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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G20エネルギー移行大臣会合 成果文書及び議長総括

[場所] インド,ゴア
[年月日] 2023年7月22日
[出典] 経済産業省
[備考] 
[全文] 

 全てのG20エネルギー大臣は、パラグラフ1-20、パラグラフ28-29及び附属書I「水素に関するG20ハイレベル自主原則」に合意した。パラグラフ21-27は、議長の責任において発表された議長総括である。

1. 我々G20エネルギー大臣は、インドのG20議長国の下、「一つの地球、一つの家族、一つの未来」をテーマに、安全で持続可能で公正で共有された包摂的な成長を可能にする手段として、多様な道筋を通じて、クリーンで持続可能で公正で低廉で包摂的なエネルギー移行を加速するために、G20メンバー間の責任感と連帯感を共有し、協力し、構築することを目的に、2023年7月22日にインドのゴアで会合を開いた。

2. 我々は、経済成長と繁栄を追求し、誰一人取り残すことなく、全ての人が近代的なエネルギーにアクセスできるようにするために、エネルギー移行を進めると同時に、エネルギー安全保障、エネルギーアクセス、市場の安定性、エネルギーの低廉性を同時に進展させる必要があると確信する。我々はまた、持続可能な開発目標の達成や、今世紀半ば頃までに温室効果ガス排出量のネット・ゼロ又はカーボンニュートラルの達成に貢献するために、多様な道筋を通じてエネルギー移行を進めることが緊急に必要であると認識する。我々は、我々の主導的な役割に留意し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の目的を追求するに当たり、衡平並びに各国の異なる事情に照らした共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に関する原則を反映した形で、パリ協定及びその気温目標の完全かつ効果的な実施を強化することによって気候変動に取り組むという我々の確固たるコミットメントを再確認する。我々はまた、利用可能な最善の科学、循環型アプローチ、社会経済、経済、技術、市場の発展及び最も効率的な解決策の推進を考慮に入れる。

エネルギー安全保障及び多様なサプライチェーン

3. 我々は、増大する世界のエネルギー需要を、持続可能で低廉なエネルギー供給によって確保することの重要性を強調する。我々は、エネルギー安全保障を確保し、エネルギー市場を安定化させる観点から、エネルギーシステムを強化するために、G20メンバー、その他の国際的なパートナー及び多国間機関の間の技術的な協力及び協力を前進させることを目指す。この文脈において、我々は、開かれた、競争的で、非差別的かつ自由な国際エネルギー市場を促進しつつ、持続可能な開発と気候変動に関する目標に沿って、拡大するエネルギー需要を満たすための包摂的な投資等を含めて、向上されたエネルギー安全保障及び市場の安定への道を探る、多様な供給源、供給者及びルートからのエネルギーの途絶えることのない流れを維持することの重要性を強調する。我々は、消費者と生産者間の対話の促進、ビジネス部門におけるグローバルな協力及び持続可能で、低廉で、信頼性が高く、強靭で、よりクリーンなエネルギーシステムに向けた適切なエネルギー投資の必要性を重視する。

4. 我々は、特定の鉱物、材料、技術がエネルギー移行に不可欠であり、各国の主権的権利を尊重しつつ、市場経済の原則と国際貿易ルールを遵守し、そのような重要鉱物や材料及び半導体や関連技術の信頼性が高く、責任ある持続可能なサプライチェーンを維持する必要があることを認識する。この観点から、我々は、資本、人材、技術資源の不足に対処し、それらを持続的に生産し、選鉱を通じた現地での価値創造を強化するために、自主的かつ相互に合意された技術普及、技能開発、供給元での選鉱、資金の流れの増大を支持する。我々は、効率性を高め、供給源での選鉱の規模を拡大し、循環性を促進し、そのような鉱物や材料のサプライチェーンバランスを維持するための持続可能な代替手段を可能にするための研究開発を支持する。我々は、人々と環境への潜在的な負の影響を削減する必要性を再確認し、多国間協力とG20メンバー間の協力を活用することを意図する。この観点から、我々は、議長国文書の「エネルギー移行のための重要鉱物の自発的な協力原則」及びインド議長国が用意したレポートの「重要鉱物のサプライチェーンにおける脆弱性への対処」に留意する。

