データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 農業協力に関する共同声明(日中韓サミット)

[場所] 
[年月日] 2012年5月13日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 我々,中華人民共和国・大韓民国・日本の首脳は,農業は我々の国家及び国民の福祉の発展のために必要不可欠であるとの見解を共有した。

 三国間の農業協力は,農業技術の向上,食料生産能力の強化,農産品の貿易促進に資するものである。また,三か国がより良い食料安全保障を維持し,着実な社会的・経済的成長を促進し,土地の保全や生物多様性の保護などの複数の機能を維持することを助長する。我々はまた,三国間の農業に関する健全な協力が地域及び世界全体の食料安全保障の強化にとって重要であることを認識した。

 我々は,2012年4月14〜15日に大韓民国・済州で行われた第1回農業大臣会合とその実りのある成果を歓迎した。そして,我々は,ASEAN+3の枠組みにおける三国間の効果的な協力を称賛した。三国間の農業協力を強化するための健全な基盤と多大な可能性があることを認識し,以下のとおり農業に関する我々の協力を進めることを決定した。

 ・シンポジウムの共催等を通じ食料安全保障に関する農業政策の情報交換,研究者交流,共同研究の機会の追及を行う一方,AFSIS(ASEAN食料安全保障情報システム),APTERR(ASEAN+3緊急米備蓄),APIP(アジア太平洋食料安全情報プラットフォーム)を含む地域及び国際レベルにおける,食料安全保障問題に関する三国間の協力の促進に重点的に取り組む。

 ・アジアで頻発する口蹄疫や鳥インフルエンザ等の動植物疫病に関する状況の把握と情報交換を行うとともに,共同の対応努力として動植物疫病の管理・防止の枠組の可能性を検討する。

 ・自然災害に関する情報共有を図るとともに,自然災害の防止,軽減,自然災害により被害を受けた農業生産の回復に協調して取り組む。

 ・研究者の交流促進や共通課題の情報共有のための共同研究,ワークショップ,シンポジウムの開催についての三国間協力の状況を評価する。

 ・有り得べき日中韓の経済連携を通じ,持続可能な農業を目指しつつ,農産物貿易を促進する。

 ・ASEAN+3,APEC,FAO,G20等の地域及び国際レベルのフォーラムにおける協力を強化する。

 我々は,三か国の農業担当大臣が,農業分野における主要協力案件についての意思疎通と調整及び国際的な食料及び農業問題に関する立場についての意見交換と調整のため,持ち回りによる定期的な会議を開催することを支持した。