時広域連携観測(SAS)の下で2020年夏の国際的に連携した航行における汎北極海観測案件といった科学研究における具体的な協力案件を特定することを各国の専門家に要請した。3名の代表団長は,前述の北極科学に関する活動を履行するための支援及び協力を約束し,定期的にこれらの活動をフォローアップすることの重要性を確認した。また,3名の代表団長は,他の分野における協力案件を引き続き特定していくことを再確認した。

3名の代表団長は,北極に関する3か国ハイレベル対話は,北極をめぐる3か国の継続的な協力のための重要なプラットフォームであることを改めて表明した。3名の代表団長は,適切なチャンネルを通じ,北極評議会に本対話の議論を引き続き報告することを決定した。

北極に関する3か国ハイレベル対話は既存の3か国間協力の枠組みを深化し,拡大するための有用なプラットフォームとして機能することに留意しつつ,日本国及び大韓民国は,2018年に第3回北極に関する日中韓3か国ハイレベル対話を主催するという中華人民共和国の提案を歓迎した。