5. 我々はまた、エネルギー安全保障を強化し、経済成長を促進し、低廉で信頼性が高く、持続可能な方法で、万人のための普遍的なエネルギーアクセスを促進する上で、適用可能な場合は、系統連系、強靭なエネルギーインフラ、地域/国境を越えた電力系統統合が果たす役割を認識する。特に我々は、電力ネットワークの拡大と近代化が、自然エネルギーを含むゼロエミッション技術や低排出技術の展開を拡大するために不可欠であることを認識する。これには、調整された計画、相互に合意された情報の共有、共同研究開発、技術支援、技術開発、設計・計画・システム運用のための規制枠組みの調和における、自発的な国際協力の強化が必要である。この点で、我々は、再生可能エネルギーの電力を送電するための相互接続を通じて、様々な地域の送電網を接続するという議長国の取組に注目する。我々は、適切と思われる場合には、開発途上国が地域/国境を越えた相互接続の恩恵を十分に活用できるよう支援する上で、多国間開発銀行(MDBs)を含む国際金融機関が果たす重要な役割に留意しつつ、公共投資と民間投資の拡大を求める。

普遍的なエネルギーアクセス

6. 我々は、全ての人々にとって、低廉で信頼でき、持続可能で近代的なエネルギーアクセスが道徳的な要請であり、人間の基本的ニーズであることを強調する。我々は、これまでのG20議長国の成果を拡大し、国際協力と技術への投資を強化し、クリーンな調理、電力へのアクセス、エネルギー貧困の根絶に関する進捗を加速することを通じて、SDG7の目標を達成するという我々の共通の目標を追求するために、優先順位を付け、行動をとることを目指す。我々は、誰一人取り残されることのないよう、社会のあらゆる層への支援を提供することにコミットする。

公正で、低廉で、包摂的なエネルギー移行の道筋

7. クリーンで、持続可能で、公正で、低廉で、包摂的なエネルギー移行を追求する必要性を認識し、我々は、新産業、新技術及び新事業への多様なアプローチや投資、雇用の道を創出するための再教育やスキルアップを通じた労働力の変革を促進することを含め、経済の多様化の必要性を認識し、エネルギー移行の社会経済的にポジティブな影響を最大化し、ネガティブな影響を最小化するために経済の多様化を支援する。我々は、影響を受ける部門の労働者、先住民族、地域コミュニティ、女性、若者、子供、移住者、障がい者、貧困やその他の脆弱な状況にある人々のニーズに対応するため、ゼロ及び低排出技術、経済活動、新たな雇用の創出及び社会的対話を促進するための協力とパートナーシップを強化することを目指す。我々はまた、あらゆるレベルにおいて、エネルギー移行における女性のエンパワーメントとジェンダー平等により強く焦点を当てることを支援し、奨励する。

省エネルギーと責任ある消費

8. 我々は、エネルギー移行を推進するだけでなく、持続可能な雇用創出、家庭のエネルギーコストの削減、エネルギーの安全保障の確保にも貢献する、「第一の燃料」としての省エネルギーとエネルギー節減の役割及び各国の省エネルギーとエネルギー節減のための政策の重要性を認識する。我々は、ベストプラクティスの共有、自主的かつ相互に合意された知識の共有、技術移転・共同開発及び循環型アプローチの促進のため、G20エネルギー効率リーディング・プログラム(EELP)、省エネルギーハブ、クリーンエネルギー大臣会合(CEM)等の国際的な関与を通じて、エネルギー効率に関する世界的な取組みの強化に努め、SDGs7. 3の目標である、この10年以内にエネルギー効率の改善率を世界全体で倍増させるという目標を達成するため、各国の事情を考慮しながら、自主的に、効果的なロードマップを策定することに焦点を当てる。我々は、超高効率機器の採用、冷暖房需要の最適化、低排出及びゼロエミッション輸送の促進、商業的に利用可能な省エネルギー技術の拡大など、多様な省エネルギー・エネルギー節減のための政策・措置の実施を、各国の状況に合わせて加速させることを目指す。この観点から、我々は議長国のインドが作成した「2030年までにエネルギー効率の改善率を倍増させる自主的な行動計画」に留意する。

9. 我々はまた、個人の行動と持続可能な行動の選択が、エネルギー節減において主要な役割を果たしうることを認識する。我々は、省エネルギー及び低廉性は、持続可能な消費者の選択にインセンティブ及び力を与えるような責任ある消費に関する取組と密接に関連することを強調するため、過去の議長国による取組を基礎とすることを意図する。我々は、持続可能な消費パターンを奨励するためには、すべての消費者のカテゴリーに対するより高い認識と能力構築及び協調的な措置が必要であることを認識する。この取組において、我々は、持続可能な開発のためのライフスタイルに関する議長国のイニシアティブを歓迎する。

10. エネルギー集約型の産業部門からの温室効果ガスの排出を緩和することは、各国の事情に沿って、今世紀半ば頃までにグローバルなネット・ゼロ又はカーボンニュートラルを達成するために極めて重要であることを認識し、我々は、各国の事情に応じて、排出強度を管理・削減するための費用対効果の高い解決策を特定し、利用可能な変革的技術を革新し、開発し、展開するために協調して取り組む必要性を再確認する。さらに、我々は、技術的解決策と非技術的解決策の双方を促進するために、需要側のエネルギー政策の発展及び公的・民間資金の活用を含む、効果的かつ効率的な政策枠組みとアプローチの重要性を強調する。我々は、エネルギー移行の道筋を促進するため、自主的かつ相互に合意された条件による非差別的な技術協力を奨励する。

エネルギー移行のための技術ギャップへの対応

11. 我々は、持続可能かつ包摂的な方法でエネルギー移行を加速させるために、温室効果ガス排出を削減・軽減・除去する技術を含め、既に利用可能な低排出及びネット・ゼロ排出技術の継続的な進歩・適用・スケールアップ並びに有望な新エネルギー技術の解決策の迅速な開発及び商業化が果たす役割を認識し、そのような移行を可能にするために必要な技術の非差別的な協力と相互に合意された自主的な移転を支持する。

12. 我々は、太陽光発電、風力発電、揚水発電を含む水力発電、地熱発電、バイオエネルギー、ヒートポンプ及びCCUS並びに原子力エネルギーの使用を選択した国々における原子力エネルギーなどの、成熟したクリーンエネルギー技術の商業的展開のペースと規模を加速することの重要性を再確認する。また、電解槽、炭素の回収・貯留を伴うバイオエネルギー(BECCS)、直接空気回収技術(DAC)、高効率燃料電池、先進化学セル(ACC)電池及び持続可能な先進バイオ燃料並びに原子力エネルギーの使用を選択した国々における小型モジュール炉(SMRs)など、その他の新興技術及び新技術の開発・普及を加速させる必要性を認める。

13. 既存技術、新興技術及び新技術の低廉性及び入手しやすさは、特に途上国経済にとって重要な問題である。したがって、我々は、非差別的な方法で、これらの技術の開発、展開及び自主的かつ相互に合意された形での共有を強化するための地域的、多国間、二国間及び官民での支援的枠組みの必要性を認識する。

14. 我々は、クリーンで持続可能なエネルギー技術やソリューションの開発、実証及び展開の取組や、イノベーションのためのその他の取組を支援するイニシアティブの重要な役割を認識する。我々は、技術開発、各国の規制枠組み、イノベーション、研究能力、投資の拡大及び新興経済や開発途上経済のための技術的ギャップの是正を、非差別的かつより協力的で、低廉で、安定した方法で強化することを目指す。我々は、クリーンで持続可能なエネルギー技術の研究開発、展開及び普及を促進するため、関連する国際機関や、クリーンエネルギー大臣会合(CEM)、ミッション・イノベーション(MI)、RD20等を含む他のフォーラムとの協力・協調の取組を強化する機会を自発的に追求する。この観点から、我々は、議長国の際に開催される、第14回CEM及び第8回MIの合同プレナリーに留意する。これらの会合は、エネルギー移行に向けた共通の目標の実現を加速させるため、G20メンバー間の協力を強化し、大きく貢献するものであると確信する。

15. 民生用原子力エネルギーの利用を選択する国は、GHG排出削減に貢献するクリーンエネルギーの提供、SDG7目標の達成とエネルギー安全保障の確保、安全で強靭なインフラの確保、ベースロード電源やグリッドの柔軟性への貢献、並びに産業用ヒーリングや水素製造などの非電気的用途への貢献において、民生用原子力エネルギーが果たす役割を再確認する。これらの国は、研究、技術革新、核燃料サイクルを含む強靭なサプライチェーンの展開及び構築のための、革新炉や小型モジュール炉(SMRs)を含む民生用原子力技術の開発と建設について、必要に応じて、国内法に従い、IAEAの原子力安全、核セキュリティ及び保障措置の高い基準を支持しつつ、官民パートナーシップを通じて、自主的かつ相互に合意された条件に基づき協力することを計画する。これらの国は、グローバルに原子力安全を推進するための国際協力の強化を通じて、責任ある廃炉、放射性廃棄物及び使用済燃料の管理を推進し、投資を動員し、知識とベストプラクティスを共有していく。これらの国は、将来のための熟練した多様な労働力の育成、並びに革新炉や小型モジュール炉(SMRs)を含む民生用原子力技術を通じてエネルギー移行を進めるための知識とベストプラクティスの交換に積極的に関与する。

未来の燃料

16. 我々は、エネルギー移行に貢献し、エネルギー安全保障を強化し、GHG排出に対処するために、持続可能なバイオ燃料並びにゼロ及び低排出技術から製造される水素及びアンモニアなどのその派生物を探求し、多様化し、採用し、推進することの重要性を認識する。我々は、多様な技術の更なる進歩と展開を刺激し、持続可能な原料調達を確保し、生産性を向上させ、市場開発を加速させる国の政策を支援することの重要性を強調する。我々は、共同研究を強化し、自主的かつ相互に合意された技術移転/共同開発を促進し、将来の持続可能な燃料の採用を促進するための資金調達の必要性を認識し、持続可能な実践に関する知識の共有を奨励し、この観点から、多国間イニシアティブの活動に留意する。

17. 我々は、ゼロ及び低排出技術から製造される水素及びアンモニアなどのその派生物について、自主的かつ相互に合意された基準の調和や、相互に認知され、相互運用可能な認証スキームを開発することにより、製造、利用、そして透明で強靭な世界市場の開発を加速することを支援することを目指す。これを実現するため、我々は、全ての国に利益をもたらす持続可能かつ公平なグローバル水素エコシステムを構築するため、「水素に関するG20ハイレベル自主原則」(AnnexI)を確認する。我々は、コストを削減しつつ、水素及びアンモニアなどのその派生物の技術開発及び大規模展開を加速させるためには、G20メンバー間の協力が極めて重要であることを認識する。この観点から、我々は、ISAが主導するグリーン水素イノベーションセンターの設立に向けた議長国のイニシアティブに留意する。

18. 我々は、エネルギー移行を進めるための選択肢の一つとして、持続可能なバイオ燃料の更なる普及と開発のために協力する潜在的な機会を認識する。我々は、持続可能なバイオ燃料及びバイオエネルギー並びにセクター間の結合のための革新的技術に関する国際協力を支持する。我々は、エネルギー移行を実現するための4R(Reduce、Reuse、Recycle、Remove)の枠組みの中で、バイオエネルギー及びバイオ燃料が果たす役割を支持する。我々は、「グローバル・バイオ燃料アライアンス」を設立するという議長国のインドのイニシアティブに留意する。我々は、国際的なバイオ燃料機関と協力しながら、生産者、消費者及び関係国間の協力、バイオ燃料市場の強化及びバイオ燃料部門における基準の開発の奨励、持続可能性の原則の遵守の強調、市場の強化、持続可能かつ世界的なバイオ燃料の貿易の促進、具体的な政策の教訓の共有の発展並びに技術支援の提供の確立を通じて、持続可能なバイオ燃料の利用を強化するための協力の促進に自主的に取り組むことを目指す。

エネルギー移行のための低コストなファイナンス

19. 我々は、資本集約的であることが多く、様々な資金源からの低コストな資金調達が必要な、クリーンで持続可能で低炭素/低排出なエネルギー技術の、相互に合意された形での共同開発及び採用についての自主的な移転を促進することを強調する。G20は、エネルギー移行を支援するため、既存及び新規のクリーンで持続可能なエネルギー技術に対する低コストなファイナンスへのアクセスを促進することに取り組む。我々は、議長国のインドの下で作成された「エネルギー移行のための低コストなファイナンス」に関する報告書と、その調査結果で一次エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの高い割合と共に、世界は年間4兆米ドル以上の投資を必要としていることに留意する。我々は、特に途上国にとって、低コストなファイナンスへのアクセスが、エネルギーアクセス、エネルギー安全保障、低廉性、市場の安定性を確保しつつ、エネルギー移行に向けた取り組みを加速させるために極めて重要であることを再確認する。

20. エネルギー移行の加速を確保するため、我々は、国際金融機関及び多国間開発銀行が、それぞれのマンデート及びガバナンスの枠組みに沿って、低コストなファイナンスへのアクセスを促進するための新たなメカニズム及び商品を強化及び開発し、また、この目的のために民間資金の動員を拡大する必要性を認識する。我々は、官民、二国間及び多国間の取り決めを含む様々な資金源からの資金を増加させることの重要性を認識する。我々は、ベストプラクティス、リスク軽減戦略を共有し、低コストなファイナンスソリューションのための国際協力を促進することを目指す。この観点から、我々は、議長国のインドによる「エネルギー移行のための資金調達コスト低減のための自主的な行動計画」に留意する。

議長総括

21. G20は、持続可能な開発目標や気候変動に関するコミットメントの達成に貢献するだけでなく、エネルギー安全保障を確保しつつ、エネルギー移行を加速させるために協力し、行動を起こす指導的役割を担う。SDGs7を追求する中で、世界は現在、エネルギー安全保障における脆弱性、高い変動性、威圧的な手段としてのエネルギーの利用、エネルギー市場の混乱とそれに伴う影響、経済減速、新型コロナウイルスのパンデミック後の継続的な社会経済的課題など、関連する多次元的な課題に直面しており、重要なエネルギーインフラのみならず、エネルギーシステムの市場の安定性、信頼性及び回復力を強化する緊急の必要性が強調された。

22. エネルギー安全保障を強化し、市場の安定を達成し、普遍的なエネルギーアクセスを確保するための解決策、道筋及びアプローチを見つけることは極めて重要である。経済とエネルギーの見通しに対する潜在的なリスクを回避するため、エネルギー市場の混乱を防ぎ、過度な変動を避ける必要性が強調された。オープンで、透明性があり、安定して、競争力のある、差別のない国際エネルギー市場を促進することの必要性が認識された。透明性があり、強靭で、中断のない持続可能で包摂的で多様なサプライチェーンを確保すること、多様な選択肢及び技術を促進すること並びにエネルギー移行を加速させるための行動を追求する中でシナジーを活用することの必要性が認識された。また、国、地域、国境を越えた重要なエネルギーインフラを強化する必要性も強調された。

23. エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの役割は、普遍的なエネルギーアクセスに貢献する解決策であり、各国の事情を考慮し、自主的かつ相互に合意された形で、協力、連携、資金調達、能力構築、技術支援、パートナーシップ及び技術共有を強化することは極めて重要である。この文脈で、インド議長国の報告書「SDG7のための分散型再生可能エネルギー:グローバルなベストプラクティスの概要」及び「普遍的なエネルギーアクセスのための太陽エネルギー促進のためのロードマップ」は、ベスト・プラクティスの共有、有効な枠組みの促進、能力構築の強化、技術革新の促進により、関連地域のエネルギーアクセスを加速するための有用な解決策を概説している。また、再生可能エネルギーのコミュニティを促進し、新たな経済機会を創出し、エネルギー移行を加速させるために、消費者として市民に力を与える分散型再生可能エネルギーの採用についても言及された。エネルギーミックスにおける再生可能エネルギー技術の役割として、送電網を通じたアクセスが商業的に実行可能でないか、利用可能でない場合、また、国際機関からの支援を必要とする可能性のある、関心のある国における再生可能エネルギーの拡大を支援することが認識された。世界的な再生可能エネルギーの普及を促進するため、議長国の「普遍的なエネルギーアクセスを加速するための再生可能エネルギー促進のための自主的な行動計画」(AnnexD)について言及された。

24. 再生可能エネルギーを含むゼロ及び低排出技術の導入加速は、エネルギー移行を達成する上で重要な役割を果たすことが指摘された。また、現在のグリッドベースの技術展開の世界的な速度は、普遍的なエネルギーアクセスを達成するには不十分である可能性があることも指摘された。そのため、自然の潜在能力及び早期に強力な取組が既に実施されている地域を含めた各国の事情に沿って、2030年までに、各国の事情に沿った既存の目標や政策を通じて、前述のエネルギー技術キャパシティを世界全体で3倍にする取組に向けた我々の自主的な貢献の重要性に留意しつつ、再生可能エネルギーの展開を加速的に拡大し、電力系統の柔軟性などの課題に対処し、その展開を妨げている障壁を取り除き、コストを引き下げる必要がある。削減・除去技術を含む他のゼロ及びネット・ゼロ技術に関しても、同様の野心の表明があった。系統の安定に必要な技術的ソリューションの開発と並行して、柔軟なエネルギー源の利用などを通じて、低炭素排出システムへの移行期間中もエネルギーシステムの安定を支援し続ける必要性が認識された。

25. 世界の温室効果ガス排出量に対するエネルギー部門の寄与は大きい。化石燃料が現在、世界のエネルギーミックスのなかで、エネルギー貧困の撲滅、増大するエネルギー需要を満たす上で重要な役割を果たし続けていることを前提としつつ、各国の事情に沿って、排出削減対策が講じられていない化石燃料のフェーズダウンに向けた取組の重要性が一部のメンバーによって強調された一方、排出削減対策や除去技術がそのような懸念に対処するだろうという意見もあった。これらの取組は、低排出な開発に向けて、多様な既存及び新興のクリーンで再生可能なエネルギーの選択肢の、安全で安定した、多様で信頼性のある供給のうえに築かれなければならない。この点で、開発途上国への十分な支援とともに、今世紀半ば頃までに世界全体でネット・ゼロ又はカーボンニュートラルを達成するためには、再生可能エネルギーを含む多様なクリーンエネルギーを、各国の事情に合わせて迅速に導入することが重要であることが強調された。

26. 国際協力を強化しつつ、持続可能な開発及び貧困を撲滅するための努力の文脈において、気候資金、並びに資金の流れを温室効果ガスについて低排出型で気候強靭性に向けた道筋に適合させることの重要性が強調された。先進国は、実施の透明性を確保した意味のある緩和行動の文脈において、2020年までに、そして2025年に向けて年間1000億米ドルを共同で動員するという目標を実現するとのコミットメントを果たすことを求められた。この文脈では、包摂的で持続可能なエネルギー開発を支援するための国際的な公的及び民間資金の動員が鍵となる。

27. *1* *2* ウクライナにおける戦争は世界経済に更に悪影響を及ぼしている。この問題に関して議論が行われた。我々は、3月2日の国連総会決議ES―11/1(141か国が賛成、5か国が反対、35か国が棄権、12か国が欠席)においてロシアのウクライナ侵略を最も強い言葉で遺憾とし、同国のウクライナ領土からの完全かつ無条件での撤退を要求している国連総会や、国連安全保障理事会を含む他のフォーラムで表明してきた自国の立場を改めて表明した。ほとんどのG20メンバーは、ウクライナにおける戦争を強く非難し、この戦争が計り知れない人的被害をもたらし、また、成長の抑制、インフレの増大、サプライチェーンの混乱、エネルギー及び食料不安の増大、金融安定性に対するリスクの上昇といった世界経済における既存の脆弱性を悪化させていることを強調した。この状況及び制裁について、他の見解及び異なる評価があった。G20が安全保障問題を解決するためのフォーラムではないことを認識しつつ、我々は、安全保障問題が世界経済に重大な影響を与え得ることを認識する。

28. 平和と安定を守る国際法と多国間システムを堅持することが不可欠である。これには、国際連合憲章に謳われている全ての目的及び原則を擁護し、武力紛争における市民及びインフラの保護を含む国際人道法を遵守することが含まれる。核兵器の使用又はその威嚇は許されない。紛争の平和的解決、危機に対処する取組、外交・対話が極めて重要である。今日の時代は戦争の時代であってはならない。

29. 2023年を通してのインド議長国の揺るぎない献身、卓越したリーダーシップ及び懸命な取組に我々は心から感謝の意を表する。また、我々は、全てのG20メンバー、招待国、パートナー国際機関の多大な貢献に感謝する。ブラジルの議長国の下、2024年のエネルギー移行という我々の集団的野心に向けた取組の継続を更に期待する。

附属書 I: G20水素に関するハイレベル自主原則

附属書A: エネルギー移行のための重要鉱物に関する協力のための自主的なハイレベル原則

附属書B: 2030年までにエネルギー効率改善率を倍増させるための自主的な行動計画

附属書C: 普遍的なエネルギーアクセスを加速するための再生可能エネルギー促進のための自主的な行動計画

附属書D: エネルギー移行のための資金調達のコスト低減のための自主的な行動計画

{*1* ロシアは、パラグラフ21-26に加え、特にパラグラフ27が含まれていることから、この文書が議長総括であることを認識する。ロシアは、本文書の他の部分には合意する。ロシアは、会合中、ウクライナ情勢、地政学的緊張及び制裁措置に関し、明確な見解を表明した。}

{*2* 中国は、G20は安全保障問題を扱う適切なプラットフォームではないと述べ、地政学に関連した内容を含めることに反対した。}


附属書 I

G20水素に関するハイレベル自主原則

 我々は、あらゆるセクターにおいて、排出削減を可能にする自主原則を支持し、持続可能性の側面に取り組むつもりである。これは、ゼロ及び低排出技術から製造される水素及びアンモニアなどのその派生物の製造、利用、取引に向けた対策を加速させることにより、世界的な温室効果ガス排出量ネット・ゼロ又はカーボンニュートラル目標の達成に貢献する。この目的のため、我々は、水素に関する以下の5つのハイレベルな指針となる自主原則を歓迎する。:

1. ゼロ及び低排出技術から製造される水素及びアンモニアなどのその派生物の認証に関する国の基準の開発及び世界的に調和されたアプローチへの取り組みに関する協力を奨励する。

2. 強靭で多様化されたサプライチェーンに支援された、WTOのルールに沿って、ゼロ及び低排出技術から製造された水素及びアンモニアなどの派生物の自由で公正な貿易を促進する。

3. 技術革新、ビジネスモデル、研究開発協力を加速し、国際協力を強化する。

4. ゼロ及び低排出技術から製造される水素及びアンモニアなどの派生物の生産、利用、世界貿易を強化するための投資を促進し、資金を動員し、インフラを整備する。

5. 地域的及び国際的なイニシアティブ及び制度の開発を含め、温室効果ガス排出量ネット・ゼロ又はカーボンニュートラルの道筋に貢献することを目指し、ゼロ及び低排出技術から製造される水素及びアンモニアなどの派生物に関する自主的な情報共有、協力、対話、知識交換及び能力構築を支援し、可能にする。